女神の加護を持つ死神
プロローグ
金曜日。それは一週間の中で一番テンションが上がる日だ。
きっとどの生徒も同じ考えを持っているだろう。
そして、俺も例外ではない。
ただし、親がいない家に一人でいる時の話ではあるが……
家から学校は近く徒歩通学なので歩くこと数分。
学校に着くと、俺は徹夜明けで歩く度にフラフラ揺れる身体を支えながら、廊下を歩いて行った。
ちなみに、徹夜の理由……そんなのは決まっていた。
そう! 見たいアニメがあったからだよ!!
まあそれが1日続く訳はないので、終わってからはネトゲをしていた。
最近、俺の中でのブームなのだ。
余談はさておき、廊下の真ん中で、固まって話しているグループがいた。
それだけならばなんともないのだが、そのグループは廊下の端に寄って俺の事を話したりしていた。
これは自意識過剰でもなんでもない。
ギリギリ俺に聞こえないぐらいの声で話しながら、俺が横を通った瞬間に、俺の名前を確実に俺に聞こえる声で言うのだ。
ある意味、定番行事。
俺にすれば鬱陶しいだけだ。
あいつらは人の気持ちがわからないのだろうか?
まあこんな事を考えつつも俺は教室に入った。
取り敢えず、入った瞬間に俺はクラスに着くとクラスの男子や女子から物凄い目線で睨まれることとなった。
(本当は男子は嫉妬。女子は情熱的な目線ではあるが本人は気付く事なし)
しかし、これはまだいつもと比べるとマシな方だ。
酷い時には、話しかけると大急ぎで逃げられ、逃げた先で泣いている、という事もある。
(また本人は気付いて無いが声を掛けられて喜んでいるのである)
こんなことになっている理由は、家系が理由だと思っている。
俺の容姿は身長が173センチで、髪の毛は黒で、上にいくにつれ焦げ茶色になっている。
上が焦げ茶なのは、昔にスポーツをしていたのが原因だ。
染めようとも思ったのだが、校則で染める事を禁止されているため、染めれないのだ。
髪型はストレート系で前髪が少し長く、全体的にショートな感じで目は黒い瞳をしている。
顔も自分で言うのはなんだが、かっこいいと思っている。
それなのにモテはしない。
まぁ、家系が家系がなので仕方が無いとは思っているが……。
俺の家系は、母が謎めいた人で、父がマフィアのボスだ。
母についてはさっき言った通り殆どが謎だ。
謎と言うのは何故か分からないが、母からは地球とは違うオーラが感じる事だ。
例えばで言えば……かぐや姫と言えば分かるだろうか。
まぁ、そんな感じで、何度も言ってしつこいかも知れないが、本当に母は謎めいている。
父は、仕事の名前通りの事をしているので危ない奴……そう言いたいのだが実際は殆ど家に居て、しかも臆病者でお節介者だ。
それに加え、好きな物は花とか言ってる始末なので本当にマフィアなのか分からない。
しかし、こんな事を知っているわけの無い世間の人達は、この両親の事を怖がっている。
そのとばっちりのせいで、俺も声を掛けようとしても、相手は多分どうして良いのか困り果て、最終的に逃げてしまいそれが「かっこいいのに親が親だからあの人も怖い奴なのでは」と言う噂に繋がり、ここまでの事態となったのだ。
……まあこれは殆ど俺の予想だが。
だが、それでも俺と仲良くしている奴等はいる。
まぁ、俺が俺なので、そいつらは俺と似た家系の奴等だが。
......丁度、今来ている奴等だ。
「よう、キラリ 」
「おはよう、キラリ」 
遠くから声をかけてきたこの二人は、俺の幼馴染であり今、言った俺と唯一ちゃんと話せるグループのメンバーだ。
始めに声を掛けてきたのが、大沢かずや と言う奴で、大沢財閥の御曹司。いわゆる超金持ち。学校では美少年ランキングNO,1。成績優秀。スポーツ万能。
とまぁ、人として完璧と言える奴だ。
身長は180センチメートルと高く、細身ながら引き締まった身体をしており、誰にでも優しい。
それに毎年、色んなスポーツ大会で全国制覇をしており、今年は、空手で全国優勝をしたそうだ。
このこともあり、女子からの人気が高い、筋金入りのモテ男だ。
俺としとしての印象は、駄目駄目男だが。
こいつが成り立っているのって大輝がいるからだと思っている。
そのかずやを支えていると思われし、もう一人は、荒井大輝という。
こちらは両親がアメリカの賢い大学出身なので、その遺伝子を継ぎ超が二つつくほど頭が賢い。
だが、どうしてもその頭で考えた事が残念な方向にいってしまうという、とても残念な奴だ。
身長は165センチメートルと小柄で、眼鏡をかけている。
その眼鏡と、賢い頭、という見た目はクールなルックスという事で女子からは人気が高い。
こちらも筋金入りのモテ男だ。
しかし、本性は物凄く残念な奴なので、俺はずっとどうしてこいつがモテるのかと考えている。
こんな感じの奴なので、このグループ一番の問題児でもある。
だが結構な数、俺達を裏で支えてきてくれているという一面もある。
そして最後に一番の原因。……もとい男子から嫉妬の目で見られることとなった元凶が来た。
「おはよう、キラリ君。今日も人気だね」
この彼女は 、吉井流奈といい、二年前に俺らの街に転校してきた奴だ。
転校初日に学校では美少女ランキング1位になるというような実績からも分かる通り、物凄く可愛い。
それに、いつも微笑みが絶えない。学年問わずの人気者だ。
なのに何故か分からないけど、彼女は俺を見て一目惚れしたらしく、転校してからの一年はずっと付けまわられた。
そこから半年後には俺も彼女の事を意識し始め、今では俺の彼女だ。
こいつらは、親が親だしルックスも良いので逆に皆から引かれている。
その事もあり、俺と似ていると感じて一緒に行動している。
「……はよう」
はぁ……と思いながら返事をする。
すると三人ともこちらを向き凄い嬉しそうな顔をする。
「何故いつもそんな顔をするんだ」
と心では思うものの、笑顔で返事をした。
するとクラスメートから……もっと言えば女性陣から暖かい眼差しを通り越して、物凄くグサグサと釘が刺さると思えるほどの眼差しで見られた。
流石にそんな目で見られると振り返る訳にもいかず、いやいやだが後ろを振り返って見るとそれは急に消えた。
また体の態勢を戻すと同時にあの危険的な眼差しが向けられた。
……もう、無視しよう。
そう思っていた時、教室の端にいたグループ一人の奴が近づいて来た。
「かずや、大輝。そんなのと喋べらない方がいいよ。そんな奴とは住む世界が違うんだから」
そう言ってきたのは、いつも俺に絡んでくるお坊っちゃま軍団の筆頭だ。
声をかけてきたのが 遠藤凶助と言い日本で有名な車会社の御曹司。
その後ろで笑っている奴らが河本七瀬と高倉小波でこいつらも有名人の子供だったりする。
こいつらはそのせいで、たまに居る自分は権力が有って偉いとか思っている奴等だ。
「いやー」
関わっても正直面倒くさいだけなので、ここは、笑ってやり過ごそうと心で考えていると、横からかずとと大輝が俺の前にに出てきた。
「俺らは、こいつと喋りたいから喋ってんだけど。なんで、お前にこいつとは喋るな、って決められなきゃいけないんだよ。なぁ〜 大輝」
「ああ、こいつと喋ってると色んなことが紛れるし、アイデアとかが思い浮かぶから喋ってんだよ」
アイデアってなんだよ!?
思わずそう叫びそうになったが、喉の奥を過ぎたあたりでまではいったが頑張ってたえ、言うのを防いだ。
だってなんとなく今は俺がしゃしゃりでない方がいいと思ったから。
話は戻り、二人がそう言うと、遠藤が少し困った表情をしていた。
「そうだよ。そんな事言ったらダメだよ遠藤君。この二人はキラリ君と喋りたいから喋っているのに。私だってキラリ君とは色んな事を喋りたいんだよっ。それを君が喋るなって決めたり、住む世界が違うって言うのはおかしいよ。次そんな事を言ったら……本気で怒るよ」
流奈も俺の前に出てきて、怒った口調であいつらに言った。
するとクラスが色んな意味でざわつき始めた。
俺はマズイと思ったが、その不安は直ぐに消えた。
先生がドアを開け教室に入ってきたからだ。
先生のお陰で俺の周りにいた皆が渋々とだが席に座っていった。
この時に、俺はかつてないほど、マジで先生ありがとう!! そう思い、神に祈るように心でお礼しといた。
.......そんな感じで、学校の授業が始まった 。 
◇◆◇◆◇◆
ちょうど四時間目を終えると、誰かが俺の身体を揺すってき、俺は意識が覚醒してくるのを感じた。
辺りを見回すと流奈が隣に立っていた。
「……ぁ、ああ、流奈か」
「おはようキラリ君。寝起きで悪いとは思うんだけど、ちょっとついて来てくれないかなぁ?」
そう言ってきたのだが、「悪いと思うなら起こすなよ」俺は必然的にそう思ってしまった。
それに色々と面倒なので首を横に振ってもう一度寝ようとすると、
「待って、待って。大事な話だからついてきてよー」
そう言われたのだが、無視してまた寝ようとした。
だが、次はもっと酷い事をされそうな殺気を隣から感じたので、仕方なくついて行く事に。
流奈の後ろを追うようについて行くと屋上についた。 
屋上に来るのは久しぶりだなぁ、と思いながらトコトコと流奈のいる場所まで、ゆっくりと歩いて行った。
「ねぇー、キラリ君」
流奈の隣に着いたところで、風に流せられるような透き通った声で、俺の名を呼んだ。
「なんだ、流奈」
俺は短い言葉で返事を返した。
この短い言葉だけで分かってくれるだろうという気持ちも込め。
「今から質問します。よ〜く考えてね」
何かのクイズ番組でも見たのだろうか。
ものすっごい影響受けてんなぁ。
「……キラリ君は重い、重〜い病気を患っていました。この病気を治す為には異世界じゃないと治せない。そう言われました。さぁ、キラリ君はどうする?」
この意味の分からない質問に真面目に付き合うわけ無いので帰ろうとしたが、後ろから凄い殺気を感じたのでやめておく事にした。
なので真面目に考えたところ、俺もオタクの端くれなので、行きたいと思ってしまった。
少し悔しい。
「まぁ、行くな。病気とか関係なくても異世界には行きたい」
「おお〜、やっぱりそう言うと思ってたよ」
「期待通り ♪」と何かが当たったかのような、テンション高めの声で言われた。
……いつもテンション高いかも。
なんか異様に疲れてきた。
はぁー、これだけのために呼んだのか。
そう思った時に小さくだが溜息が出た。
これをどう思ったのかは分からないが、流奈を見ると顔で謝っている様に感じた。
「これからが本番なんだけど......まぁさっきのも真面目だったけれども……その異世界に行った時、何か叶えたい事とか夢ってある? キラリ君は?」
流奈からまた訳の分からない事を言われた。
俺はどう言う事だろうと思っていると「夢だよ、夢だよ。何かあるでしょ」と流奈から呆れた感じで言われた。
急かすな。
そう思いながらも、何かあるかな? と考えたのだが、特に叶えたい事や夢が思い浮かばなかった。
俺って欲望少ない人間なのだっ!
けれど、「何もない」とか言ってしまうと何か流奈に言われそうな気がしたので「何でも良いから何か思いつけ!」と必死で考えることにした。
そして必死の思いで考えると良いのが思い浮かんだ。
昔読んでいたラノベに、主人公が異世界転移をして、チートスキルを使い魔王を倒すという話があった。
これを読んでいた時に、異世界行きてー!  チート欲し〜い! と思っていたのだ。
ちなみに今でも思っている。
けど、勘違いは無しだ。
俺はそこまで自惚れているほど馬鹿ではない。
異世界というこの世界とは違う世界というのは存在していないことなど、知っている。
だが、もし本当に、行けるなら。
物凄い低い確率だろうが、嘘であろうと言ってみよう。
それと、異世界に行けるならもう一つの俺が昔、一度夢見た事を言ってみようか。
「……異世界に行けるなら……………チートが欲しい!!」
こう流奈に言ってみた。
あとから考えると、これは本当に言って良かったと思えてくる事だ。
まぁこれは置いておくとして、こんな事を流奈に言ったて何も起きる事はないのに、という考えと、こんなバカな事を言ったら流石に笑われるだろうな。
という事を考えながら流奈の顔を見て見ると、何故か嬉しそうな顔をしていた。
すると、流奈が好きな人に初めてプレゼントをあげる様な、そんな感じの嬉しそうな顔でこちらを見てきた。
「分かった。そいうので良いんだね」
そう流奈が急に言うと地面が白く光りだした。
急な事でびっくりしたが、その驚きを押し殺して下を見て見ると、魔法陣のような物が描かれていた。
その魔法陣はどんどん光りを増していった。そして一気に輝きが拡大し、数十秒間輝き光りが消えた。
......そこは、人の姿が無く、もう何も残っていなかった。
きっとどの生徒も同じ考えを持っているだろう。
そして、俺も例外ではない。
ただし、親がいない家に一人でいる時の話ではあるが……
家から学校は近く徒歩通学なので歩くこと数分。
学校に着くと、俺は徹夜明けで歩く度にフラフラ揺れる身体を支えながら、廊下を歩いて行った。
ちなみに、徹夜の理由……そんなのは決まっていた。
そう! 見たいアニメがあったからだよ!!
まあそれが1日続く訳はないので、終わってからはネトゲをしていた。
最近、俺の中でのブームなのだ。
余談はさておき、廊下の真ん中で、固まって話しているグループがいた。
それだけならばなんともないのだが、そのグループは廊下の端に寄って俺の事を話したりしていた。
これは自意識過剰でもなんでもない。
ギリギリ俺に聞こえないぐらいの声で話しながら、俺が横を通った瞬間に、俺の名前を確実に俺に聞こえる声で言うのだ。
ある意味、定番行事。
俺にすれば鬱陶しいだけだ。
あいつらは人の気持ちがわからないのだろうか?
まあこんな事を考えつつも俺は教室に入った。
取り敢えず、入った瞬間に俺はクラスに着くとクラスの男子や女子から物凄い目線で睨まれることとなった。
(本当は男子は嫉妬。女子は情熱的な目線ではあるが本人は気付く事なし)
しかし、これはまだいつもと比べるとマシな方だ。
酷い時には、話しかけると大急ぎで逃げられ、逃げた先で泣いている、という事もある。
(また本人は気付いて無いが声を掛けられて喜んでいるのである)
こんなことになっている理由は、家系が理由だと思っている。
俺の容姿は身長が173センチで、髪の毛は黒で、上にいくにつれ焦げ茶色になっている。
上が焦げ茶なのは、昔にスポーツをしていたのが原因だ。
染めようとも思ったのだが、校則で染める事を禁止されているため、染めれないのだ。
髪型はストレート系で前髪が少し長く、全体的にショートな感じで目は黒い瞳をしている。
顔も自分で言うのはなんだが、かっこいいと思っている。
それなのにモテはしない。
まぁ、家系が家系がなので仕方が無いとは思っているが……。
俺の家系は、母が謎めいた人で、父がマフィアのボスだ。
母についてはさっき言った通り殆どが謎だ。
謎と言うのは何故か分からないが、母からは地球とは違うオーラが感じる事だ。
例えばで言えば……かぐや姫と言えば分かるだろうか。
まぁ、そんな感じで、何度も言ってしつこいかも知れないが、本当に母は謎めいている。
父は、仕事の名前通りの事をしているので危ない奴……そう言いたいのだが実際は殆ど家に居て、しかも臆病者でお節介者だ。
それに加え、好きな物は花とか言ってる始末なので本当にマフィアなのか分からない。
しかし、こんな事を知っているわけの無い世間の人達は、この両親の事を怖がっている。
そのとばっちりのせいで、俺も声を掛けようとしても、相手は多分どうして良いのか困り果て、最終的に逃げてしまいそれが「かっこいいのに親が親だからあの人も怖い奴なのでは」と言う噂に繋がり、ここまでの事態となったのだ。
……まあこれは殆ど俺の予想だが。
だが、それでも俺と仲良くしている奴等はいる。
まぁ、俺が俺なので、そいつらは俺と似た家系の奴等だが。
......丁度、今来ている奴等だ。
「よう、キラリ 」
「おはよう、キラリ」 
遠くから声をかけてきたこの二人は、俺の幼馴染であり今、言った俺と唯一ちゃんと話せるグループのメンバーだ。
始めに声を掛けてきたのが、大沢かずや と言う奴で、大沢財閥の御曹司。いわゆる超金持ち。学校では美少年ランキングNO,1。成績優秀。スポーツ万能。
とまぁ、人として完璧と言える奴だ。
身長は180センチメートルと高く、細身ながら引き締まった身体をしており、誰にでも優しい。
それに毎年、色んなスポーツ大会で全国制覇をしており、今年は、空手で全国優勝をしたそうだ。
このこともあり、女子からの人気が高い、筋金入りのモテ男だ。
俺としとしての印象は、駄目駄目男だが。
こいつが成り立っているのって大輝がいるからだと思っている。
そのかずやを支えていると思われし、もう一人は、荒井大輝という。
こちらは両親がアメリカの賢い大学出身なので、その遺伝子を継ぎ超が二つつくほど頭が賢い。
だが、どうしてもその頭で考えた事が残念な方向にいってしまうという、とても残念な奴だ。
身長は165センチメートルと小柄で、眼鏡をかけている。
その眼鏡と、賢い頭、という見た目はクールなルックスという事で女子からは人気が高い。
こちらも筋金入りのモテ男だ。
しかし、本性は物凄く残念な奴なので、俺はずっとどうしてこいつがモテるのかと考えている。
こんな感じの奴なので、このグループ一番の問題児でもある。
だが結構な数、俺達を裏で支えてきてくれているという一面もある。
そして最後に一番の原因。……もとい男子から嫉妬の目で見られることとなった元凶が来た。
「おはよう、キラリ君。今日も人気だね」
この彼女は 、吉井流奈といい、二年前に俺らの街に転校してきた奴だ。
転校初日に学校では美少女ランキング1位になるというような実績からも分かる通り、物凄く可愛い。
それに、いつも微笑みが絶えない。学年問わずの人気者だ。
なのに何故か分からないけど、彼女は俺を見て一目惚れしたらしく、転校してからの一年はずっと付けまわられた。
そこから半年後には俺も彼女の事を意識し始め、今では俺の彼女だ。
こいつらは、親が親だしルックスも良いので逆に皆から引かれている。
その事もあり、俺と似ていると感じて一緒に行動している。
「……はよう」
はぁ……と思いながら返事をする。
すると三人ともこちらを向き凄い嬉しそうな顔をする。
「何故いつもそんな顔をするんだ」
と心では思うものの、笑顔で返事をした。
するとクラスメートから……もっと言えば女性陣から暖かい眼差しを通り越して、物凄くグサグサと釘が刺さると思えるほどの眼差しで見られた。
流石にそんな目で見られると振り返る訳にもいかず、いやいやだが後ろを振り返って見るとそれは急に消えた。
また体の態勢を戻すと同時にあの危険的な眼差しが向けられた。
……もう、無視しよう。
そう思っていた時、教室の端にいたグループ一人の奴が近づいて来た。
「かずや、大輝。そんなのと喋べらない方がいいよ。そんな奴とは住む世界が違うんだから」
そう言ってきたのは、いつも俺に絡んでくるお坊っちゃま軍団の筆頭だ。
声をかけてきたのが 遠藤凶助と言い日本で有名な車会社の御曹司。
その後ろで笑っている奴らが河本七瀬と高倉小波でこいつらも有名人の子供だったりする。
こいつらはそのせいで、たまに居る自分は権力が有って偉いとか思っている奴等だ。
「いやー」
関わっても正直面倒くさいだけなので、ここは、笑ってやり過ごそうと心で考えていると、横からかずとと大輝が俺の前にに出てきた。
「俺らは、こいつと喋りたいから喋ってんだけど。なんで、お前にこいつとは喋るな、って決められなきゃいけないんだよ。なぁ〜 大輝」
「ああ、こいつと喋ってると色んなことが紛れるし、アイデアとかが思い浮かぶから喋ってんだよ」
アイデアってなんだよ!?
思わずそう叫びそうになったが、喉の奥を過ぎたあたりでまではいったが頑張ってたえ、言うのを防いだ。
だってなんとなく今は俺がしゃしゃりでない方がいいと思ったから。
話は戻り、二人がそう言うと、遠藤が少し困った表情をしていた。
「そうだよ。そんな事言ったらダメだよ遠藤君。この二人はキラリ君と喋りたいから喋っているのに。私だってキラリ君とは色んな事を喋りたいんだよっ。それを君が喋るなって決めたり、住む世界が違うって言うのはおかしいよ。次そんな事を言ったら……本気で怒るよ」
流奈も俺の前に出てきて、怒った口調であいつらに言った。
するとクラスが色んな意味でざわつき始めた。
俺はマズイと思ったが、その不安は直ぐに消えた。
先生がドアを開け教室に入ってきたからだ。
先生のお陰で俺の周りにいた皆が渋々とだが席に座っていった。
この時に、俺はかつてないほど、マジで先生ありがとう!! そう思い、神に祈るように心でお礼しといた。
.......そんな感じで、学校の授業が始まった 。 
◇◆◇◆◇◆
ちょうど四時間目を終えると、誰かが俺の身体を揺すってき、俺は意識が覚醒してくるのを感じた。
辺りを見回すと流奈が隣に立っていた。
「……ぁ、ああ、流奈か」
「おはようキラリ君。寝起きで悪いとは思うんだけど、ちょっとついて来てくれないかなぁ?」
そう言ってきたのだが、「悪いと思うなら起こすなよ」俺は必然的にそう思ってしまった。
それに色々と面倒なので首を横に振ってもう一度寝ようとすると、
「待って、待って。大事な話だからついてきてよー」
そう言われたのだが、無視してまた寝ようとした。
だが、次はもっと酷い事をされそうな殺気を隣から感じたので、仕方なくついて行く事に。
流奈の後ろを追うようについて行くと屋上についた。 
屋上に来るのは久しぶりだなぁ、と思いながらトコトコと流奈のいる場所まで、ゆっくりと歩いて行った。
「ねぇー、キラリ君」
流奈の隣に着いたところで、風に流せられるような透き通った声で、俺の名を呼んだ。
「なんだ、流奈」
俺は短い言葉で返事を返した。
この短い言葉だけで分かってくれるだろうという気持ちも込め。
「今から質問します。よ〜く考えてね」
何かのクイズ番組でも見たのだろうか。
ものすっごい影響受けてんなぁ。
「……キラリ君は重い、重〜い病気を患っていました。この病気を治す為には異世界じゃないと治せない。そう言われました。さぁ、キラリ君はどうする?」
この意味の分からない質問に真面目に付き合うわけ無いので帰ろうとしたが、後ろから凄い殺気を感じたのでやめておく事にした。
なので真面目に考えたところ、俺もオタクの端くれなので、行きたいと思ってしまった。
少し悔しい。
「まぁ、行くな。病気とか関係なくても異世界には行きたい」
「おお〜、やっぱりそう言うと思ってたよ」
「期待通り ♪」と何かが当たったかのような、テンション高めの声で言われた。
……いつもテンション高いかも。
なんか異様に疲れてきた。
はぁー、これだけのために呼んだのか。
そう思った時に小さくだが溜息が出た。
これをどう思ったのかは分からないが、流奈を見ると顔で謝っている様に感じた。
「これからが本番なんだけど......まぁさっきのも真面目だったけれども……その異世界に行った時、何か叶えたい事とか夢ってある? キラリ君は?」
流奈からまた訳の分からない事を言われた。
俺はどう言う事だろうと思っていると「夢だよ、夢だよ。何かあるでしょ」と流奈から呆れた感じで言われた。
急かすな。
そう思いながらも、何かあるかな? と考えたのだが、特に叶えたい事や夢が思い浮かばなかった。
俺って欲望少ない人間なのだっ!
けれど、「何もない」とか言ってしまうと何か流奈に言われそうな気がしたので「何でも良いから何か思いつけ!」と必死で考えることにした。
そして必死の思いで考えると良いのが思い浮かんだ。
昔読んでいたラノベに、主人公が異世界転移をして、チートスキルを使い魔王を倒すという話があった。
これを読んでいた時に、異世界行きてー!  チート欲し〜い! と思っていたのだ。
ちなみに今でも思っている。
けど、勘違いは無しだ。
俺はそこまで自惚れているほど馬鹿ではない。
異世界というこの世界とは違う世界というのは存在していないことなど、知っている。
だが、もし本当に、行けるなら。
物凄い低い確率だろうが、嘘であろうと言ってみよう。
それと、異世界に行けるならもう一つの俺が昔、一度夢見た事を言ってみようか。
「……異世界に行けるなら……………チートが欲しい!!」
こう流奈に言ってみた。
あとから考えると、これは本当に言って良かったと思えてくる事だ。
まぁこれは置いておくとして、こんな事を流奈に言ったて何も起きる事はないのに、という考えと、こんなバカな事を言ったら流石に笑われるだろうな。
という事を考えながら流奈の顔を見て見ると、何故か嬉しそうな顔をしていた。
すると、流奈が好きな人に初めてプレゼントをあげる様な、そんな感じの嬉しそうな顔でこちらを見てきた。
「分かった。そいうので良いんだね」
そう流奈が急に言うと地面が白く光りだした。
急な事でびっくりしたが、その驚きを押し殺して下を見て見ると、魔法陣のような物が描かれていた。
その魔法陣はどんどん光りを増していった。そして一気に輝きが拡大し、数十秒間輝き光りが消えた。
......そこは、人の姿が無く、もう何も残っていなかった。
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コメント
コイズミ
内容が素敵でした!次が気になってます!
ノベルバユーザー602641
モテ男の話の展開、面白かったです。
ノベルバユーザー601233
ランキングからきました。
明日
コメディタッチもあって読みやすくていいですね!