操蟲の勇者

かずみ

第10話

 さて、どうしたものか…
 僕は目の前でミンチ肉の山を食べている蟲を眺めながらそう思った。
 その光景を眺めていると不意に蟲がこちらをじっと見つめてくる。
 これは…やばいやつなのではないだろうか?
 僕は先程の光景を思い出し逃げようとゆっくり右足を後ろにずらすと、蟲がすごい勢いで飛びかかってくる。


「キュイ!」
「うわっ!」


 喰われる!
 とっさに僕は目をつむる。しかし僕が予想していたような痛みは訪れず、恐る恐る目を開けるとそこには僕の胸に頭をこすり付けているククルカンがいた。
 …もしかして懐いてる?
 恐る恐る手を差し出すと頭をこすり付けてくる。
 あれ?なんだろう、すごく可愛い。


『登録最終段階です。名前をつけてください』


 しばらく頭を撫で回しているとそんな文章が書かれたプレートが現れる。
 なるほど、昔やったゲームで倒した魔物を仲間にできるやつみたいだな。しかし名前か…
 うんうんと1人で悩みながらも撫でる手は止めない。なかなかにこの硬質な触感がクセになるのだ。こいつも嬉しそうだし。
 その時僕はふと思いついた。


「別に難しくなくていいじゃん、ペット感覚でつければいいじゃん」


 そう、思いつかないが故のペット感覚での名付けである。
 街中で呼んだりするんだから、凝った名前にしたら後で恥ずかしくなるのは僕なのだから、それにこいつも嫌だろう。
 それなら…クルでいいか。
 そう考えて僕は先程から撫でていた蟲をすくい上げるようにして掌に乗せると、ニコッと笑って言う。


「君の名前はクル、だ。いいね?クル、だよ」
「キュイイイ!」


 どうやら喜んでいるようで僕の掌に体を擦り付けている。本当に可愛い。


『個体名:【クル】確定しました。以降個体名:【クル】は貴方の使役魔になります』


 すると目の前に現れていたプレートの文章が変化する。おそらくクルが名前を覚えたからであろう。
 さらに読み進めていくと、なんとクルのステータスを見ることができるようになったようだ。早速確認してみると。


     ◆◆◆◆◆◆
 名前:【クル】 性別:【めす
 職業:【使役魔】
 Lv.1
【HP】250/250 【MP】280/280
【筋力】55 【耐久】90
【魔力】95 【精神】20
【敏捷】95 【器用】10


【技能】
・鎌術Lv.4 ・闇魔術Lv.3


【称号】
・三皇蟲 ・勇者の眷属 ・不死者 
・ジェノサイダー


     ◆◆◆◆◆◆


 驚いた、レベルの割には僕より高いステータスを持っている。そもそも僕は勇者なのだから一般人より高いステータスらしいのだが、クルを見ていると怪しくなってくるな…いや、こいつが特別高いのか?
 僕がクルのステータスを眺めて考え事をしていると僕のお腹が鳴る。
 …そういえば昼はまだ食べてなかったっけ。
 さすがに空腹を耐え続けるのはきついため昼食を食べるために街に戻ることにする。


「クル、おいで」
「キュー!」


 そうやってクルは一声鳴くと僕の肩に飛び乗る。
 そして僕は森を出て街に向かうのであった。          

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