操蟲の勇者

かずみ

第2話

 それはいつも通りの朝だった。僕は教室に行くと先に来ていた男子生徒や女子生徒と挨拶を交わし席に着くといつものようにこちらに駆けてくる男子生徒が1人。


「悪い!冬原、宿題見せてくれ!」
「またかい?佐藤君。しっかりしなきゃダメじゃないか」


 僕は内心見下しながら決して表情には出さずに数学のノートを佐藤に渡す。
 佐藤は嬉しそうにそれを受け取ると礼を言いながら自分の席へと戻っていく。
 すると今度は同じクラスの女子から声をかけられる。何事かとそちらを向くと教室の外からこちらを見ている女子生徒が1人、その側に僕を呼んだ女子生徒が立っていた。
 仕方がないので面倒くさいが立ち上がってそちらに向かいどうしたのかと尋ねる。


「どうしたの?佐伯さん。ところでその子は?」
「この子の名前はあやちゃんって言うんだけどね、なんと…冬原君のことが好きなんだって!」
「ゆ、ゆうちゃん!声大きいよ!」


 興奮したようにキャーキャー言っている佐伯をあやちゃんと呼ばれた女子生徒が慌てて口を塞ごうとする。周りの人間が見れば嫉妬や微笑ましいものを見ているような感じなのだろうが僕の気分はただただ「面倒くさい」とため息を吐きたい気分だ。
 そんなセリフ他の男子生徒が聞いたら間違いなく血涙を流して悔しがり、そして僕は強制的に体育館裏へご招待となるだろう。
 なぜそんなに面倒くさいと思うのかというと僕は自分で言うのもなんだが容姿はそれなりに優れている方で、さらに表面上はとても性格がいいのである。これでモテない方が変だろう。
 僕がため息を吐きたいのを我慢して笑っていると、あやちゃんと呼ばれた女子生徒がこちらを向いて言う。


「は、はじめまして…!白河綾音しろかわあやねです!えっと、前から冬原君のことが好きでした!付き合ってください!」


 そう言って顔を真っ赤にしている。
 まさか教室で告白されるなんて初めての経験だ。今までの子は体育館裏だとか人目につかないところで告白してきたのに、なかなかこの子は勇気があるようだ。僕の中の白河の評価を多少上げていると佐伯が横から口を出す。


「いい?冬原君、あやちゃんのこと泣かせたら私が許さないからね?」
「ははは、怖いなあ」


 僕は吐きそうなのを堪えながら笑う。
 僕はこういった友情とか言うものが嫌いなのである、吐き気がする。
 僕が傷つけずにどうやって断ろうかと考えながら口を開こうとした時、足元が突然光り出す。
 そして次の瞬間にはこの石造りの建物の中にいた、ということである。そして、僕の後ろには2人の女子生徒、佐伯優希と白河綾音もいるのであった。          

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