大鎌使いの死神少女と辛辣な魔女 〜二人に好かれた場合俺はどちらを好きになればいいのだろうか?〜

片山樹

5

「領域? それはどういうことだよ?」

「はぁー? 貴方、そんなことも知らないで裁定者とかを名乗ってたわけ? 本当に無知ね。もう、しょうがないわね。教えてあげるわ」

 意外と話が早い奴で良かった。
面倒くさい奴なら教えてあげるからその代わりとか言い出して何か見返りを求めるからな。

「何か今、思ったでしょ?」

「なんも思ってねぇーよ」

「そ、そう。それならいいのよ。それで領域っての言うのは……に、逃げてっ!?」

 エリスが叫んだ瞬間俺は身体を咄嗟に動かした。すると俺が元いた場所に上から血が落ちてきた。そしてその血は地面に落ちるとアスファルトを溶かしていた。

「こ、これは……なんだよ?」
 俺がエリスに尋ねる。

「死神の仕業よ……これは大変だわ。とりあえず、建物の中に入るわよ」
 エリスの指示により、校舎内に入れた。

「さ、さっきの血はなんだよ? あれは……」

「あれは死神の血ね。まぁー死神の血というよりも死者の血。魂を売った者の血と言った方がいいかしら」

 魂が売った者の血?

「例えばの話よ。死んだら人はどうなると思う?」
 こんなの答えなんて無いよな。

「それは勿論、腐るだろうな。肉体はな」
 常識的な解答をしてやった。
本来は天国に行くとか地獄に行くとかいうかもしれないけど、俺は超現実主義だ。

「半分正解。確かに肉体は腐るわ。なら魂はどうなるのかしら?」

 魂がどうなるか?
そんなの答えなんて無いよな。

「分かんねぇーよ」
 一般人の模範解答らしい解答をしておく。

「そうでしょうね。それが当然の答えよ。でも奴等(死神)は違うの。死神にとっての魂とは血のことなのよ」
 血が魂とみなす。
死神にとってはそんな認識をしているのか。
要するに宗派とかの違いと考えてよさそうだな。

「ふぅ〜ん。そうかよ。それで何故魂を血をみなすんだろうな?」

「それは簡単なことよ。貧血状態になったら身体を上手く扱えないでしょ? それと同じ」
 確かに分かりやすかった。

「それじゃ、問題ね。死んだ人間の血はどうなると思う?」

「固まるだろ」
 俺はあっさりと答える。

すると、エリスはうんと頷いた後、
「だけど……魂を奪われた人間の場合は血は固まらないのよ。ずっと鮮度を保つことができるの」

 意味が分からなかった。
そんな常識的にありえない。
でも日常に潜む非日常というものを体験している以上、そんなことも言ってられない。

「そ、それは……? どういうことなんだ?」

「鮮度を保てるっていう事は腐らないことなの。でも、魂を奪われているのだからその肉体は動かすことができない。つまりーー魂を奪われた人間は死神にとって貯蔵庫ってことなのよ」

「貯蔵庫だと……それなら今の俺は?」

「領域内に入った獲物でしょうね。それはそれは、嬉しいほどの」

「ま、待ってくれよ。それなら俺は死ぬのかよ」

「貴方が死ぬことは無い。そう、断言するわ。だって貴方は死んでいる様なものだから。そして私が貴方を必ず守るわ。だから安心していいわ」

 女の子にこんなことを言われるのは嫌だ。
俺はそんなに弱くないのだ。

「ふざけるなよ。俺はそんなに弱虫君じゃない!
俺も戦う! あいつとな!」

「そう。それならいいのよ。だけど1つだけ質問。
貴方は知ってるんじゃないの? 第一世界線で起きたことを。知っているなら教えて頂戴。第一世界線の私はどうなったの?」

 第一世界線ーーつまり、俺が魂を奪われた世界。その世界で俺の魂は奪われた。
そして彼女も殺された。
それはそれは無慈悲に。
それはそれは残酷に。

「殺されたよ……あの死神にね」
 俺がそう言うと、エリスは「そう……」と悲しく呟いた。

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