僕のブレスレットの中が最強だったのですが
さんじゅういっかいめ ロゼスの出会いと成長かな?
「クソッたれぇっ……あぁ……」
「ロゼス様、ジャスミンティーを用意いたしました」
何も不備はない、最上級の木で作られた城のような家。村長達よりもずっとずっと裕福である彼―――ロゼスは敗北を経験したことがない。
フェスタとガレクルがしゅんとして彼の部屋の隅っこに座っている。
彼らもロゼスと一緒にいることで敗北などなかったし、本物の仲間だった。
「ねえロゼス君ー、そうやって怒っても意味ないよー?」
「そうだぜロゼス元気出せよ! ほらメイドが持ってきたお茶でも飲めや!」
「僕があんな劣等に負けたんだよ!? 僕がだ! この僕が!! 元気を出せるわけがないじゃないか……分かってるんだ、理解してるんだ、いまの僕には勝てないってことも。でも認められるわけがないじゃないか!?」
「負けたのはー村長だしー、改めて挑めばー」
「簡単に言ってくれるね、僕は村長よりも弱いんだ、きっと……死ぬよ」
ガレクルよりもフェスタよりもロゼスは大人なのだが、どうしても、どうしてもルネックスに自分よりも強い村長が負けるのか分からなかった。いや、理解だけはしている。
しかし、認められないのだ。
かつて良いように貶めてきたというのに、この手のひら返しは受け入れられなかった。
成長をする環境があったルネックスに反して、ロゼスだってまだ所詮は成人していない十八歳だ。
「ぅっ……」
不意に、涙がこぼれた。
ぽつりと涙がジャスミンティーの入っているコップに零れた。
「ロゼス君ー……ボク、あいつにできて君に出来ないとは思わないよー! 絶対にー! ロゼス君なら勝てるはずだよー」
「僕が?」
フェスタが目を輝かせて微笑みながら膝を地面につけてロゼスを見上げた。紛れもなく、壊れることのない本物の信頼。
それが無くなってしまうとき、どうなるのだろうか。
何故か考えてしまったロゼスだが、瞬きをして考えるのをやめた。
部屋の隅を見てみると、ガレクルも決意を固めた顔でロゼスを見つめていた。彼は輝いていて、ロゼスは不意にガレクルより自分の方が才能が無いのではと思ってしまった。
自分には、何もない?
ロゼスは自分の掌を見つめ、拳を握ろうとしたその時……。
「止めんか、拙者はスラインデリア。もう一人の大精霊である」
「もう一人の?」
「何だ、知らなかったのか? あのルネックスは拙者ではないもう一人の大精霊の力を借りているのだぞ? ……最もあっちの大精霊は固定されているがな」
ロゼスの掌にネックレスと大精霊スラインデリアが乗っていた。大精霊フェンラリアと同じくらい、いやそれ以上かもしれない有名度。
アルティディアを救った回数は無限回。
そんなスラインデリアが今此処に居ることが三人には夢のように思えた。
ガレクルとフェスタも興味深そうにロゼスの掌の中を覗く。
「フェンラリアに届くように、拙者が貴様らに手を貸そう。悪くない提案だと思うのだが、受け入れないというのなら拙者はもう此処には現れん」
「貴方のメリットはフェンラリア様を超えること、もしくは強い者を育てられること。僕らのメリットはルネックスに復讐できるほどの力を持てること……ですか」
ロゼスの分析に満足そうにスラインデリアが頷く。ガレクルとフェスタも納得したかのようにスラインデリアとロゼスを褒めまくっていた。
……
。。。
あれから、六か月目。
丁度ハイレフェアとルネックスが奴隷のことを話しあっていた時の事だろうか、訓練をしまくっていた平凡な(?)日々が終わりを告げた。
ロゼスはルネックスよりもネックレスの扱いが上手くなったが、魔力利用がまだまだだ。しかし、平均的にすべてのスペックがルネックスを上回る。
ガレクルはシェリアを超え、ルネックスに追いつこうとしている強さだ。
フェスタは防御魔術を極めて極めてもっと極めて、ルネックス達が全員で全力の攻撃をしても壊れないレベルの結界を創り出した。
スラインデリアは彼女で、もっと訓練し神の力までにたどり着いていた。
「ちょっと、いいかな?」
そんな特訓が、功を奏したのだろうか。
ある日に、聖神が訪れてきた。最初は警戒して剣を構えたが、すぐに降ろすことになる。
「おっと、警戒しなくてもいいよ。私は君達に協力をするために此処に居るんだよね、だから剣を降ろして。今から聞く話はきっと得する話だから」
「分かった。しかし敵になるものなら、僕が貴方を殺すよ」
現に。
現に、半殺しくらいならロゼスにも出来ることくらい聖神にはわかっている。本気を出せば回避できないことは無いが、危険な賭けだ。
「ルネックスを、恨んでるね? 実は私もなんだよね、だから協力してくれないかな。私の実力は、君らにも悪くないと思うんだけどね?」
「つまり、もしルネックスを殺せるのなら。僕も貴方も双方WINWINの結果というわけですね。……乗ってやりましょう。僕は彼を殺す以外することがないのだから」
「ロゼスよぉ! こいつがお前を利用してたらどうすんだ?」
「だとしても、もういい。僕に威厳なんて存在しないし、ルネックスを殺せるのならそれでいい。僕にはそれ以外やる事がないから」
ルネックスを殺せるのなら、死んでもいいし利用されてもいいしこき使われてもいい。ただ、ただ。ただルネックスを殺せるならという純粋な恨み。
そこがまた聖神に目を付けられる点でもあったのだろう。
聖神は面白いね、と微笑み、これからどうするか提案を持ちかけてきた。
「これから、ルネックス一行を精神的に苦しめる計画のつもりだよ。君は……最初から殺すのではなく、あいつが神界にて弱った時にラスボスとして出てもらうよ」
「じゃあその前に全て突破されたらどうするんですか?」
「私がいるよ。君以上の実力を持っている私が出てあいつが無事でいられるとも思ってないから。それに私の味方をしてくれている十二女神を待機させてあるしね」
「……僕が、了承する前提で来たんですね。分かりました、僕も神界に行くということですね? フェスタとガレクルは此処で……」
「ロゼスさんー!? ボクたち、修行していた意味がないよー。ボク達も連れて行ってー、神様くらいのレベルは期待してていいからー」
「でもね。これは真面目な―――――――――――」
ロゼスが首を横に振って聖神が説得しようとしたところで、ロゼスのネックレスからスラインデリアが飛び出した。
「この二人は使えるぞ」
その一言でまるで聖神かのように妙な説得力と団結力が生じた。聖神もロゼスもフェスタとガレクルのステータスを鑑定して「おお」と声を上げた。
中級、いやもしかしたら上級の神ほどの実力を持つ異様なステータス。
これはスラインデリアの言う通り、ルネックスの連れ達の足止めくらいならもしくは出来るかもしれない。
それに、これ程ならば神の犠牲も少なくなるかもしれない。
「拙者が出るとは聖神、貴様もそうは言っていないよな? 拙者が彼らの手助けをしよう。これでよいか? 出ても」
「まあいいよ。人手は多くて困らないからね」
「じゃあ、神界にさっそく行きたいんですけれど、今から行くのですか? それとももう少し経ってから行くのですか?」
「君は絶対早ければ早い方がいいでしょ? じゃあ今行くよ」
ロゼスは頷き、スラインデリアをネックレスに入るように言うと聖神が手を掲げた。最後に彼女はロゼスとフェスタ、ガレクルの方を見た。
本当に良いのかという確認のつもりだったが、彼らの瞳に迷いはない。
(いいよ……純粋な恨みは、私の糧となる)
ふっ、と目の前が真っ白になり、気づくと神界の神気城、つまり神の気がたくさん集まっている神聖な場所に居た。
此処は神が修行をするのに人気なスポットだ。
最近はルネックスの件で繁盛しているスポットでもある。
「おお、本当に助っ人を連れてきたぞ!」
「うわぁ!! 何なんだこいつらのステータス、俺よりずっとやべえ!!」
「下手したらフィナレイド様より強いわね」
口々に修行をしていた神たちが称賛の言葉を上げる。そんな物まるでないかのように聖神はロゼスの手を引いてもっと奥に進んでいく。
進めば進むほど人がいなくなり、紫と青の混ざった綺麗な色が見えてくる。
「あの、何処に進んでいるのですか?」
「私の訓練場、とでも言ったらいいかな。ここなら皆立ち入り禁止だし、神気も一番いいところだしね。ここで訓練してもらうことになってるけど」
「そうなのかよ。俺らも入っていいのか?」
「勿論、君も仲間の中に入っているしね、さあ入って」
中は蛍の光に非常に似たタイプのオーラで照らされていて、絶景という言葉では足りないほどに美しかった。神気が多いほどこうなるらしい。
ぱたん、という音がして外からの風景が魔力シェルターで遮断された。
正しくは、聖神が魔力を操って魔力に色を付け、さらに広範囲で盾を発動させただけだ。
「此処で訓練をするんですか? ルネックスが来るまで」
「うん。そういうことになるね。もしかして嫌だった? 此処が好きじゃない?」
「いえ、そういうことではありません」
「そうと決まったら訓練をしよう、時間は早ければ早いほどいいからね」
……
。。。
また、一か月の時間がたった。
聖神がいない間も、いる間も、ロゼス達は修行をし続けた。修行以外に何もやらず寝ず食わずで修行をしていた。
最も、修行の成果により寝ることも食べることも必要なくなったのだ。
「そろそろ、来ないとダメでしょ」
「そうだねーロゼス君ー、ボクと対戦してよー」
「はいはい」
「あ、待て、俺も混ぜろ、おーいー!!」
ロゼス対フェスタとガレクル。
あいにくロゼスが勝ったことしかなく、今までやったことのある戦闘の全てが最後の最後で隙を突かれて負けてしまっていた。
二週間ほど、こんな感じの戦闘をしたことがない。
だから負けるか勝つか、今度は誰にもわからない。
構えをとってしばらく待つ。
「――――――――――――――――――――――――」
完璧な無詠唱で神級魔術を放ったロゼス。その名は「神なる裁き」。未だにガレクルとフェスタが取得できていない全知全能神であるゼウスの切り札。
神の神器である神槍が雷を纏ってガレクルとフェスタに降ってくる。久しぶりなので手加減ができない。フェスタが全力で防御し、ガレクルがロゼスの術発動時の隙を一瞬で見分けて水を纏ったハンマーを振り下ろす。
「はっ!」
まさかのもう一度「神なる裁き」を二人に向かって今度は全魔力を乗せて打ち込んだ。カンスト? そんな言葉では生ぬるい。
カンストなんてものは無い、限界なんてものは無い、彼を超えられる者はいない……。
万を超え、億を超え、兆を超え、京を超え……そんなステータスの前で、全力で撃ちこまれたそれを耐えられるはずもなくフェスタとガレクルは吹き飛ぶ。
まだいい方だ、上級の神だったとしてもこれを受けたら死は免れない。
「どう? 僕も強くなったでしょ。もう、負けないよ」
「そうだねー!!」
「もちろんだ! 今のロゼスが、負けてたまるかよ!!」
三人の笑い声が響いた。
さあ、踊れ。華やかに、美しく。
答えはもうすぐそこだ、結末はもうそこに置いてある、後は仕上げだけだ。
――――――世界の「結末」は。もうすぐ終わる。
「ロゼス様、ジャスミンティーを用意いたしました」
何も不備はない、最上級の木で作られた城のような家。村長達よりもずっとずっと裕福である彼―――ロゼスは敗北を経験したことがない。
フェスタとガレクルがしゅんとして彼の部屋の隅っこに座っている。
彼らもロゼスと一緒にいることで敗北などなかったし、本物の仲間だった。
「ねえロゼス君ー、そうやって怒っても意味ないよー?」
「そうだぜロゼス元気出せよ! ほらメイドが持ってきたお茶でも飲めや!」
「僕があんな劣等に負けたんだよ!? 僕がだ! この僕が!! 元気を出せるわけがないじゃないか……分かってるんだ、理解してるんだ、いまの僕には勝てないってことも。でも認められるわけがないじゃないか!?」
「負けたのはー村長だしー、改めて挑めばー」
「簡単に言ってくれるね、僕は村長よりも弱いんだ、きっと……死ぬよ」
ガレクルよりもフェスタよりもロゼスは大人なのだが、どうしても、どうしてもルネックスに自分よりも強い村長が負けるのか分からなかった。いや、理解だけはしている。
しかし、認められないのだ。
かつて良いように貶めてきたというのに、この手のひら返しは受け入れられなかった。
成長をする環境があったルネックスに反して、ロゼスだってまだ所詮は成人していない十八歳だ。
「ぅっ……」
不意に、涙がこぼれた。
ぽつりと涙がジャスミンティーの入っているコップに零れた。
「ロゼス君ー……ボク、あいつにできて君に出来ないとは思わないよー! 絶対にー! ロゼス君なら勝てるはずだよー」
「僕が?」
フェスタが目を輝かせて微笑みながら膝を地面につけてロゼスを見上げた。紛れもなく、壊れることのない本物の信頼。
それが無くなってしまうとき、どうなるのだろうか。
何故か考えてしまったロゼスだが、瞬きをして考えるのをやめた。
部屋の隅を見てみると、ガレクルも決意を固めた顔でロゼスを見つめていた。彼は輝いていて、ロゼスは不意にガレクルより自分の方が才能が無いのではと思ってしまった。
自分には、何もない?
ロゼスは自分の掌を見つめ、拳を握ろうとしたその時……。
「止めんか、拙者はスラインデリア。もう一人の大精霊である」
「もう一人の?」
「何だ、知らなかったのか? あのルネックスは拙者ではないもう一人の大精霊の力を借りているのだぞ? ……最もあっちの大精霊は固定されているがな」
ロゼスの掌にネックレスと大精霊スラインデリアが乗っていた。大精霊フェンラリアと同じくらい、いやそれ以上かもしれない有名度。
アルティディアを救った回数は無限回。
そんなスラインデリアが今此処に居ることが三人には夢のように思えた。
ガレクルとフェスタも興味深そうにロゼスの掌の中を覗く。
「フェンラリアに届くように、拙者が貴様らに手を貸そう。悪くない提案だと思うのだが、受け入れないというのなら拙者はもう此処には現れん」
「貴方のメリットはフェンラリア様を超えること、もしくは強い者を育てられること。僕らのメリットはルネックスに復讐できるほどの力を持てること……ですか」
ロゼスの分析に満足そうにスラインデリアが頷く。ガレクルとフェスタも納得したかのようにスラインデリアとロゼスを褒めまくっていた。
……
。。。
あれから、六か月目。
丁度ハイレフェアとルネックスが奴隷のことを話しあっていた時の事だろうか、訓練をしまくっていた平凡な(?)日々が終わりを告げた。
ロゼスはルネックスよりもネックレスの扱いが上手くなったが、魔力利用がまだまだだ。しかし、平均的にすべてのスペックがルネックスを上回る。
ガレクルはシェリアを超え、ルネックスに追いつこうとしている強さだ。
フェスタは防御魔術を極めて極めてもっと極めて、ルネックス達が全員で全力の攻撃をしても壊れないレベルの結界を創り出した。
スラインデリアは彼女で、もっと訓練し神の力までにたどり着いていた。
「ちょっと、いいかな?」
そんな特訓が、功を奏したのだろうか。
ある日に、聖神が訪れてきた。最初は警戒して剣を構えたが、すぐに降ろすことになる。
「おっと、警戒しなくてもいいよ。私は君達に協力をするために此処に居るんだよね、だから剣を降ろして。今から聞く話はきっと得する話だから」
「分かった。しかし敵になるものなら、僕が貴方を殺すよ」
現に。
現に、半殺しくらいならロゼスにも出来ることくらい聖神にはわかっている。本気を出せば回避できないことは無いが、危険な賭けだ。
「ルネックスを、恨んでるね? 実は私もなんだよね、だから協力してくれないかな。私の実力は、君らにも悪くないと思うんだけどね?」
「つまり、もしルネックスを殺せるのなら。僕も貴方も双方WINWINの結果というわけですね。……乗ってやりましょう。僕は彼を殺す以外することがないのだから」
「ロゼスよぉ! こいつがお前を利用してたらどうすんだ?」
「だとしても、もういい。僕に威厳なんて存在しないし、ルネックスを殺せるのならそれでいい。僕にはそれ以外やる事がないから」
ルネックスを殺せるのなら、死んでもいいし利用されてもいいしこき使われてもいい。ただ、ただ。ただルネックスを殺せるならという純粋な恨み。
そこがまた聖神に目を付けられる点でもあったのだろう。
聖神は面白いね、と微笑み、これからどうするか提案を持ちかけてきた。
「これから、ルネックス一行を精神的に苦しめる計画のつもりだよ。君は……最初から殺すのではなく、あいつが神界にて弱った時にラスボスとして出てもらうよ」
「じゃあその前に全て突破されたらどうするんですか?」
「私がいるよ。君以上の実力を持っている私が出てあいつが無事でいられるとも思ってないから。それに私の味方をしてくれている十二女神を待機させてあるしね」
「……僕が、了承する前提で来たんですね。分かりました、僕も神界に行くということですね? フェスタとガレクルは此処で……」
「ロゼスさんー!? ボクたち、修行していた意味がないよー。ボク達も連れて行ってー、神様くらいのレベルは期待してていいからー」
「でもね。これは真面目な―――――――――――」
ロゼスが首を横に振って聖神が説得しようとしたところで、ロゼスのネックレスからスラインデリアが飛び出した。
「この二人は使えるぞ」
その一言でまるで聖神かのように妙な説得力と団結力が生じた。聖神もロゼスもフェスタとガレクルのステータスを鑑定して「おお」と声を上げた。
中級、いやもしかしたら上級の神ほどの実力を持つ異様なステータス。
これはスラインデリアの言う通り、ルネックスの連れ達の足止めくらいならもしくは出来るかもしれない。
それに、これ程ならば神の犠牲も少なくなるかもしれない。
「拙者が出るとは聖神、貴様もそうは言っていないよな? 拙者が彼らの手助けをしよう。これでよいか? 出ても」
「まあいいよ。人手は多くて困らないからね」
「じゃあ、神界にさっそく行きたいんですけれど、今から行くのですか? それとももう少し経ってから行くのですか?」
「君は絶対早ければ早い方がいいでしょ? じゃあ今行くよ」
ロゼスは頷き、スラインデリアをネックレスに入るように言うと聖神が手を掲げた。最後に彼女はロゼスとフェスタ、ガレクルの方を見た。
本当に良いのかという確認のつもりだったが、彼らの瞳に迷いはない。
(いいよ……純粋な恨みは、私の糧となる)
ふっ、と目の前が真っ白になり、気づくと神界の神気城、つまり神の気がたくさん集まっている神聖な場所に居た。
此処は神が修行をするのに人気なスポットだ。
最近はルネックスの件で繁盛しているスポットでもある。
「おお、本当に助っ人を連れてきたぞ!」
「うわぁ!! 何なんだこいつらのステータス、俺よりずっとやべえ!!」
「下手したらフィナレイド様より強いわね」
口々に修行をしていた神たちが称賛の言葉を上げる。そんな物まるでないかのように聖神はロゼスの手を引いてもっと奥に進んでいく。
進めば進むほど人がいなくなり、紫と青の混ざった綺麗な色が見えてくる。
「あの、何処に進んでいるのですか?」
「私の訓練場、とでも言ったらいいかな。ここなら皆立ち入り禁止だし、神気も一番いいところだしね。ここで訓練してもらうことになってるけど」
「そうなのかよ。俺らも入っていいのか?」
「勿論、君も仲間の中に入っているしね、さあ入って」
中は蛍の光に非常に似たタイプのオーラで照らされていて、絶景という言葉では足りないほどに美しかった。神気が多いほどこうなるらしい。
ぱたん、という音がして外からの風景が魔力シェルターで遮断された。
正しくは、聖神が魔力を操って魔力に色を付け、さらに広範囲で盾を発動させただけだ。
「此処で訓練をするんですか? ルネックスが来るまで」
「うん。そういうことになるね。もしかして嫌だった? 此処が好きじゃない?」
「いえ、そういうことではありません」
「そうと決まったら訓練をしよう、時間は早ければ早いほどいいからね」
……
。。。
また、一か月の時間がたった。
聖神がいない間も、いる間も、ロゼス達は修行をし続けた。修行以外に何もやらず寝ず食わずで修行をしていた。
最も、修行の成果により寝ることも食べることも必要なくなったのだ。
「そろそろ、来ないとダメでしょ」
「そうだねーロゼス君ー、ボクと対戦してよー」
「はいはい」
「あ、待て、俺も混ぜろ、おーいー!!」
ロゼス対フェスタとガレクル。
あいにくロゼスが勝ったことしかなく、今までやったことのある戦闘の全てが最後の最後で隙を突かれて負けてしまっていた。
二週間ほど、こんな感じの戦闘をしたことがない。
だから負けるか勝つか、今度は誰にもわからない。
構えをとってしばらく待つ。
「――――――――――――――――――――――――」
完璧な無詠唱で神級魔術を放ったロゼス。その名は「神なる裁き」。未だにガレクルとフェスタが取得できていない全知全能神であるゼウスの切り札。
神の神器である神槍が雷を纏ってガレクルとフェスタに降ってくる。久しぶりなので手加減ができない。フェスタが全力で防御し、ガレクルがロゼスの術発動時の隙を一瞬で見分けて水を纏ったハンマーを振り下ろす。
「はっ!」
まさかのもう一度「神なる裁き」を二人に向かって今度は全魔力を乗せて打ち込んだ。カンスト? そんな言葉では生ぬるい。
カンストなんてものは無い、限界なんてものは無い、彼を超えられる者はいない……。
万を超え、億を超え、兆を超え、京を超え……そんなステータスの前で、全力で撃ちこまれたそれを耐えられるはずもなくフェスタとガレクルは吹き飛ぶ。
まだいい方だ、上級の神だったとしてもこれを受けたら死は免れない。
「どう? 僕も強くなったでしょ。もう、負けないよ」
「そうだねー!!」
「もちろんだ! 今のロゼスが、負けてたまるかよ!!」
三人の笑い声が響いた。
さあ、踊れ。華やかに、美しく。
答えはもうすぐそこだ、結末はもうそこに置いてある、後は仕上げだけだ。
――――――世界の「結末」は。もうすぐ終わる。
「僕のブレスレットの中が最強だったのですが」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
5,039
-
1万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
76
-
153
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,863
-
1,560
-
-
14
-
8
-
-
108
-
364
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
2,951
-
4,405
-
-
218
-
165
-
-
2,629
-
7,284
-
-
86
-
288
-
-
51
-
163
-
-
34
-
83
-
-
88
-
150
-
-
42
-
14
-
-
164
-
253
-
-
614
-
1,144
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
220
-
516
-
-
2,431
-
9,370
-
-
614
-
221
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
2,799
-
1万
-
-
4,922
-
1.7万
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント