ラトキア騎士団悲恋譚

とびらの

約束?

 地球――

 太陽と呼ばれる恒星につく、直径十三万キロメートル弱の惑星である。恒星からの距離は、およそ一億五千万キロメートル。
  一恒星年――季節が一巡する時間は三百六十五日。自転時間は二十四時間。つまり一年が三百六十五日、一日は二十四時間である。
  多くの国では七日を一週間として区切り、末尾を国民の休日としているという。

 「……へえ。恒星以外、ラトキア星とそっくり同じなんだ」

  資料をめくりながら、アレイニは呟いた。それは独り言のつもりだったが。

 「そりゃそうだろ。ラトキア星に似た星を探した結果、行きついた惑星なんだからな」

  後ろからティオドールが説明してくれた。

  二人の部屋である。時刻はもう深夜に近く、風呂から戻った彼は、なぜか手に弁当箱を持っていた。胡坐で床に座ると、ぱかりと蓋を開く。覗きこんでみると、夕食と同じメニューだった。

 「……なんですか、こんな時間に。夜食? 肥りますよ」
 「肥れって言われたんだよ、だんちょーに」

  仏頂面で回答がきた。

 「筋肉量増やすにはまず体重が足りねえって。俺フツーに喰っても肥れないんだって言ったら、じゃあ二倍食えってさ」
 「に、二倍ですか」
 「正確には二,五倍? 朝昼晩とそれぞれ二人前、この夜食でもう一食、あと夕方におやつみたいなの」
 「……それ、体にいいんでしょうか」
 「なんかとりあえず胃をデカくしろってさ。うー、さすがにもう楽しく食えねえよ。だんちょー曰く、じきに慣れるってことだけどよぉ」

  テオが嘆くのも無理はない。彼とて成長期の男子相応によく食べるが、もともとが大盛りなのだ。それを倍量となればよほどの大食漢でなければつらい。

  トウモロコシを突いて転がす彼に、アレイニは思わず心の声がこぼれる。

 「……イイナア。私が食べたいですよ」
 「ん、べつに、食堂へ行けばもらえるぞ」
 「あなたとは逆に、私は食事制限が言い渡されたんです。夜食だなんてとんでもない」
 「なんで? アレイニ、肥ってねえじゃん」

  そう言って、彼は何とか黄色い粒を飲みこんだ。いかにも嫌々食べているようすに、アレイニは頬を膨らませた。

 「雄体化するとあちこち引き締まるんです。というか騎士団寮入りしてから実際に痩せたんですよ……多少はっ」

  そう言って、胸板を張ってみせた。

  テオとともに、地球へ行くことを命じられてから三週間――。
  具体的な作戦や着地場所の検討、政治家同士のやり取りを待っているうちに、それほどの日が経っていた。
  その間、アレイニには多くの仕事が与えられた。テロリスト追跡任務のための作戦会議にも参加をし、同時に向かう先、地球についての勉強もさせられている。今回の公開はごく少人数となる。宇宙船の設備も全員が使用できるよう、研修があった。

  めまぐるしい生活のなかで、アレイニは一気に雄体化が進んでいた。豊かな乳房もすっかりへこみ、完全に男性の姿である。
  そして何より――

 不意に、チクリと痛みを覚えた。
 「痛っ?」
  ティオドールが、コメカミあたりの髪を摘まんでいる。なにするんですかと問い詰めると、彼は慌てて指を離す。

 「すまんすまん。引っ張るつもりじゃ……いやその――ずいぶん、バッサリいったなあ、と思って」

  言われて、アレイニは自分で前髪を撫でる。指でやっと摘まめる程度の短さだった。
  ついこの間まで腰まであった青い髪は見る影もない。
  横髪を失い、むき出しになった頬をプウと膨らませて、

 「仕方ないじゃないですか。……地球でまともに調査するためには、他の騎士と同じ、言語変換装置を生める手術が必要だったんだから」

  そう、自分に言い聞かせるように呻く。
  これでもかなり、譲歩してもらったのだ。剃毛するのは手術に必要なごく一部だけにとどめ、あとはベリーショートで妥協させた。さらに退院後しばらくは帽子を被り、今日になってようやく、ショートヘアをそのまま晒したのである。
  それでもついつい、クセで前髪をいじろうとしたり、肩のあたりを空振りしたりしていたが。

 「こんなに短くしたのは初めて。……どうでしょう? これはこれで似合ってるって、バンドラゴラは褒めてくれたんだけど」

  テオは何も言わなかった。ノルマの夜食を片づけることに夢中になって、弁当箱に顔を突っ込んでいる。
  どうやらお世辞の一つも言う気はないらしい。まったく、帽子のプレゼントまでくれたバンドラゴラとは大違いである。
  バンドラゴラに、下心があるわけではない。ただ『女性扱い』しているだけだろうが。

 (……それでいくと、このテオのほうがよっぽど気遣ってくれそうなものだけど)

  そんなことをふと考える。
  テオは粗雑だが、まったくの愚鈍というわけではない。丸刈り頭にショックを受けているのは知っているのに、一言もかけてくれなかった。
  雄体化していたから――いまのアレイニが、男だからだろうか。

 (この子のなかでは、女の私と男の私は、まったく別人になってるのかな……)

  テオはすでに満腹らしい、不味そうになんとか食べながら、ボソリと呟く。

 「地球への遠征、捜査役のあんたは別に、手術受けなくてよかったんじゃないのか」

  なんだか機嫌の悪い声だった。

 「……ん……まあ、他の騎士が通訳してくれればなんとかなるでしょうけど。やっぱり不便だし」

 「不便? 頭蓋骨開いて、何年も伸ばした髪を刈るほどのことかよ。それに食事制限、戦闘訓練まで始めたんだって?」

 「ええもう、体中筋肉痛ですよ。でもまあ、実際運動不足でしたからね。髪を切るのも嫌だったけど、現場に出るなら仕方ないって、団長が――」

 「だんちょーの言うことなんでも聞くのが、騎士の仕事じゃねえだろうが」

  声量こそ抑えていたが、口調が荒れている。アレイニはさすがに眉をひそめた。

 「あなただって、言われた通りにしてるじゃないですか。顔色悪くなるまでお弁当食べて」

  う、と呻くテオ。それきり、彼は視線を逸らした。

  がつがつと無言でかっこむ少年。どう扱っていいのやらわからない。
  とりあえず隣に座ったまま、アレイニは話を戻すことにした。

 「地球、思ってたよりも過ごしやすそうですね。一日中ガスマスクと宇宙服を着けてなきゃいけない、くらいまで覚悟してたんですけど」

  その話題に、テオは表情を一変させた。
  目を細め、嬉しそうにまくしたててくる。

 「ああ、国によって全然違うけど、星全体の特徴はそっくり同じらしいぜ。気温や湿度、酸素濃度、それから生体系なんかも」

 「……そっか。交流している星がたまたま似てた、じゃなくて、よく似ていたから交流が始まったんですね」
  納得するアレイニに、テオは適当に相槌を打った。

 「まあ実際んとこはどうだかな。俺も、行って見てきたわけじゃなし――コレの通りなら、治安や食料の心配はしなくてよさそうだけど」 

  と、私物入れから書物を取り出す。

  例の『マンガ』だ。床に座り、ぺらぺらとめくりだしたのを後ろから覗き込む。
  すぐにまるごと手渡してくれた。彼にはもう読みあきた古誌らしい。改めて最初からめくってみるが、書かれた内容はまったくわからなかった。

 「これ、どういう話なんですか?」
 「どーいうって、ベタな学園ギャグだな。主人公が転校して、入った学校がおかしなの。学校も変だしクラスメイトもみんな変でさ――」

  指さして解説してもらっても、その面白さはあまり伝わらない。
  『可笑しなこと』を笑うには、『普通』を知らなくてはならない。教師がミュージカル調で授業をする、学級委員長がやたらとコワモテ――それの、どこが異常でなにが正常なのか、地球を知らないアレイニには判断が付かない。
  幼少から読み慣れて、それがわかるというテオは、なるほど地球ネイティブでは役立ちそうである。

  笑いどころはわからないまま、それでもなんとなく、雰囲気だけは伝わってくる。

 「……ふうん。とても豊かで、平和な国なんですね……」

  アレイニのつぶやきに、テオはとてもうれしそうに笑った。

 「だよな。ラトキアやオーリオウルとは大違い。理想郷だぜ」
 「これは、創作の世界なんじゃないんですか?」
 「そりゃあ話自体はな。でも舞台設定はそのまんまだろ。軍隊が無くて、十五歳までは全員が学校に行って、ほとんどが二十歳前後までずっと勉強してるんだって」
 「本当!? それはすごい。ラトキアじゃごく一部、年に二百人もいないのに」
 「しかも男女関係なく全員だ。身分差別もない、能力さえあればどんな仕事にもつける。政治家にだって」

  アレイニは眉をひそめた。

 (それは、さすがにありえないわ)

  誰もがどんな仕事にもなれる世界、そんなものが実在するわけがない。どうしたって能力には個人差がある。それは差別ではなく、生まれ持っての個性だった。それを無視して無理やり平等な世界を作れば、有能な人間たちが暴動を起こすだろう。あるいはほかの国に侵略されている。
  経済も、奴隷階級の労働力は欠かせない。貧富の差がありすぎてはいけないが、まったくフラットでも共倒れだ。

  テオの語る理想郷、それが何もかも幻想とは言わないが、すべてが真実ではないだろう。
  それを差し引いても、豊かで平和なのは違いないのだろうが。

  テオはさらにマンガ本を数冊取り出した。

 「見ろよコレ、ニホンの料理。すげえ美味そうじゃねえ?」
 「……ん? まあ……ちょっと、食材が想像つかないんだけど……」
 「これは魚、これも魚。ニホンの食材は、ものすごくたくさん種類があるんだ。ラトキアみたいに全部王都で培養するんじゃなく、海や山まで取りに行って、それが普通の家で料理されてるんだってよ」

  はあ、と生返事。アレイニの疑いを察したか、テオはなにやら得意げになった。

 「ニホンはな、大人になると、誰でも個人でクルマを持てる。それで町からずっと遠くまで毎日でも出かけられるんだぜ」
 「えっ、庶民までみんなですか? そんな。それじゃあ道がふさがっちゃうんじゃないですか?」

  今度はテオは首をかしげた。彼も所詮、マンガからの聞きかじりだ。真実の姿はやはり、現地に直接行かねばわかるまい。

  二人はしばらくそうして、マンガ本を覗き込み、見知らぬ大地をネタにして談義する。荒唐無稽な異世界の伝説。アレイニにはそのほとんどが、テオ少年の夢想に思えた。それでも、とても楽しい時間であった。

  隣で満面の笑みを浮かべてはしゃぐテオが可愛らしくて、ニホンの情景より彼の横顔のほうをずっと見ていた。

「楽しみだなーっニホン!」

  大好きな世界のことを話し込み、すっかり機嫌をよくしたテオ。
  いつのまにか弁当はからになっていた。膨れた腹を抑えて寝転がるのを、アレイニは呆れて見下ろした。

 「なんだ、立候補したのは、観光目的だったんだ。命懸けの任務だってのに不謹慎ですね」

  呟きは即座に否定された。

 「ちがうよ、行先がニホンだってのは最後に聞いたんだし」
 「ああ、そういえばそうか」

  すぐに納得したが、腑に落ちない。テオは快活で血の気も多いが、戦が好きなわけではない。未熟な新人である、身の程もわきまえているはずだ。

  たまたま行先がニホンだった、そうでなければ、楽しい旅ではない。
  あんな馬鹿みたいに背伸びして、硬直するほど苦手な騎士団長に進言してまで、ごり押し自薦した意味が分からなかった。

  その理由を追及していく――と、テオはみるみる、機嫌を損ねていった。
  さっきまでの笑顔を仏頂面に変えて、アレイニに背を向ける。
  赤い髪をちょいちょいと引っ張って、

 「……何、スネてるんでちゅか、おこさまテオ」

  煽ってみても微動だにしない。

  自分の腕を枕にし、堅い床に寝転がったまま、テオはボソリと吐き捨てる。

 「あんた、このまま正式に騎士団入りするつもりなのか」

  唐突な問いかけだった。

  アレイニは即答しかねた。問いの内容にも、テオの気持ちも量りかねて。

 「……たぶん……この任務が無事成功したら、団長か将軍に、任命されると思うけど」

  やがて出てきた言葉は、我ながら不安定である。もちろんティオドールは納得しない。

 「色々不自由な現状だって、臨時ゲストだからずいぶん配慮されてるのはわかってんだろ」

 「……わかってますよ。もし、正式な騎士になれば王都の家も引き払わなきゃだし、貴族としての業務がたくさん――」

 「そんなことじゃねえよバカ」

 「ばっ……!?」

  アレイニは気色ばんだ。誰に言われようとも、この少年に馬鹿呼ばわりだけはされたくない。
  引っぱたいてやろう――振りおろした右手は、テオの眼前で掴まれた。

  寝ころがったまま、アレイニの手首を握る騎士。振り払おうと引いてもびくともしない。
  痩せっぽちの、アレイニより十も年下の少年。体重も大差ないだろう。だが彼は強かった。雄体化し、男になったアレイニよりもはるかに。

 「うっ――うう……!」

  全力で抗い、ぶるぶる震える腕を、テオは握力だけで抑え込む。
  仰向けで見上げる金の目が、残酷な色を帯びていた。

  マンガ本を覗きこみ、夢物語に輝かせていたのとは様変わりした、男の顔。獣を思わせる鋭い瞳に戦慄する。
  テオは舌打ちした。

 「……遅い、弱い。なんだこの手首。女のまんまじゃねえか」
 「――離し、てっ――」
 「騎士になったら、絶対戦場に出るんだぞ。頭脳担当だのなんだの言ってられるか。シェノクだって、今でも毎日訓練してる。強い人間のそばで護ってもらうってのはな、一番ヤバい敵の前に姿をさらすってことだ。こんなふにゃふにゃの腕で、どうやって生き延びるつもりでいるんだよ。お前、ほんとに馬鹿だな」

  アレイニはのけぞり、全体重をかけて手を引いた。ちょうど緩められていたらしい、すっぽ抜けて、ひっくり返る。尻もちをついたまま叫んだ。

 「だから今、団長じきじきに鍛えてもらってるんです。あなたに迷惑はかけない。自分の身くらい自分で守る!」

 「底抜けのアホかてめえは!」

  今度こそ怒鳴られた。いつも明るい男の怒号に、一瞬びくりと肩がはねる。
  それでもアレイニは負けなかった。こちらも声を張り上げる。

 「なんなんですかさっきから馬鹿だのアホだのと失礼な! すいませんねえ弱くって。だけど騎士団長が決めたことでしょ、文句があるならあのひとに言いなさいよ!」

 「誰が足手まといは迷惑だなんて話してんだボケ、ふつーに考えろ、心配して言ってんだろうが!」

 「はあぁぁっ?」

  いよいよアレイニは眉をつりあげる。

 「心配ぃ? ああそう、それはどうもありがとう。でも命がけっていうならあなただって、いやあなたこそそうでしょう。前線専門の脳筋肉担当なうえ無駄に無茶ばっかりやって。どう贔屓目に見ても、私よりテオのほうが早死にしますね、ご愁傷様っ」

 「俺はいいんだよ、これでしか生きていけないんだから!」

 「なにそれそれなら私だって生活がありますよ! これは私の仕事、仕事しなくちゃ生きていけない――」

 「お前はどうにだってなるだろうが!」

 「どうにかって何? この私に、生活保護を受けろっていうわけ? 冗談じゃない!」

 「どーしてそう選択肢が狭いんだよお前は! 騎士以外にも仕事はあるだろ! わかってんのか? 騎士になるってのはな、女のままじゃいられねえんだぞ!!」

  かつてない大声に、アレイニの鼓膜と皮膚、壁までもがビリビリ振動する。
  さらにドン、と重い音、そして、
 「うるせぇぞ、痴話喧嘩なら地下にいけ! 何時だと思ってんだ!」
  隣室からの抗議だった。

  それで二人は黙り込み、気まずい空気で背を向けあう。

 「……歯磨きいってくる」

  そう吐き捨てて、テオが出かけた隙に、アレイニはそそくさとベッドへ上がった。
  ティオドールとはもう口を利きたくない。顔を見るのも嫌だった。

  これがただの同僚なら、そのまま二度と会話をしない。だが狭い騎士団寮、しかもあとまだ一年近く、同室で過ごさねばならないのだ。

 (……大人にならなきゃ。年上の私が、気を収めて……)

  そこまで己に言い聞かせても、さすがに今夜、いますぐ折れるのは無理だった。
  テオが戻るより前に、寝たふりを決めてしまおう。布団にくるまり、短い髪を枕にうずめる。

  ――雌雄同体、雌体優位の象徴でもある長い髪は、アレイニにとって大切なものだった。
  しかし実際、髪が短いのはとても楽だ。バンドラゴラが褒めてくれた通り、ベリーショートも意外と似合っていて、鏡に映るショートヘアの自分もだんだん気に入り始めている。
  このまま、短髪を維持するのもいいかもしれない。いや、いっそこのまま、男性として完成し、生きていけたら――

(……そしたら……『光の塔』の連中も喜ぶだろうな……)

 「おい、アレイニ」

  びくり――突然の声に肩が震える。あやうくハイと言ってしまう所だった。
  いつの間にか、テオが戻っていたらしい。
  跳ねるような鼓動を抑えながら、寝たふりをするアレイニ。寝息を作って聞かせてみる。
  だがテオは構いもしなかった。私物を片づけながら、言葉を続けた。

 「あんた、ホントにそのまま、男になっちまうつもりか」

  アレイニは答えない。
  電気が消された。向かいのベッド、一階に入っていくテオの気配。

 「……なあ。聞きたいことがあるんだけど」

  アレイニは答えない。

 「あんた……今度、雌体化するのいつだ? ……地球にいる最中か?」

  答えない。テオは答えを欲しなかった。アレイニの寝息に向かって、一方的に、彼はしゃべり続けている。

 「……あのさ。……地球で――もしあんたが、危ないところにいくことがあったら――それ全部俺がやるから。あんたのこと、俺が絶対護ってやるから――」

  アレイニは息を飲んだ。
  寝息も消えた。それでもテオは告げてくる。

 「――だから、頼む。今度雌体化したら、ヤらせて」

  ………………。

  チクタク、時計の音がする。夜風が窓枠を撫でる音。

 「約束な。じゃあおやすみ」
  ばさり、布団をかぶるティオドール。あくびの声、衣擦れ、しばしの間、そして寝息。
  アレイニはそのすべての音を聞き取った。

  そして――叫んだ。

 「――えっなんで!? いやです!!」

  その声は今宵最大の音量であったが、隣人も同室の少年もクレームをつけてこなかった。

  とっぷりと更けたラトキアの夜。
  眠れないのはアレイニただひとりのようだった。

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