TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
千佳ちゃんと、最後のドイツ観光。
今日もヒルデちゃんたちに名所を案内してもらう予定です。
朝食を食べ終わったら出発なので、既にお出掛け用の服に着替えた状態で食堂へとやって来ました。
「あらおはよう。千佳ちゃん、恵ちゃん」
「おはよう、お祖母ちゃん」
「おはよー!」
車椅子に座ったまま食事をとっているお祖母ちゃんのテーブルへと座って、メイドさんたちに朝食を持ってきてもらいます。
庶民的には自分で取りに行くよと言いたい所ですが、残念ながらセルフサービスは行っておりません。
「今日はお祖母ちゃんも一緒に行くんだったよね? 車椅子押してあげるね」
「あら千佳ちゃんは優しいねぇ。お願いするわね」
「私も押すー!」
「あらあら、うふふ。恵ちゃんもお願いね」
お祖母ちゃんとの会話を楽しみながら、朝でも絶品な食事を食べているとメイド長のペトラさんが食堂へと入って来ました。
見るからに高そうな細長い桐箱を抱えて。
「ご当主様。諸弓家の幸二郎様からの誕生日プレゼントが届きました」
「あら? 何かしら?」
「諸弓家の幸二郎様って、日本に居るお祖父ちゃんの事?」
「そうでございます。ではテーブルに失礼させていただきます」
どうやら以前遊びに行ったことがあるお母さんのお父さん、つまり私のお祖父ちゃんからのプレゼントなようです。
メイドさんが食後の紅茶を端に退けてくれて、そこにペトラさんが桐箱を置きました。
「あらあら、何が入っているのかしら……あら?」
「……こ、これって」
「すごーい! 日本刀だー!」
桐箱に入っていたのは鞘に入った一本の刀で、徐にお祖母ちゃんが鞘から抜くと滑らかな刀身がお目見えになりました。
どうして女性へのプレゼントが武器なの!? と動揺しましたが、ゲーム好きなメグちゃんはテンションを上げて叫びました。
その声に釣られて同じく朝食をとっていた親戚たちが日本刀を見に集まって来ます。
「凄いな! 千佳、今も日本には侍がいるのか!?」
「い、いや、多分居ないと思うんだけど」
クリスは身体を動かすことが好きなスポーツ少女なので、刀にも興味津々です。
「お祖母様! ウチにもそれ触らせてねん!」
「流石はお嬢様のお祖父様でございますね! わたくしも触ってみたいですわ!」
「危ないからね!? いや、私も詳しい訳じゃないけど、絶対に危ないからね!?」
キャロルは珍しいものに触りたいと授業のように手を上げ、ヒルデちゃんも歴史の解説をしている時のようにテンションが上がりました。
刀を観察していたお祖母ちゃんとペトラさんが感嘆の溜め息を吐きました。
流石お祖父ちゃんとでも言えばいいのか、貴族のお眼鏡に適うような代物のようです。
前世が男な私だって触りたい、振ってみたいと思うのですが皆に危ないって言った手前簡単には触れられません。
……後で個人的にお祖母ちゃんにお願いしてみよう。
「ご当主様、こちらのお刀は如何なさいますか?」
「そうねぇ。皆の手に触れる所は危ないから、宝物庫に保管しましょうか」
「宝物庫なんてあるの!?」
流石は貴族です。まるでファンタジーな物語のお城みたい。
それからお刀はペトラさんによって丁重に回収され、私たちは朝食に戻る事になりました。
所変わって、今日はドイツ最後の観光です。
え? まだ二カ所目だって?
お屋敷に籠り過ぎて時間が無くなっちゃったんだよこんちくしょうめ!
……まぁ、大きなホームシアターで映画見たり、娯楽室で皆と遊んだりしていい思い出ができたから良しとしよう。
今日やって来たのはドイツでランキング一位とも言われる観光スポットです。
「――ここがノイシュヴァンシュタイン城か!」
ドイツの南端にあるホーエンシュヴァンガウという町の傍、山の上にそびえ立つ大きな城。
厨二心をくすぐる、とてもカッコいいお城です!
「お姉ちゃん! すっごい! 大きい!」
「大きいねメグちゃん!」
「この城は十九世紀に建設され……」
「あ、ヒルデちゃんの解説は大丈夫です。ありがとう」
またうんちくを披露し始めたヒルデちゃんを置いておいて、お祖母ちゃんの車椅子を押しながら城の中庭を歩いて行きます。
「とても綺麗よねぇ。どう千佳ちゃん? 恵ちゃん? 楽しんでくれてるかしら?」
「うん。とっても楽しいよお祖母ちゃん」
「ねぇねぇ! 見て来ていい!?」
「一人じゃ危ないからお父さんと一緒にね。走ってこけちゃ駄目だよ」
「はーい!」
今回は数日前に挨拶周りが終わったお父さんとお母さんも一緒に来ています。
メグちゃんはお父さんの手を取ってお城の入口へと走って行きました。
こけないかとっても心配です。
「ねぇ千佳ちゃん。お父さんとお母さんは好き?」
「え? うん」
クリスとシャロル、それにヒルデちゃんもメグちゃんと共に先に行って、今近くに居るのは私とお母さんとお祖母ちゃんだけです。
あ、メイドさんは居るけどね。
「お父さんとお母さんを大事にしてあげてね。それにお友達も、従妹たちも」
「うん。勿論、大事にするよ」
「そう、それは良かった。……美花さん。とても良い子に育てましたね。私は貴女を誇りに思います」
「ありがとうございます。お義母様」
私を撫でながら、お祖母ちゃんはお母さんを褒めました。
自分は間接的に褒められているだけだけど、お母さんが褒められて私も嬉しいです。
「日本に帰っても連絡頂戴ね? 老後の楽しみは孫と触れ合うことくらいだから」
「いやお祖母ちゃん。まだ現役じゃん」
お仕事でお屋敷に帰って来るのが遅れたのを忘れたとは言わせないぞ!
「あらあら、そうだったわねぇ。でも連絡は待ってるからね」
「うん! お祖母ちゃんからも連絡してね!」
「ええ。楽しみにしてるわね」
白い壁に青い屋根。豪華なお城を探検しながら、もう明日の夜には日本行きの飛行機に乗るんだなぁと感慨深く思います。
まだ皆と遊んでいたいなと思う反面、日本の友達たちと早く遊びたいなとも思って。
次にいつ来るか分からないドイツの風景を目に焼き付けていきました。
また次来る時を、楽しみにしてよう!
朝食を食べ終わったら出発なので、既にお出掛け用の服に着替えた状態で食堂へとやって来ました。
「あらおはよう。千佳ちゃん、恵ちゃん」
「おはよう、お祖母ちゃん」
「おはよー!」
車椅子に座ったまま食事をとっているお祖母ちゃんのテーブルへと座って、メイドさんたちに朝食を持ってきてもらいます。
庶民的には自分で取りに行くよと言いたい所ですが、残念ながらセルフサービスは行っておりません。
「今日はお祖母ちゃんも一緒に行くんだったよね? 車椅子押してあげるね」
「あら千佳ちゃんは優しいねぇ。お願いするわね」
「私も押すー!」
「あらあら、うふふ。恵ちゃんもお願いね」
お祖母ちゃんとの会話を楽しみながら、朝でも絶品な食事を食べているとメイド長のペトラさんが食堂へと入って来ました。
見るからに高そうな細長い桐箱を抱えて。
「ご当主様。諸弓家の幸二郎様からの誕生日プレゼントが届きました」
「あら? 何かしら?」
「諸弓家の幸二郎様って、日本に居るお祖父ちゃんの事?」
「そうでございます。ではテーブルに失礼させていただきます」
どうやら以前遊びに行ったことがあるお母さんのお父さん、つまり私のお祖父ちゃんからのプレゼントなようです。
メイドさんが食後の紅茶を端に退けてくれて、そこにペトラさんが桐箱を置きました。
「あらあら、何が入っているのかしら……あら?」
「……こ、これって」
「すごーい! 日本刀だー!」
桐箱に入っていたのは鞘に入った一本の刀で、徐にお祖母ちゃんが鞘から抜くと滑らかな刀身がお目見えになりました。
どうして女性へのプレゼントが武器なの!? と動揺しましたが、ゲーム好きなメグちゃんはテンションを上げて叫びました。
その声に釣られて同じく朝食をとっていた親戚たちが日本刀を見に集まって来ます。
「凄いな! 千佳、今も日本には侍がいるのか!?」
「い、いや、多分居ないと思うんだけど」
クリスは身体を動かすことが好きなスポーツ少女なので、刀にも興味津々です。
「お祖母様! ウチにもそれ触らせてねん!」
「流石はお嬢様のお祖父様でございますね! わたくしも触ってみたいですわ!」
「危ないからね!? いや、私も詳しい訳じゃないけど、絶対に危ないからね!?」
キャロルは珍しいものに触りたいと授業のように手を上げ、ヒルデちゃんも歴史の解説をしている時のようにテンションが上がりました。
刀を観察していたお祖母ちゃんとペトラさんが感嘆の溜め息を吐きました。
流石お祖父ちゃんとでも言えばいいのか、貴族のお眼鏡に適うような代物のようです。
前世が男な私だって触りたい、振ってみたいと思うのですが皆に危ないって言った手前簡単には触れられません。
……後で個人的にお祖母ちゃんにお願いしてみよう。
「ご当主様、こちらのお刀は如何なさいますか?」
「そうねぇ。皆の手に触れる所は危ないから、宝物庫に保管しましょうか」
「宝物庫なんてあるの!?」
流石は貴族です。まるでファンタジーな物語のお城みたい。
それからお刀はペトラさんによって丁重に回収され、私たちは朝食に戻る事になりました。
所変わって、今日はドイツ最後の観光です。
え? まだ二カ所目だって?
お屋敷に籠り過ぎて時間が無くなっちゃったんだよこんちくしょうめ!
……まぁ、大きなホームシアターで映画見たり、娯楽室で皆と遊んだりしていい思い出ができたから良しとしよう。
今日やって来たのはドイツでランキング一位とも言われる観光スポットです。
「――ここがノイシュヴァンシュタイン城か!」
ドイツの南端にあるホーエンシュヴァンガウという町の傍、山の上にそびえ立つ大きな城。
厨二心をくすぐる、とてもカッコいいお城です!
「お姉ちゃん! すっごい! 大きい!」
「大きいねメグちゃん!」
「この城は十九世紀に建設され……」
「あ、ヒルデちゃんの解説は大丈夫です。ありがとう」
またうんちくを披露し始めたヒルデちゃんを置いておいて、お祖母ちゃんの車椅子を押しながら城の中庭を歩いて行きます。
「とても綺麗よねぇ。どう千佳ちゃん? 恵ちゃん? 楽しんでくれてるかしら?」
「うん。とっても楽しいよお祖母ちゃん」
「ねぇねぇ! 見て来ていい!?」
「一人じゃ危ないからお父さんと一緒にね。走ってこけちゃ駄目だよ」
「はーい!」
今回は数日前に挨拶周りが終わったお父さんとお母さんも一緒に来ています。
メグちゃんはお父さんの手を取ってお城の入口へと走って行きました。
こけないかとっても心配です。
「ねぇ千佳ちゃん。お父さんとお母さんは好き?」
「え? うん」
クリスとシャロル、それにヒルデちゃんもメグちゃんと共に先に行って、今近くに居るのは私とお母さんとお祖母ちゃんだけです。
あ、メイドさんは居るけどね。
「お父さんとお母さんを大事にしてあげてね。それにお友達も、従妹たちも」
「うん。勿論、大事にするよ」
「そう、それは良かった。……美花さん。とても良い子に育てましたね。私は貴女を誇りに思います」
「ありがとうございます。お義母様」
私を撫でながら、お祖母ちゃんはお母さんを褒めました。
自分は間接的に褒められているだけだけど、お母さんが褒められて私も嬉しいです。
「日本に帰っても連絡頂戴ね? 老後の楽しみは孫と触れ合うことくらいだから」
「いやお祖母ちゃん。まだ現役じゃん」
お仕事でお屋敷に帰って来るのが遅れたのを忘れたとは言わせないぞ!
「あらあら、そうだったわねぇ。でも連絡は待ってるからね」
「うん! お祖母ちゃんからも連絡してね!」
「ええ。楽しみにしてるわね」
白い壁に青い屋根。豪華なお城を探検しながら、もう明日の夜には日本行きの飛行機に乗るんだなぁと感慨深く思います。
まだ皆と遊んでいたいなと思う反面、日本の友達たちと早く遊びたいなとも思って。
次にいつ来るか分からないドイツの風景を目に焼き付けていきました。
また次来る時を、楽しみにしてよう!
「コメディー」の人気作品
書籍化作品
-
-
149
-
-
52
-
-
267
-
-
1
-
-
125
-
-
93
-
-
361
-
-
516
-
-
15254
コメント