TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―

夕月かなで

お姉ちゃん連合

 朝、ベッドの頭側に位置するカーテンを開ければ秋の日差しが部屋を照らし出す。
 私の両側でまだ布団に包まって寝ているメグちゃんとマリーの寝顔を堪能してから、二人を起こしに掛かります。

「起きて、二人共」
「ふみゅぅ……おねぇ、ちゃん?」
「ん……ふぁぁ、もう朝デスカ?」

 寝惚けた二人は上半身だけ起こし両手を上げ、私に抱き付いてきます。
 朝から可愛いなんて、私の体力が保たないよ!
 そしてそのままメグちゃんは私を抱枕にして二度寝、マリーは頭をグリグリと私の肩に押し付けながら眠気を覚ましています。
 ……さて、学校でのお別れ会が終わったのに何故マリーが家に居るのかと言うと。

「マリー。今日はアリシアママとスカイツリーに登るんでしょ? 早く起きて準備しないと」
「ハッ!? そうデシタ! 今日はハラジュクーにお出掛けデス!」

 短気留学は終わったものの一週間程は家に滞在し、東京近辺の観光とお土産探しをするそうなのです。
 それにアリシアママは理事長に会いに行く用事もあるそうで、何だか大人な裏話がありそうです。

「うみゅ……」
「うふふ、メグちゃん可愛い。……ってメグちゃん!? 早く起きて!」



 こうして慌ただしい朝を抜け、場所は変わって学校のとある空き教室。

「もうね、朝のメグちゃんはすんごい可愛いんだよ! うみゅ、だよ! あんなに可愛い生物見たことないよ!」
「……それなら桃だって、いつも寝る時に手を繋いでくる」
「わー、恵ちゃんも桃ちゃんも可愛いねー。でもなんで私ここに居るんだろー?」

 空き教室にいる三人、私と莉里ちゃんとリンファ先輩。
 そう、ここはファンクラブの裏組織の会場。
 私達の名は、お姉ちゃん連合!

「それでね、花ちゃんも可愛いの! いつも家の前で合流するんだけど今日は家まで来てくれて、どうしたのって聞いたらなんて言ったと思う?」
「えっとー、どんなことを言ったのー?」
「お姉ちゃんに早く会いたかったからだって! もうその場で抱き締めちゃったよぉ!」
「……ふむ。桃じゃ出来ない」
「うんー、可愛いねー。それで、私はどうして呼ばれたのー?」

 相槌を打ってくれながらも疑問を解消しようとするリンファ先輩。
 しかし私達の妹愛は止まらない!

「……ではこちらから」
「どうぞどうぞ」
「あれー? スルーなのかなー?」
「……この前の休日、桃と手を繋いで散歩してた」
「ふむふむ」
「……それで小さい女の子が迷子で泣いてて、もう片方の手で繋いでお母さんの元へと連れて行ってあげた」
「流石莉里ちゃんだね!」
「……それで無事に連れて行ったら女の子を構い過ぎたみたいで、桃が拗ねた」
「可愛いいいいいい!!」
「そうだねー、可愛いねー。それで、私は帰ってもいいのかなー?」
「駄目だよリンファ先輩! 私達お姉ちゃん連合でしょ!」
「いつそんな連合作ったのー!? 私、妹も弟もいないよー!?」

 そう言うリンファ先輩の右肩に私が、左肩に莉里ちゃんが手を置きます。
 ここに来て私達は重大な間違いに気付いたのです。

「ごめん、私が間違ってたよ。リンファ先輩は、皆のママだもんね!」
「……リンファママ。うん、ぴったり」
「何言ってるのー!?」

 空き教室に、一人の母性溢れる女のママの悲鳴が木霊する。
 本来リンファ先輩は、お姉ちゃんらしさから仲間に入れた訳だったけれど、それ以上の役職を見つけてしまったのだ。
 あまり甘えられない全お姉ちゃん達の為、リンファ先輩は名誉連合会長に襲名だ!

 ――こうして秘密裏に結成されていた妹を自慢し合うだけの組織、お姉ちゃん連合。
 いつしかその情報は学校中のお姉ちゃんに広がり、最終的には体育館でお姉ちゃん総会が開かれるまでに発展するのであった……。

「リンファママは皆のママだね!」
「……リンファママなら私達も甘えられる」
「二人共今日変だよー! 誰か助けてー!」

 それから、リンファ先輩に泣かれたので名称は戻して二十回くらい謝った二人であった……。

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