TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
眼鏡っ子お姉さん現る!?
今日も今日とてファンクラブ日和の一日。
給食を終えたお昼休み、私の席の周りには沢山の女子たちが集まっていました。
給食のメニューの話や授業の話に続いて私が、妹がどれだけ素晴らしいかということを演説していると、背の高い女の子が教室へとやってきました。
「えっと、諸弓千佳さんー? という方はいますかー?」
「おりますよ~。千佳ちゃん、お客さん」
「だからね! 妹は姉にとって重要なファクターであり、共にシナジー効果を生む、プライオリティの高いものであるべきなんだよ!」
「千佳ちゃんや~い。無理して意識高い系せんでええから、お客さん」
「ん? ああ、じゃあ今日はここまで」
「明日もする気なん!?」
湖月ちゃんの呆れた顔を横目に、私を呼んだ女の子の元へと向かいます。
あ、ファンクラブの人たちは皆で妹について語り合っています。
千佳ゼミ、妹研究の第一人者になれそうです。
「あ、貴女が諸弓千佳さんだねー。私は五年生の物部リンファって言うのー」
「物部リンファさん……、失礼ですが中国の方ですか?」
「うん、でも生まれも育ちも日本だからねー。お母さんが中国出身なんだ。千佳ちゃんもそんな感じなのかなー?」
「はい。私の場合はクォーターですけど」
「そうなんだー」
「それで物部先輩は、私に何か用でしょうか?」
「うんー。ちょっと先生に呼んできてって言われててー」
「そうなんですか!? 先輩を使いに出したみたいで申し訳ないです」
「全然大丈夫だよー! それじゃあれっつごー」
「はい」
なんだかおっとりした先輩だな。
喋り方もゆっくりだし、細い縁の眼鏡を着けたタレ目と柔らかい表情も相まって、とても優しそうな雰囲気が醸し出されている。
編み込むように後頭部で纏めた髪は、どうやってセットしてるんだろう?
「千佳ちゃんは人気者なんだねー」
「いつの間にかファンクラブもできてまして、お陰で毎日楽しんでます」
「そうなんだー。私ー、ついこの間引っ越してきたばかりでねー? あんまり友達もいないんだー」
「そうなんですね。じゃあ私とお友達になりませんか?」
「いいのー?」
「はい。物部先輩と話していると、とてもリラックスしますし!」
マイナスイオン出てるんじゃない? ってくらいのオーラが物部先輩から感じます。
なんというか、そう。
お母さんみたいな人です。
「よかったー。諸弓千佳さんが初めての友達だよー」
「……えっと。さっきあんまりって」
「てへっ、ちょっと見栄張っちゃったー」
「そうだったんですか。でも大丈夫です! 私の友達も一杯紹介するので、すぐに皆と仲良くなれますよ!」
「ありがとー。諸弓千佳さんは優しいねー。それに可愛いしー」
そう言った物部先輩は私の身体に腕を回して抱きしめました。
身長が高いせいか、まるで身体全身を包み込まれたような感覚です。
ああ、まるでお母さんの抱擁です。
ファンクラブの皆を失望させないためにも、少し気を張っていたのがボロボロと崩れていきます。
これがセラピーなのでしょうか。
「嬉しいよー、諸弓千佳さん」
「それは、よかったですぅ。えっとぉ、先輩。名前で呼んでもらっていいですかぁ?」
まるで麻酔を打たれたような、物部先輩の鼓動が私を眠りへと誘います。
きっとどんな不眠症も一発で治るであろう、最強の母性を感じます。
「じゃあ、千佳ちゃんでー。私も名前で呼んでねー?」
「は、はいぃ。リンファ先輩ぃ」
「ふふふー。リンファお姉ちゃんでもいいんだよー? お姉ちゃんにもっと甘えてねー」
「リンファお姉ちゃん……はっ!?」
危ない危ない、もう少しで本当に寝てしまうところでした。
リンファお姉ちゃん、は駄目ですね!
私のお姉ちゃんとしての尊厳が保てなくなりそうです!
私はお姉ちゃん、私はお姉ちゃん、リンファお姉ちゃん、って駄目だ!
「り、リンファ先輩で! リンファ先輩でいきましょう!」
「そー? ちょっと残念ー。妹いないから、もっと甘えてほしいなー?」
「うっ、あま、甘え……っ、早く行きましょう! 休み時間も終わっちゃうのでっ!」
「そうだねー。改めて、れっつごー」
「レッツゴー!」
最後らへんはヤケクソだった気がします。
そうして職員室についた私とリンファ先輩に、九重先生はこう言いました。
「リンファさんは学校にまだ慣れていないので、学校一の模範生徒である千佳ちゃんに暫くお世話をお願いしたいのです」
「お世話、ですか?」
「はい。授業などは同じクラスの皆さんにお願いしますが、長い休み時間になると女子生徒の殆どは千佳ちゃんの元へと赴くので。それにファンクラブの皆と一緒なら、すぐに馴染めるでしょう」
「そういう理由なら、分かりました。リンファ先輩もそれで大丈夫ですか?」
「大丈夫だよー。千佳ちゃんにはお世話になりますー」
新しく学校へやってきた先輩は、お母さんのような眼鏡っ子でした。
「うふふー。いつでも甘えていいからねー?」
「うっ、甘えたいけど、甘えたいけど! メグちゃんにそんな所見せられない!」
私の葛藤は続きます。
給食を終えたお昼休み、私の席の周りには沢山の女子たちが集まっていました。
給食のメニューの話や授業の話に続いて私が、妹がどれだけ素晴らしいかということを演説していると、背の高い女の子が教室へとやってきました。
「えっと、諸弓千佳さんー? という方はいますかー?」
「おりますよ~。千佳ちゃん、お客さん」
「だからね! 妹は姉にとって重要なファクターであり、共にシナジー効果を生む、プライオリティの高いものであるべきなんだよ!」
「千佳ちゃんや~い。無理して意識高い系せんでええから、お客さん」
「ん? ああ、じゃあ今日はここまで」
「明日もする気なん!?」
湖月ちゃんの呆れた顔を横目に、私を呼んだ女の子の元へと向かいます。
あ、ファンクラブの人たちは皆で妹について語り合っています。
千佳ゼミ、妹研究の第一人者になれそうです。
「あ、貴女が諸弓千佳さんだねー。私は五年生の物部リンファって言うのー」
「物部リンファさん……、失礼ですが中国の方ですか?」
「うん、でも生まれも育ちも日本だからねー。お母さんが中国出身なんだ。千佳ちゃんもそんな感じなのかなー?」
「はい。私の場合はクォーターですけど」
「そうなんだー」
「それで物部先輩は、私に何か用でしょうか?」
「うんー。ちょっと先生に呼んできてって言われててー」
「そうなんですか!? 先輩を使いに出したみたいで申し訳ないです」
「全然大丈夫だよー! それじゃあれっつごー」
「はい」
なんだかおっとりした先輩だな。
喋り方もゆっくりだし、細い縁の眼鏡を着けたタレ目と柔らかい表情も相まって、とても優しそうな雰囲気が醸し出されている。
編み込むように後頭部で纏めた髪は、どうやってセットしてるんだろう?
「千佳ちゃんは人気者なんだねー」
「いつの間にかファンクラブもできてまして、お陰で毎日楽しんでます」
「そうなんだー。私ー、ついこの間引っ越してきたばかりでねー? あんまり友達もいないんだー」
「そうなんですね。じゃあ私とお友達になりませんか?」
「いいのー?」
「はい。物部先輩と話していると、とてもリラックスしますし!」
マイナスイオン出てるんじゃない? ってくらいのオーラが物部先輩から感じます。
なんというか、そう。
お母さんみたいな人です。
「よかったー。諸弓千佳さんが初めての友達だよー」
「……えっと。さっきあんまりって」
「てへっ、ちょっと見栄張っちゃったー」
「そうだったんですか。でも大丈夫です! 私の友達も一杯紹介するので、すぐに皆と仲良くなれますよ!」
「ありがとー。諸弓千佳さんは優しいねー。それに可愛いしー」
そう言った物部先輩は私の身体に腕を回して抱きしめました。
身長が高いせいか、まるで身体全身を包み込まれたような感覚です。
ああ、まるでお母さんの抱擁です。
ファンクラブの皆を失望させないためにも、少し気を張っていたのがボロボロと崩れていきます。
これがセラピーなのでしょうか。
「嬉しいよー、諸弓千佳さん」
「それは、よかったですぅ。えっとぉ、先輩。名前で呼んでもらっていいですかぁ?」
まるで麻酔を打たれたような、物部先輩の鼓動が私を眠りへと誘います。
きっとどんな不眠症も一発で治るであろう、最強の母性を感じます。
「じゃあ、千佳ちゃんでー。私も名前で呼んでねー?」
「は、はいぃ。リンファ先輩ぃ」
「ふふふー。リンファお姉ちゃんでもいいんだよー? お姉ちゃんにもっと甘えてねー」
「リンファお姉ちゃん……はっ!?」
危ない危ない、もう少しで本当に寝てしまうところでした。
リンファお姉ちゃん、は駄目ですね!
私のお姉ちゃんとしての尊厳が保てなくなりそうです!
私はお姉ちゃん、私はお姉ちゃん、リンファお姉ちゃん、って駄目だ!
「り、リンファ先輩で! リンファ先輩でいきましょう!」
「そー? ちょっと残念ー。妹いないから、もっと甘えてほしいなー?」
「うっ、あま、甘え……っ、早く行きましょう! 休み時間も終わっちゃうのでっ!」
「そうだねー。改めて、れっつごー」
「レッツゴー!」
最後らへんはヤケクソだった気がします。
そうして職員室についた私とリンファ先輩に、九重先生はこう言いました。
「リンファさんは学校にまだ慣れていないので、学校一の模範生徒である千佳ちゃんに暫くお世話をお願いしたいのです」
「お世話、ですか?」
「はい。授業などは同じクラスの皆さんにお願いしますが、長い休み時間になると女子生徒の殆どは千佳ちゃんの元へと赴くので。それにファンクラブの皆と一緒なら、すぐに馴染めるでしょう」
「そういう理由なら、分かりました。リンファ先輩もそれで大丈夫ですか?」
「大丈夫だよー。千佳ちゃんにはお世話になりますー」
新しく学校へやってきた先輩は、お母さんのような眼鏡っ子でした。
「うふふー。いつでも甘えていいからねー?」
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