TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
運動会!最終種目、魂のリレー
「さぁ、もうプログラムも残り二つになりました」
「終わりが近付くと寂しなるな~」
運動会も終盤ですが、生徒の皆も保護者もまだまだ元気一杯なようです。
私も最後の種目であるクラス対抗リレーへの元気はしっかり残していて、そろそろウォーミングアップをしないといけません。
「最後のプログラムは私たちも参加するので、ここからは六年生の先輩に実況のバトンを渡したいと思います! 皆さんありがとうございました!」
「皆も最後まで頑張ろな~! ほな~!」
グラウンド中から聞こえる拍手喝采に両手を上げて応えます。
気分は大統領です!
「イエス、ウィーキャン!」
「千佳ちゃん。古いわ」
そして次のプログラムの選手たちが入場していって、リレーの参加選手たちが入場門へと集まってきます。
学年別、クラスごとに男女別のチームでリレーをするこの種目。
湖月ちゃんと共に入場門で待機している愛ちゃんたちに合流します。
「お待たせ!」
「皆もう集まっとるな~」
「お疲れ様、千佳ちゃん。湖月ちゃん」
二年女子のリレーは六人制になります。
愛ちゃんの体力も少しだけですが上がったと思うし、皆のバトンパスも上達したので一位を目指して頑張りたいです!
「おっ、もうそろそろ入場やで~」
「よーし! 皆、最後の種目頑張ろう!」
「おー!」
入場する前に六人で円陣を組んで、手の甲を上にして重ねます。
「勝つぞー! 二組!」
「ファイトオー!」
やってみたかったんだよね、これ!
事前に二、三回練習しておいて良かったです!
地面を叩くと同時に、砂埃が弾けるように舞い上がる。
活発さとノリの良さはクラス、いや学校一の湖月ちゃんがニヤリとした笑顔でスタートダッシュを決めた!
「頑張れ湖月ちゃん!」
そしてそのまま、他の子に追随を許さず次へバトンを繋ぐ。
見ている限りはリードも渡すタイミングもバッチリ。
そうして一位のままで進んだ私たちでしたが、遂に愛ちゃんの出番がやってきました。
「頑張って愛ちゃん! ここで待ってるからね!」
「う、うん!」
少し緊張しているようですが、あまり気負わないくらいに頑張ってほしい。
運動が苦手なのはどうしようもないからね。
パスをどうにかという様子で受け取った愛ちゃんは懸命に走りますが、体力と足の遅さもあり一人、二人と抜かれてしまいます。
涙目で走る愛ちゃんも中々そそりますが、私はスタート位置に立って応援を。
「頑張れ!! もうちょっとだよ!」
俯き気味に走っていた愛ちゃんですが、私の叫びが聞こえたようで顔を上げてくれました。
きっと順位を落としたことで自分を責めている愛ちゃんを安心させるように、精一杯の笑顔で手を振ります。
「こっちだよ! 頑張れ!」
愛ちゃんはもう直ぐという所で加速します。
火事場の馬鹿力と言わんばかりの、愛ちゃんの気合の走りが私の心を震わせました。
走るのが苦手でも、走るのが遅くても、走りきるという気持ちがあれば、最後まで走り切れる!
「ち、千佳ちゃん!」
「よし! 後は私に任せなさい!」
「がんば、て!」
こけそうになりながら渡されたパス。
思わず愛ちゃんの身体を支えてあげたい気持ちに駆られますが、ここで愛ちゃんの走りを、想いを無駄にするわけにはいきません!
「おぉぉぉぉ!!」
私は雄たけびを上げながら、先を行く走者たちへと迫ります。
土を抉り、腕を大きく振って、ただ勝ちたいという一心で駆け抜けます。
体力がなんだ、息切れがなんだ。
私一人だったらここまで本気になんてならなかったでしょう。でも、このバトンには私たち六人の気持ちが乗ってるんです!
それから私は無我夢中で走って、ゴールテープを切った所で崩れ落ちました。
二年生女子ということもあって距離はそこまでではありませんでしたが、いつも出している実力を遥かに超える速度で走った為、身体が少し悲鳴を上げています。
「だ、大丈夫か千佳ちゃん!?」
「だ、大丈夫。そ、それで、順位は」
「一位やで! うちら、勝ったんや!」
「よかっ、……た。……がくっ」
「千佳ちゃーん!?」
あ、その後直ぐに起き上がりました。
なんたってハイスペックですから。
胸もハイスペックにしてほしかったけど。
「千佳ちゃん! ありがとう!」
「愛ちゃん、頑張ったね」
「千佳ちゃんのお陰だよ! 本当にありがとう!」
「うん、どういたしまして!」
私が両手を広げると、待っていましたとばかりに愛ちゃんが突っ込んできます。
あぁ、柔らかい。
私も愛ちゃんも汗を掻いているけど、それでも愛ちゃんの肌はスベスベなんだね。
バレないように匂いも嗅いでおこう。
グラウンドで抱き合う二人、その光景はリレー競技が終わって退場するまで続きました。
そしてその日から全校生徒からの呼び名が、すけこましの千佳になるということは、今の私には知りようもなかったのです。
「終わりが近付くと寂しなるな~」
運動会も終盤ですが、生徒の皆も保護者もまだまだ元気一杯なようです。
私も最後の種目であるクラス対抗リレーへの元気はしっかり残していて、そろそろウォーミングアップをしないといけません。
「最後のプログラムは私たちも参加するので、ここからは六年生の先輩に実況のバトンを渡したいと思います! 皆さんありがとうございました!」
「皆も最後まで頑張ろな~! ほな~!」
グラウンド中から聞こえる拍手喝采に両手を上げて応えます。
気分は大統領です!
「イエス、ウィーキャン!」
「千佳ちゃん。古いわ」
そして次のプログラムの選手たちが入場していって、リレーの参加選手たちが入場門へと集まってきます。
学年別、クラスごとに男女別のチームでリレーをするこの種目。
湖月ちゃんと共に入場門で待機している愛ちゃんたちに合流します。
「お待たせ!」
「皆もう集まっとるな~」
「お疲れ様、千佳ちゃん。湖月ちゃん」
二年女子のリレーは六人制になります。
愛ちゃんの体力も少しだけですが上がったと思うし、皆のバトンパスも上達したので一位を目指して頑張りたいです!
「おっ、もうそろそろ入場やで~」
「よーし! 皆、最後の種目頑張ろう!」
「おー!」
入場する前に六人で円陣を組んで、手の甲を上にして重ねます。
「勝つぞー! 二組!」
「ファイトオー!」
やってみたかったんだよね、これ!
事前に二、三回練習しておいて良かったです!
地面を叩くと同時に、砂埃が弾けるように舞い上がる。
活発さとノリの良さはクラス、いや学校一の湖月ちゃんがニヤリとした笑顔でスタートダッシュを決めた!
「頑張れ湖月ちゃん!」
そしてそのまま、他の子に追随を許さず次へバトンを繋ぐ。
見ている限りはリードも渡すタイミングもバッチリ。
そうして一位のままで進んだ私たちでしたが、遂に愛ちゃんの出番がやってきました。
「頑張って愛ちゃん! ここで待ってるからね!」
「う、うん!」
少し緊張しているようですが、あまり気負わないくらいに頑張ってほしい。
運動が苦手なのはどうしようもないからね。
パスをどうにかという様子で受け取った愛ちゃんは懸命に走りますが、体力と足の遅さもあり一人、二人と抜かれてしまいます。
涙目で走る愛ちゃんも中々そそりますが、私はスタート位置に立って応援を。
「頑張れ!! もうちょっとだよ!」
俯き気味に走っていた愛ちゃんですが、私の叫びが聞こえたようで顔を上げてくれました。
きっと順位を落としたことで自分を責めている愛ちゃんを安心させるように、精一杯の笑顔で手を振ります。
「こっちだよ! 頑張れ!」
愛ちゃんはもう直ぐという所で加速します。
火事場の馬鹿力と言わんばかりの、愛ちゃんの気合の走りが私の心を震わせました。
走るのが苦手でも、走るのが遅くても、走りきるという気持ちがあれば、最後まで走り切れる!
「ち、千佳ちゃん!」
「よし! 後は私に任せなさい!」
「がんば、て!」
こけそうになりながら渡されたパス。
思わず愛ちゃんの身体を支えてあげたい気持ちに駆られますが、ここで愛ちゃんの走りを、想いを無駄にするわけにはいきません!
「おぉぉぉぉ!!」
私は雄たけびを上げながら、先を行く走者たちへと迫ります。
土を抉り、腕を大きく振って、ただ勝ちたいという一心で駆け抜けます。
体力がなんだ、息切れがなんだ。
私一人だったらここまで本気になんてならなかったでしょう。でも、このバトンには私たち六人の気持ちが乗ってるんです!
それから私は無我夢中で走って、ゴールテープを切った所で崩れ落ちました。
二年生女子ということもあって距離はそこまでではありませんでしたが、いつも出している実力を遥かに超える速度で走った為、身体が少し悲鳴を上げています。
「だ、大丈夫か千佳ちゃん!?」
「だ、大丈夫。そ、それで、順位は」
「一位やで! うちら、勝ったんや!」
「よかっ、……た。……がくっ」
「千佳ちゃーん!?」
あ、その後直ぐに起き上がりました。
なんたってハイスペックですから。
胸もハイスペックにしてほしかったけど。
「千佳ちゃん! ありがとう!」
「愛ちゃん、頑張ったね」
「千佳ちゃんのお陰だよ! 本当にありがとう!」
「うん、どういたしまして!」
私が両手を広げると、待っていましたとばかりに愛ちゃんが突っ込んできます。
あぁ、柔らかい。
私も愛ちゃんも汗を掻いているけど、それでも愛ちゃんの肌はスベスベなんだね。
バレないように匂いも嗅いでおこう。
グラウンドで抱き合う二人、その光景はリレー競技が終わって退場するまで続きました。
そしてその日から全校生徒からの呼び名が、すけこましの千佳になるということは、今の私には知りようもなかったのです。
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