TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―

夕月かなで

運動会!スプーンに玉を載せて走るあれ

「さぁ皆戻ってきたで~」
「ぐすん、ぐすん」

 湖月ちゃんに手を引かれて戻ってきた私に、代わってもらっていた六年生の女の子が席を替わってくれました。
 その際に私の頭を撫でていき、友達であろう人たちに合流して自慢しています。
 およよ、きっと修羅場の主役に触れたよって笑っているんです。

「もう千佳ちゃんも泣き止みぃや~。愛ちゃんも気にしてないって言っとるからさ~」
「だってぇ、皆の目がぁ」
「……よしよし、怖くない」
「ふぇぇ」

「あかん、千佳ちゃんがショックで赤ちゃんみたいになっとる」
「……私が見てるから、湖月は実況」
「ええ~? 滅多に見ない千佳ちゃんやし、うちも甘えてもらいたい~」
「……お姉ちゃんの、特権」
「ズルいわ~!」

 それから私は隣りの席に座る莉里ちゃんに抱きしめられたまま、三十分ほど心を休ませました。
 後半の二十分は莉里ちゃんの大きくなりつつある膨らみと柔らかい肌を堪能していましたが、内緒です。

「うううううう! お姉ちゃん、復活!」
「あ、千佳ちゃんおはよ」
「湖月ちゃんありがとう! さぁ今のプログラムは何だい!?」
「綱引きやで、見れば分かると思うけど。もう大丈夫なん?」

「何がかな?」
「いや、だってさっきの」
「何がかな?」
「いやあのさっ」
「何が、かな?」
「……さぁそれぞれの準備が完了したみたいやな! 泣いても笑ろても一発勝負! 綱引きの始まりや!」

 勝ちました。
 修羅場? ちょっと何を言ってるか分からないですね。



「さぁ次のプログラムは午前の部の最後になります! お父さんお母さん達の出番です!」
「プログラム九番。保護者対抗、スプーンリレーや!」

 説明しよう!
 スプーンリレーとは、手で持ったスプーンの上にピンポン玉を載せたままで走り、パイロンでターンして戻ってきてバトンタッチするリレーである!
 バトンタッチとは言っても上昇したとくこうやすばやさは継承されないぞ!

「さて、この競技は白組と赤組それぞれ二チーム、十名ずつで行われます。様々な学年から選ばれた先生とお父さんお母さんたちのドリームチーム! 生徒の皆で応援しよう!」
「因みにピンポン玉を落としたら直ぐ拾って再開やで~。なんと校長先生も赤組として参加や! うちらの裏切りもんやで!」

「ちょっ、湖月ちゃん! だ、大丈夫ですよ! 白組には教頭先生が入ってますので!」
「……校長先生許すまじ」
「莉里ちゃんまで! ほらっ! 校長先生がしょんぼりしてるじゃん! ちゃんと謝って!」
「ごめんなさいや~」
「ちゃんと! ちゃんと謝って!」
「……頑張って、教頭先生」
「ああ!? 校長先生から魂が抜けて真っ白に! が、頑張って校長先生! 私は応援してるからね!?」

 あ、校長先生腕捲くりだした。
 やはり生徒からの応援は嬉しいものなんだろうね。
 因みに、若手ということもあって我がクラスの担任、九重先生も白組に入ってます!
 他には愛ちゃんのお父さん、莉里ちゃんの両親が参加しています。
 莉里ちゃんのご両親、こういうイベント毎が大好きらしい。

 娘の莉里ちゃんと桃ちゃんとは違って、周りの保護者や先生たちに率先して声を掛けるテンション高い両親だなぁ……ちょっと待って、あの人たち酒入ってないよね?
 あ、莉里ちゃん。
 何々、持って行きそうだったから取り上げた?
 それはタイムリーだね、さすが莉里ちゃんだ。

「え、あれが素のテンションなの?」
「……祭りごとには、弱い」
「あっはい」

 そうして始まったスプーンリレー。
 どのチームもあまり差の無い、白熱したバトルです!

「赤組のあの、こっち側のチーム! 残り二人で、現在トップです! 次に、白組の、えっと、向こう側のチームが続きます!」
「チーム名くらい付けといてや……」

「あぁっと!? 首位を守っていた赤組のこっち側、玉を落としてしまいました!」
「遂にチームとも呼ばれへんなってもうたな……」

「しかし直ぐに立ち直ります! これは分からなくなってきました! そして赤組のこっち側と、白組の向こう側が殆ど同時にアンカーへと替わります!」
「すごい白熱しとるけど、名前がなんか歯がゆい!」

「僅差で赤組のこっち側が一位! 次いで白組の向こう側がゴールしました! そして次は赤組の向こう側がアンカーに回っています、白組のこっち側は九重先生が頑張って走ってます! 頑張って!」
「あかんややこしいわ! 最後まで皆も応援や!」

 こうして白熱したスプーンリレーは誰の怪我もなく終了し、我ら白組は少々負ける形にはなってしまいましたが、玉を落としてアワアワしている可愛い九重先生を見られたので良かったです。
 校長と教頭? あ、あんまり見てなかったや。

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