TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―

夕月かなで

第21話 運動会の終わり!

 美味しいお弁当タイムが終わりメグちゃんと花ちゃん、そしてお母さんたちと別れた私たちはクラスごとに分かれている席へと戻りました。
 これから始まる午後の部で出場する競技はあと一つ、一年生全員で行われる玉入れだけです。
 玉入れは大体一メートルくらいの棒の先に取り付けられた籠が、一クラスに一つずつ設置され――いや設置と言っても他学年の先生方が体を張って支えてくれているわけだけど――その籠に周りに散らばっている玉を投げ入れていく競技だ。

 前世の記憶の時は大したことのないお遊びな競技と考えていたけど、実際にやってみるとこれが中々難しい。
 上しか口が開いていない籠に玉を入れるにはある程度山形やまなりに投げないといけないし、他の人が投げた玉に弾かれることもあります。
 練習の時には思わず躍起になって投げまくりました。
 恐らく他の組はやっていないであろう作戦も考えたので、私たちの勝利は固いでしょう!
 とりあえず運動会最後の競技、楽しむぞ!

「一年生最後の競技、玉入れです。よーい、スタート!」

 火薬の音を引き金に全員が玉を拾い出す。
 さぁここで私たちのクラスの作戦を紹介しよう! 名付けて『竹とんぼ作戦』ッ!

 ――籠を中心としてクラス全員を二つに分け一本の線になるように配置、そして両側から一斉に投げていきます。
 これによってお互い投げた玉がぶつかって反れることは少なくなり、そして正面衝突による籠への落下も狙う。
 そして入らなかった玉もお互いの場所に落ちてくるので、そのままリサイクル!
 それでも周りには散らばるので玉が無くなってきたら私が合図を出して、籠を中心に回転していくという寸法であるっ!

「それー!」
「いっけー!」
「やったれー!」

 周りの確認もしつつ、私も玉を投げ入れていきます。
 絶妙なコントロールによって私の玉は吸い込まれるように籠へと入りました。
 むふふ、入ると凄く気持ちが良いですね!
 一分程経った今、籠の半分を超えるくらいに玉が入っています。
 他のクラスを横目で見ても多くて三分の一なので、殆ど勝ちは決まったようなものですね!
 だけど、まだ気を抜かないよ。

「よしっ皆! 右に回って!」
「はーい!」
「らじゃー!」
「よっしゃー!」

 私は状況を見ながら皆の指揮を執っていきます。
 私のカリスマ力のお陰で皆の動きは統率され、見事に作戦通り玉が籠に吸い込まれていきました。
 そして試合時間である二分が経過した瞬間、先生のホイッスルの音と共に、私たちは他のクラスに二十個という大きな差を付けて勝利を飾ったのです!

「千佳ちゃん! やったよ! 勝ったよ!」
「千佳ちゃーん! さすがやでー!」
「うん、やったね!」

 作戦のこともあり全体を隈なく見ていたので、この競技では二人の活躍をじっくり観察することができませんでした。
 まぁ観客席でお父さんたちがカメラを回していたので、後で全部確認してフォルダ分けしよう!
 家族がそこまでパソコンに詳しくないのを尻目に、私は隠しフォルダで妹二人と愛ちゃん湖月ちゃんの写真や映像をフォルダリングしていますからね。
 因みに隠しフォルダの名前は『神』。
 これ以上にないネーミングでしょう?

「千佳ちゃんの作戦ばっちりだったね!」
「他のクラスもびっくりしとったで!」
「皆が上手く動いてくれたからだよ。愛ちゃんも湖月ちゃんも作戦通り動いてくれてありがとうね」
「うん!」
「もちろんや!」

 こうして私たちは参加する競技を全て終え、それから幾つか他学年の競技を応援して運動会は終わりを迎えました。
 閉会式で表彰されたのは勿論私たちのクラスが所属する白組。何故か全学年にはやされて私が表彰台に立つことになったり、閉会式後に退場したら観客席側から突入してきたメグちゃん花ちゃんに押し倒されクラスに戻るのが遅れたり、クラスに戻ったら戻ったで女子たちに抱き着かれて幸せのまま昇天しそうになったけど、何とか無事に運動会は終了しました。
 いい結果も残せたし、皆と楽しい思い出が残せて良かった!

「それでは皆さん気をつけて帰ってくださいね!」
「はーい!」
「お姉ちゃんがいるから大丈夫です!」
「あーい! ねぇねと帰ります!」

 私から離れたくないという妹二人の我が侭を聞いてくれて、終わりの会に参加させてくれた九重先生にはもう足を向けて寝られません。
 可愛い妹たちが増えた教室で最後の挨拶をして、私たちの運動会は終わりを迎えました。
 来年は二人も入学するし、もっと楽しい運動会にしようね!

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品