中二病の異世界生活 ~魔族に崇拝されてます~

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どうやら馬上で話すだけらしい

 まさにご都合主義である電撃的別れを経験したアリスとロリコンのドグマは、カタトロフに乗って草原を駆けていた。

 現在アリスとドグマは鞍なしでカタトロフに乗っているのだが、尻が痛くはならないのだろうか。もしかしたらカタトロフの背骨は痛くならない低反発仕様なのかもしれない。ドグマに生み出されたなら何があってもおかしくない。

「ドグマさま、これからどこに行くの?」

「……気の赴くままに、どこまでも」

 やや落ちてきた太陽を眺めて黄昏れているように見えるが、ドグマの目はアリスを捉えている。チラ見ではない、ガン見だ。どうやらドグマは、重度の中二病なだけでなく重度のロリコンでもあるようだ。

 ドグマが紳士ロリコンであるなら、YESロリータNOタッチは守るはずだ。犯罪者予備軍ロリコンだった場合は……、考えない方がいいだろう。きっと大丈夫だ、そうなっても双方合意だ。何がとは言わないが。

「ドグマさま、こっちはまじんさまのいるとこだよ?」

「魔神か。会ってみるのも悪くはないな」

 アリスのお陰で、魔神に会いに行くという目的ができたようだ。……魔神とはそこまで気軽に会えるものでもないだろうに。

「そうだ!ドグマさまがまじんさまになったらいいと思うの!」

「我が魔神に?一体何故だ」

「今のまじんさまはしょうねがくさってるっておとうさんが言ってたの!」

 アリスの親は一体どんな教育をしているのだろうか。性根が腐ってると娘の前で言う必要は無いだろう。

「我は旅を続けるだけだ。魔神などに為る気は毛頭無い」

 要するに面倒事には関わりたくないと。ドラゴンを倒し、アリスを貰ってきた時点でそれなりに大事なのは気付いていないのだろうか。日本なら事案だ。即刻逮捕だ。

「ならいいの!」

 アリス、よくないぞ。知らない人についていっては駄目と習わなかったのだろうか。……あの娘を貰うと言われて容認した母親と、娘の前で性根が腐ってるとか言う父親のことだ。習わなかったのだろう。

「じきに夜の帳が下りる。野営の備えをしなければな」

 どうやら異世界転移初日は野営をするようだ。アリスの村に泊まればよかったのに。

 それにしても日本人なのにすぐに野営をするという考えが出るとは。最近の中二病はパワフルなようだ。いや、ドグマが特殊なだけか。

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