最強のFラン冒険者

なつめ猫

敵は本能寺にあり!


「レオナ、待ってください。もしかしたら彼らもグランカスのようにお話(物理)が通じる相手かも知れません!」

俺の言葉を聞いて、視線を向けてくるがレオナの目はまるで俺を信頼してない気がする。

「クサナギ殿、あまり派手な立ち回りは……某なら一瞬で気絶させるくらいは……」

俺はレオナの言葉に頭を振るう。この子は一体何を言ってるのか、そんな事をしたら軍資金が稼げないじゃないですかー。

「大丈夫です。ここは私に任せてください」

「お前らー、俺たちを無視して会話を続けるとはいい度胸じゃないか?」

俺とレオナが盗賊風の人達を無視して話を続けてると突然怒り出した。まったくいきなり話しかけてきて話を聞かれなかったら怒り出すとか少しは日本人を見習って空気を読んで欲しいものだ。

まあ、いいだろう……たくさん働いてもらうことになるんだし。俺はレオナと話すのを止めて微笑みながら彼らを見つめると近づいて来ようとした彼らの足が止まった。

「あ……兄貴、こいつやばいですぜ!」
「ああ……ビンビンにきてやがる。こいつはこいつは危険だ」
「なんだよ、なんであんなに……おい!近づくな!!」
「ひ、ひぃいいいい」
「やべーよやべーよ」

まったくひどい連中だ。俺はただ身体強化してるだけに過ぎないのにそれだけで怯え始めるなんて理解が出来ない。

「お、おい……そういえばさっき向こうの別嬪さんがクサナギ殿とか言ってなかったか?」
「あ、ああ……言ってた!」

俺の見てる前で男たちだけで話し始めた。人に話しかけておいてこっちを無視するなんていい度胸じゃないか?失礼すぎるだろ。

「お、おい!そこの女!この女はまさかカイジン・クサナギって名前か?」

男たちの質問にレオナが少し迷っていたようだが仕方なく頷く。その様子を見て男たちは

「あ、あの海洋国家ルグニカの奴隷商を根こそぎ滅ぼしたやつだ!」
「海洋国家ルグニカの王家軍船団をたった一人で壊滅させ国を征服した魔王って聞いたぞ!」
「たった一人で、大陸全土に信者を持つリメイラール教会に喧嘩を売った神への反逆者とも聞いた」
「国中の騎士団を相手に追剥をして拷問した最強最悪の魔女だとも……」
「迷宮を破壊して指名手配を受けてるとか聞いた」

次々と俺に言われもない罪状を突きつけてきた。まったくひどいものだ。きっとエメラスとかそのへんの悪党どもが俺の悪口を広めてるに違いないな。俺は溜まってきたフラストレーションを発散させるために近くのレンガ作りの壁を殴る。まったく俺を無視したあげく無い事無い事ほざいてくれたものだ。

「くくくくっ、いい度胸だ。貴様ら、五体満足で居られると思うなよ?」

後ろからレオナがクサナギ殿、言ってる事がまるで悪党ですよーと言ってるがそんな事知ったことか!
俺が殴ったレンガ作りの壁は罅が無数に走り砕け崩壊した。それを見ていた盗賊達が顔を真っ青にして

「すいませんでしたあああああああああ」
「まさか、まさかアナタ様が闇ギルドの中でも関わったらいけないじゃなくて一目置かれてるお方だとは思いも知らずにどうか命だけは命だけは」
「本当に出来心だったんです。妻と娘には手を出さないでください」
「お金なら差し上げます!ですから命だけは!」
「そんな女らしい格好してたから分からなかったじゃないか!魔王なら魔王らしくぐべらっ」

一人思わず殴ってしまった。すぐにヒールをして歪んだ顔の形を戻してやるが、どうせすぐに顔は整形が必要になるだろう。

「や、やっぱり間違いない。あのお方はデストロイオブヒーラーだ」

とても不名誉な称号を口から吐いた男は顔を蒼白にさせてガタガタ震えているが、お前の地獄はこれからだぞ?

さあ、ひさしぶりのヒール講座だ。とても腕が鳴るな……。

男たちに近づこうとした所でレオナに後ろから俺の事を押さえつけてきた。

「お前たち、早く逃げろ!長くは抑えられないぞ」

レオナの言葉に暴言を吐いた男たちは落した武器などを手に取るとその場から脱皮のごとく逃げ出し始めた。

「レオナ、離してください!あいつらは言ってはいけない事を言いました!」

俺はレオナの腕に中で暴れるが人外に踏み込んだレオナのは力は普通ではなく本職が戦闘関係だったこともあり中々振りほどけない。そうしてると俺に暴言を吐いてた男たちの後ろ姿がもうほとんど見えなくなって……魔方式を構築……最大威力のグラビディランスを発動!

「吹き飛べ!グラビディ痛っ!」

レオナに頭を殴られて魔方式が霧散してしまい魔法行使に失敗したことで俺はすぐにレオナへ視線を向けると、レオナはとても怒っていた。

「いい加減にしてください。こんな所でクサナギ殿の重力魔法が暴発したら辺り一面更地になります」

「だってあいつら私に女らしい格好するなとか言ってきたんだよ!」

レオナが深くため息をついて俺を地面に下ろしたがすでに男たちの姿は見えなくなっていた。

「ですから私が騎士の格好をしていたのです。おしゃれをしたいのなら、もっと気をつけてください」

「はい……」

とても納得が出来ないが……今だけは逃がしてやろう。いつか見つけてゴッドブローをあの連中に当ててやろう。

「ですけど、これでクサナギ殿が裏社会で恐れられてる事の確認が出来たのは幸いでした。薄々そうだとは思ってましたが噂を流しておいて正解でした。これで対立する組織はかなり減ると思います。クサナギ殿が前に言ってましたよね?情報操作ってやつです」

「え……なにそれ?それって噂を流してるのレオナとエメラスって事?」

俺の言葉にレオナが頷くが俺はかなりショックだった。

「最近のレオナの俺の扱いが酷い件について!」

俺の言葉にレオナは意地悪く微笑んでいた。



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