最強のFラン冒険者

なつめ猫

戦争を止めるために!

<a href="//655400.mitemin.net/i230471/" target="_blank"><img src="//655400.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i230471/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>

セイレーン連邦周辺国勢力図


カナリア様の頭を撫でていると私の顔をカナリア様は覗いてきて

「お姉さま、いつもと違ってとてもお優しいです!」

そうなのかな?私はいつもやさしいと思うけど?良くわからないかな?

「私、優しいお姉さまが大好きです」

甘えるのはいいけど、私の胸に顔をグリグリしてくるのはやめてほしいかな。そんな私を見てレオナさんが、こんなのクサナギ殿じゃありませんとか言ってます。はて?私は、そんなにいつもと違う行動をしてるのかしら?わからないわ。

「外の方にそんなに甘えてはだめですよ?一国の王女様がそんなに無防備ではめっ!ですよ?」

私はニコッとカナリア様に微笑みかけます。カナリア様が頬を膨らませて抗議をしてきますが頬っぺたを指で突っつきながらどうしようか本当に悩みます。

―――あっ!そういえば……。

「レオナさん、戦争はどうなりましたか?」

たしか三国が魔法帝国ジールに攻め入ってるはずでしたけど、教会が再編されてると言う事は戦争は終結したと言う事でしょうか?

「お姉さま、三国は教会の指示を無視して戦争を継続しています」

「そうなのですか?」

レオナさんの代わりに答えてくれたカナリア様の頭を撫でながら考える。そうすると怪我人の方が多く出てるだけではなく死者も出てるかもしれないですね。そうなると市民の方や経済に深刻な影響が出るかもしれません。これは由々しき事態です!

「はい、カナリア王女様の仰るとおりです」

レオナさんの言葉を聞き私は頷き、今後、しないといけない事を頭の中でまとめていきます。大体の構想図が出来た事もありベットから立ち上がろうとすると

「お姉さま!だめです!」

「クサナギ殿!?」

二人とも私がベットから出るために取り去ろうとした掛け布団を抑えてしまいます。

「どうしたのですか?早く戦争を止めないと大変な事になります。たくさんの方が不幸になってしまいます」

私の言葉に二人とも何故か俯いてしまいますが、どうしたのでしょうか?

「クサナギ殿、まだ戦う御つもりなのですか?」

「ええ、困ってる方を見捨ててはおけません」

「でもお姉さま、もう戦える体では……」

カナリア様もレオナさんも何を仰られてるか分かりませんが、私は賭け布団を捲ろうとしその光景を目の当たりします。

――――――両足が膝から下が消えて無くなっていました。

これは一体、どういう事なのでしょうか?視線を上げるとレオナさんが申し訳なさそうな顔をしています。

「クサナギ殿、某にも理由は分かりませんが聖女アリアとの神衣を解除した段階でクサナギ殿の両足は膝から光の粒となって消えてしまいました。」

「―――そうですか」

でも私には細胞分裂を促す魔法があるのですよ?ミトコンドリアに命じて魔力を使い細胞の増殖を行わせていき両足を修復させます。

「お姉さま?」

私はそのまま、ベットから私自身の足で降りて確認。

「大丈夫そうね」

いつもよりもずっと多く、肉体の修復に魔力を消費したけど特に問題は無さそう。

「カナリア様、お世話になりました。これからまた行かないと行けませんので……」

「お姉様、また会えますか?」

「ええ、大丈夫です。カナリア様が良い子にしてましたらきっとまた会えます」

「分かりましたわ!」

私の言葉に素直に頷いてくれるカナリア様の金色の髪を撫でた後に、アイテムボックスから予備の冒険者装備を身につけ部屋を出ると何人ものアルゴ公国の騎士団が立っていました。

「皆さん、警護お疲れ様でした。私とレオナはこれより戦争を止めるためにルフンダルク王国へ赴きます」

「戦争を止めるために赴くのだな?」

声がした方へ視線を向けるとそこにはアルゴ公国シュタイン公国陛下が立っていて、私を心配する目で見てきていた。人に心配されるほどの価値なんて私には無いのに……どうして皆、私に構いたがるのか分からない。

「はい、無用な血が流れるのは好ましい事ではありませんから」

「そうか。未だ復興中な我がアルゴ公国であるが馬車と騎士の手配くらいは致そう」

「シュタイン公国陛下様、大変感謝いたします」

私は感謝の意を伝えた後にレオナを連れて王宮を出て馬車に乗り込みます。
その際にカナリア様が泣いていましたがいつかきっと国を背負う方に成長してくださる事を心よりお祈り致します。

そんな翌日の朝。

「……」

「クサナギ殿!このフルーツおいしいですよ?」

と俺の横で馬車に乗りながら話しかけてくるレオナと目が合わせられない。何故なら馬車の中で一晩寝たら思考回路は男のそれに戻っていて数々の事を思い出してアンニュイな気持ちになり俺は、馬車から出て大岩に八つ当たりして粉砕したのは黒歴史と言っておこう。

その際にレオナがやはりクサナギ殿はこうではありませんと!とか言っていたがいつか特大のブーメランにして返してやる事を心に誓った。

さあ、次はこの俺の黒歴史を作ってくれた三国に徹底的に仕返ししてやらないとな!

「目指すは、エルベスカ王国だ。オー!」

また一つ、黒歴史を量産してしまった俺を見てレオナは一言だけ呟いていた。

「やはり前のお淑やかなクサナギ様の方が良かったかもしれないと」

本当に最近のレオナの言葉には俺に対してだけ棘が増えてきた。これだけ、俺とか頑張ってるのに絶対におかしいよ!


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