最強のFラン冒険者
神代遺跡へ
「―――日本人?貴女はリースノット王国シュトロハイム家ユウティーシアでは?」
「……」
アリアが時間稼ぎと称して情報収集をしようとしてるのはバレバレだ。そんな問答に付き合うほど俺は甘くはないし余裕もない。ユウティーシア本来のなけなしの魔力を使い脚を強化する。
「―――っ!?コルク、すぐにユウティーシアを抑えなさい!」
「はい!」
身体強化魔術で強化されたコルクが近づいてくるが俺にはその姿はスローモーションにしか見えない。もはや生物としての次元が違う。俺はミトコンドリアに命じて生成した体内の炭素を結合させた武器そうミトコンドリアアームズと名づけよう。
それを振るい俺を捕まえようとしたコルクの腕を両断した。
「!?」
「―――コルク!」
二人は驚いているが、俺も驚いている。まさかこれほどの切れ味だとは思わない。ただ、今ではうれしい誤算だ。足の細胞変質はすでに終わっている。
「アリアとコルク、悪いな?俺は捕まるわけにはいかないんだ」
地面を蹴り二人から距離をとる間に体内の細胞が作り出したガスを噴出し加速しその場から離脱した。
――――――はぁはぁはぁ
俺の荒い息が通路に響き渡る。二人から離脱した後、数時間に渡り終わりのない廻廊を進んでいるがどこまでも果てが見えない。ユウティーシア自体の魔力はすでに尽きていて最後の魔力を使い両手両足は普通に戻してあるが一度、変質させた細胞までは完全に修復する事はできなかった。そして眼が霞むというよりも体中の細胞が崩れていく感じが肉体を苛む。
俺はそのまま壁に体を預けるとゆっくりと床に崩れ落ちる。
何故か知らないが外部の魔力がまったく使えない。
「これはやばいな……」
俺はそのまま意識を失いかけるところで壁が競りあがって空洞が出来た。
そこは衛星都市エルノのダンジョンで見かけたエレベーターであった。俺は力が入らない体を無理やり動かしエレベータの中へ入り地下へのボタンを押す。一瞬の浮遊感の後にエレベーターは下降しはじめる。
霞む視界の中、永延とも思われる時間を待ち続ける。そしてエレベーターを抜けるとそこにはコボルト達に案内された場所と同じ光景が存在した。高く作られた天蓋に瞬く星に数百にも及ぶ高層ビル群。まるでそこは新宿のようであった。
俺は、コボルトの村が作られていた場所との差に驚き立ち尽くしていると何かが近づいてくる事に気がついた。音からして人じゃない。
「人間を発見、人間を発見。すぐに保護いたします」
よく見ると一昔前のSFで出てくるようなずんぐりむっくりなロボットであった。俺はそれを見て意識を失った。
―――――――――馬鹿じゃないの?
俺はその言葉に意識を取り戻した。そこはやはり何もない真っ白な空間で……。目の前には燃えるような赤い髪をしたユウティーシアそっくりの女性が立っていた。
「そうか、思考が出来るってことはまだ生きてるって事か?」
俺の言葉に、目の前の精神の調停者は呆れるかのような表情を見せてくる。そして語りかけてくる。
「私が世界の事象から貴方を守ってるって言ってもそれは万能じゃないの。それを細胞変質させて存在自体を変質させたものだから貴方の体は細胞崩壊を始めているわ」
「そうか……」
細胞分裂の限界まで振り絞ったのだ。そのくらいの覚悟は出来ている。
「つまりこれで最後ってことか?」
「いいえ、幸い草薙の肉体は神代遺跡のメディカルマシーンが修復してくれてるわ。でも一度変質した肉体再生までは無理みたい」
「そうか……」
そういえばこいつに聞きたい事があったんだ。
「そういえば、お前は俺に作られたはずなのに何故、そんなに多くの事を知っているんだ?」
俺は疑問に思っていたことを聞く。そう俺が作ったのなら俺が知らない事は彼女は知らないはずなのだ。なのに何故、俺が知らない事まで知ってるのかそこが疑問だった。
「決まってるわよ、アナタは――――――の――――――なのだから。私の知識は本来の――――――の者からだから」
「ん?一部が不鮮明で聞き取れないぞ?」
「ごめんなさいね。―――は言えないみたい」
言えないというか俺が聞こえないだけか?つまりもしかしたら!?
「転生の時に俺だけが若返った事と何か関係があるのか?」
俺の言葉に調停者は驚いた顔を見せた。つまり俺が60歳近くで元のクラスメイトと同じ場所で眼を覚まし若返っていた?違う、あれは時を越えた?事には意味があるという事になる。
「一つ聞かせろ、お前はどこまで把握している?」
俺の言葉に調停者は何も答えない。つまり、そういうことだ。俺が知らない事の全てを調停者は知っている。それは矛盾すると共にヒントだ。
「そろそろ時間みたいね。あまり無理な力は使わない方がいいわよ?とくに今回の力の使い方で貴方はこの世界では唯一の人間になってしまったのだから」
俺はその言葉を聞きながら自らの意識が浮上するのを感じ取った。
――――――人間の意識の覚醒を確認しました。
――――――メディカルカプセル、ナノマシンによる修復完了を確認しました。
人が一人横たわれるほど大きな卵型の機械の上部が開いていくと草薙の姿があった。
「まだ視界がぼやけてるな……ここはどこだ?」
部屋の中には俺が入ってたと思われる卵型のカプセルが10個ほど設置されており人気がまったく感じられない。どうしたらいいのか迷っていると部屋の壁一部が開き最初に見たロボットが空中を滑るように部屋に入ってきた。
「人間、食事の用意が出来てる。細胞修復にかなりのカロリーを消費した。すぐに栄養を取る。すぐに着いてくる」
ロボットは着いてこいといいながら俺を抱えると移動をはじめた。今は敵意がないようだからこのままでいいか。それにしてもずいぶんと近代的な施設だ。天井も壁も蛍光灯の類がまったく見当たらないのによく見える。
「ここ食堂。人間、入る」
「そういえばここを説明してほしいだが?」
「ここ食堂。人間、入る」
「……ここはどこなんだ?」
「ここ食堂。人間、入る」
話にならない。どこのRPGの村人だよと突っ込みたくなるが質問は諦めるとしよう。俺はロボットから降りて食堂に足を踏み入れる。そこは食堂と言うよりもそう回転するお寿司の店ようだ。仕方なく椅子に座っていると見慣れない物がベルトコンベアの上を移動してきた。
それを手に取りよく見るといろいろと見知った物であった。
そのまんま宇宙食だった。
「……」
アリアが時間稼ぎと称して情報収集をしようとしてるのはバレバレだ。そんな問答に付き合うほど俺は甘くはないし余裕もない。ユウティーシア本来のなけなしの魔力を使い脚を強化する。
「―――っ!?コルク、すぐにユウティーシアを抑えなさい!」
「はい!」
身体強化魔術で強化されたコルクが近づいてくるが俺にはその姿はスローモーションにしか見えない。もはや生物としての次元が違う。俺はミトコンドリアに命じて生成した体内の炭素を結合させた武器そうミトコンドリアアームズと名づけよう。
それを振るい俺を捕まえようとしたコルクの腕を両断した。
「!?」
「―――コルク!」
二人は驚いているが、俺も驚いている。まさかこれほどの切れ味だとは思わない。ただ、今ではうれしい誤算だ。足の細胞変質はすでに終わっている。
「アリアとコルク、悪いな?俺は捕まるわけにはいかないんだ」
地面を蹴り二人から距離をとる間に体内の細胞が作り出したガスを噴出し加速しその場から離脱した。
――――――はぁはぁはぁ
俺の荒い息が通路に響き渡る。二人から離脱した後、数時間に渡り終わりのない廻廊を進んでいるがどこまでも果てが見えない。ユウティーシア自体の魔力はすでに尽きていて最後の魔力を使い両手両足は普通に戻してあるが一度、変質させた細胞までは完全に修復する事はできなかった。そして眼が霞むというよりも体中の細胞が崩れていく感じが肉体を苛む。
俺はそのまま壁に体を預けるとゆっくりと床に崩れ落ちる。
何故か知らないが外部の魔力がまったく使えない。
「これはやばいな……」
俺はそのまま意識を失いかけるところで壁が競りあがって空洞が出来た。
そこは衛星都市エルノのダンジョンで見かけたエレベーターであった。俺は力が入らない体を無理やり動かしエレベータの中へ入り地下へのボタンを押す。一瞬の浮遊感の後にエレベーターは下降しはじめる。
霞む視界の中、永延とも思われる時間を待ち続ける。そしてエレベーターを抜けるとそこにはコボルト達に案内された場所と同じ光景が存在した。高く作られた天蓋に瞬く星に数百にも及ぶ高層ビル群。まるでそこは新宿のようであった。
俺は、コボルトの村が作られていた場所との差に驚き立ち尽くしていると何かが近づいてくる事に気がついた。音からして人じゃない。
「人間を発見、人間を発見。すぐに保護いたします」
よく見ると一昔前のSFで出てくるようなずんぐりむっくりなロボットであった。俺はそれを見て意識を失った。
―――――――――馬鹿じゃないの?
俺はその言葉に意識を取り戻した。そこはやはり何もない真っ白な空間で……。目の前には燃えるような赤い髪をしたユウティーシアそっくりの女性が立っていた。
「そうか、思考が出来るってことはまだ生きてるって事か?」
俺の言葉に、目の前の精神の調停者は呆れるかのような表情を見せてくる。そして語りかけてくる。
「私が世界の事象から貴方を守ってるって言ってもそれは万能じゃないの。それを細胞変質させて存在自体を変質させたものだから貴方の体は細胞崩壊を始めているわ」
「そうか……」
細胞分裂の限界まで振り絞ったのだ。そのくらいの覚悟は出来ている。
「つまりこれで最後ってことか?」
「いいえ、幸い草薙の肉体は神代遺跡のメディカルマシーンが修復してくれてるわ。でも一度変質した肉体再生までは無理みたい」
「そうか……」
そういえばこいつに聞きたい事があったんだ。
「そういえば、お前は俺に作られたはずなのに何故、そんなに多くの事を知っているんだ?」
俺は疑問に思っていたことを聞く。そう俺が作ったのなら俺が知らない事は彼女は知らないはずなのだ。なのに何故、俺が知らない事まで知ってるのかそこが疑問だった。
「決まってるわよ、アナタは――――――の――――――なのだから。私の知識は本来の――――――の者からだから」
「ん?一部が不鮮明で聞き取れないぞ?」
「ごめんなさいね。―――は言えないみたい」
言えないというか俺が聞こえないだけか?つまりもしかしたら!?
「転生の時に俺だけが若返った事と何か関係があるのか?」
俺の言葉に調停者は驚いた顔を見せた。つまり俺が60歳近くで元のクラスメイトと同じ場所で眼を覚まし若返っていた?違う、あれは時を越えた?事には意味があるという事になる。
「一つ聞かせろ、お前はどこまで把握している?」
俺の言葉に調停者は何も答えない。つまり、そういうことだ。俺が知らない事の全てを調停者は知っている。それは矛盾すると共にヒントだ。
「そろそろ時間みたいね。あまり無理な力は使わない方がいいわよ?とくに今回の力の使い方で貴方はこの世界では唯一の人間になってしまったのだから」
俺はその言葉を聞きながら自らの意識が浮上するのを感じ取った。
――――――人間の意識の覚醒を確認しました。
――――――メディカルカプセル、ナノマシンによる修復完了を確認しました。
人が一人横たわれるほど大きな卵型の機械の上部が開いていくと草薙の姿があった。
「まだ視界がぼやけてるな……ここはどこだ?」
部屋の中には俺が入ってたと思われる卵型のカプセルが10個ほど設置されており人気がまったく感じられない。どうしたらいいのか迷っていると部屋の壁一部が開き最初に見たロボットが空中を滑るように部屋に入ってきた。
「人間、食事の用意が出来てる。細胞修復にかなりのカロリーを消費した。すぐに栄養を取る。すぐに着いてくる」
ロボットは着いてこいといいながら俺を抱えると移動をはじめた。今は敵意がないようだからこのままでいいか。それにしてもずいぶんと近代的な施設だ。天井も壁も蛍光灯の類がまったく見当たらないのによく見える。
「ここ食堂。人間、入る」
「そういえばここを説明してほしいだが?」
「ここ食堂。人間、入る」
「……ここはどこなんだ?」
「ここ食堂。人間、入る」
話にならない。どこのRPGの村人だよと突っ込みたくなるが質問は諦めるとしよう。俺はロボットから降りて食堂に足を踏み入れる。そこは食堂と言うよりもそう回転するお寿司の店ようだ。仕方なく椅子に座っていると見慣れない物がベルトコンベアの上を移動してきた。
それを手に取りよく見るといろいろと見知った物であった。
そのまんま宇宙食だった。
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