スーパーギャラクシーズ 小さな大冒険

ツカ007

プロローグ



――はじめ、世界には青い光があった。繁栄をもたらした光は役目を終えると世界に散らばる星になった。星はすべてを富ませ、すべてに愛を与えた・・・・・・。

  「はぁ…」と古めかしい本を畳んで、キャップ帽を目深くかぶった少女が溜息を漏らした。腰から掛けたポーチが宇宙船の揺れに合わせて小さく振れる。
  聖書というものは冒頭だけでいつも飽きてしまう。やはり、もっとメカニカル特集な本を持ってくればとよかったと、また溜息が漏れた。『月刊ヒィアート、役立ちサポート特集』『天才ニアスの聞くに聞けないヒィアート100のこと』『惑星パングリオンまるごと食べ歩き』ぐらいは持ってくるべきだったか。
  窓を眺めれば目下には目的地である惑星が迫っていた。

 「そろそろ、か」
  聖書をポーチにしまって、少女は青緑の瞳に決意の炎を燃やした。
 「着陸するぞ、どっかに掴まってなお嬢ちゃん!」野太く 猛々しいアナウンスが宇宙船内に響く。グワングワンと今にも壊れそうな軋む音が鳴るが、少女は揺るがなかった。
  それよりも、その心は好奇心に燃えていた。
  本来の目的もそこそこに、少女は後ろで結った金髪を揺らして、――――少し笑った。


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