むかしばなし
散らばる想い
シエラは消えた。
けれど、神が言った通りにその内にある光は散らばっていく。
それは人の目には見えない光だった。
それぞれが違う方向に飛んでいき。時を超え、幾重もの矛盾を超える。
そして、多くの人々にその力が受け継がれる。
力はある意味で希望、ある意味で絶望。多大な可能性とそれに相応しい力は個々に分かれる。どれも性質が違っており、四属性、五大元素、法則性。それぞれに何の共通点もない、全てが違う力で出来ていた。
しかし、その力はどれもある1人の化け物の意志を宿していた。
必ず戻る。
そんな漠然とした意志が確固なるものとして内包され、世界に散らばる。
その中に、竜の呪いが残っていても。
その力で狂気に陥ろうとも。
いずれ、その力が善良な力となる事を願い、戻れる事を夢に見ながら。
シエラは眠る。
消えながら…永遠に。
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