君のことを本当に……?
《家族》
墓から、会場に戻った4人の前に、大騒動を起こした4人の姿はなかった。
一応地域のお祭りと言うことで、警察官も来ており、そのまま連れていかれたらしい。
「本当に迷惑や。お祭りの気分が削がれたわ」
とぶつぶつ文句を言う住人たちは、観月や祐次を怒っている様子はなく、逆に、
「大丈夫か?観月ちゃんやったかな?それに嵯峨たちも大変やったなぁ……」
と観月の頭をくしゃくしゃと撫で、
「ほれ。いちご飴や」
「わぁぁ!おじさん。ありがとうございます」
「観月ちゃん。ソフトクリームいるかね?」
いつの間にか観月は、地域の人々の可愛い子供……子供や孫同然になっているらしい。
「可愛い子やなぁ……」
呟いた宇治に、嵯峨は真顔で、
「私の娘ですから当然です!」
「……変わったなぁ……嵯峨」
「何いってるんです?一応、おとうはんの孫ですよ。可愛くないんですか?」
返された宇治は一瞬黙り込み、うっすら頬を赤くして、
「そうやったな。あての孫や。可愛いに決まっとる」
「でしょう?」
「……大原のおいはんも、嵯峨も変わっとらんなぁ……」
標野が呆れたように近づいてくる。
「さっきまで大変やったんやで?祐也が説明に行ったわ」
「あ、追いかけた方が……」
「あぁ、錦が来てたさかいに。それよりも、おいはん。休憩お取りや。そこにテントがあるわ。この地域のお寺のおいはんらがおるわ」
「あぁ、そうさせて貰うさかいに……でも、帰るのは……」
「うちにお泊まりや言うたやろに、ほんならいこや」
麒一郎が引っ張っていく。
「まぁ、おとうはんはかまへんさかいに……えっと、柚月、行きますか?」
「お父さんとお話の時には、京言葉なんですね?」
「あっ!……そうですね。昔の言葉になりますね。えっと、変ですか?」
「いいえ、似合っているので、使えばいいのにって……」
嵯峨は照れたように、
「無意識なんですよ……それに、仕事の時と、切り替わりますね」
「あ、お父さん!蒸しパン貰ったよ?お母さんとおじいちゃんと食べよう?」
てててっと走ってくるその後ろから祐次が、
「おい、観月!走るなって、ウワッ!危ない‼」
「きゃっ!」
転びかけた観月を後ろから腕を回し、支える。
「だから言っただろ?観月!」
「ごめんなさい。それにありがとう。祐次くん」
「よし!嵯峨兄ちゃん!柚月姉ちゃん!お帰り!」
「祐次くん、ただいま。それとありがとう」
「何にも、俺してないし」
ニッコリと笑う。
「それよりも、ほら、あそこにドールガウスの代わりに、風遊叔母さんがウェディングベアを飾ってさぁ?そうしたら、テディベアファンが大騒ぎだってさ」
「え?」
「兄ちゃんと姉ちゃんのウェディングベアと観月ベアに俺にくれた風月と、ヴィヴィ姉ちゃんが買ったベアを置いてて、そうしたら叔母さんや蛍姉ちゃんのファンが、『新しい作家さんだ!』って言ってるんだって」
「それは……」
飾っているテディベアは当然非売品……観月が両親に贈ったものだから他の人に送ることはない。
でも、本人が困惑する程ファンがいると言うのも、すさまじい。
「……テディベア勉強したいけど、お父さんとお母さんとおじいちゃんたちと住みたいです。宇治おじいちゃんは独り暮らしですか?」
「そうだねぇ……おじいちゃんは、ひいおばあちゃんと一緒だけど、ひいおばあちゃんが痴ほう症で大変みたいだね」
「そうなの……お父さん……」
観月は上目遣いで見るが、嵯峨の後ろから、
「えろう頑固なお人やから、その上、年も年や。観月ちゃんは無理やわ」
紫野は苦笑する。
「あ、お兄ちゃん!ただいまです!」
「ようお帰り。そう言えば、観月ちゃんは怪我はせんかったな?」
「はい!」
「それは良かったわ。あてのおかあはんが心配して、おろおろしてたわ」
「あ、櫻子おばあちゃん」
普段は着物だが、上品なワンピース姿の櫻子が観月に近づくと、ギュッと抱き締める。
「あぁ、良かった。無事やったんどすなぁ。心配しましたえ」
「おばあちゃんありがとう」
櫻子は微笑み、
「そう言えば、風遊はんや蛍ちゃんが、店を閉めるて言うてたわ。嵯峨はんも柚月はんも戻りまへんか?」
「あぁ、えと、おとうはんが……」
「だんはんも、麒一郎はんも飲んどりますわ。一緒に飲みますよって。そう言えばせとかはんが、穐斗が子犬に慣れへんて言うてましたわ」
「穐斗くんが?」
「怖がると言うよりも、戸惑っているみたいやて。祐次ぼんに一緒に居てやってくれて、言うとりましたえ?」
櫻子の言葉に、
「帰ろうかな……穐斗もおるし……」
「そうですね。柚月も観月も疲れたでしょう?休みましょう」
嵯峨は提案したのだった。
一応地域のお祭りと言うことで、警察官も来ており、そのまま連れていかれたらしい。
「本当に迷惑や。お祭りの気分が削がれたわ」
とぶつぶつ文句を言う住人たちは、観月や祐次を怒っている様子はなく、逆に、
「大丈夫か?観月ちゃんやったかな?それに嵯峨たちも大変やったなぁ……」
と観月の頭をくしゃくしゃと撫で、
「ほれ。いちご飴や」
「わぁぁ!おじさん。ありがとうございます」
「観月ちゃん。ソフトクリームいるかね?」
いつの間にか観月は、地域の人々の可愛い子供……子供や孫同然になっているらしい。
「可愛い子やなぁ……」
呟いた宇治に、嵯峨は真顔で、
「私の娘ですから当然です!」
「……変わったなぁ……嵯峨」
「何いってるんです?一応、おとうはんの孫ですよ。可愛くないんですか?」
返された宇治は一瞬黙り込み、うっすら頬を赤くして、
「そうやったな。あての孫や。可愛いに決まっとる」
「でしょう?」
「……大原のおいはんも、嵯峨も変わっとらんなぁ……」
標野が呆れたように近づいてくる。
「さっきまで大変やったんやで?祐也が説明に行ったわ」
「あ、追いかけた方が……」
「あぁ、錦が来てたさかいに。それよりも、おいはん。休憩お取りや。そこにテントがあるわ。この地域のお寺のおいはんらがおるわ」
「あぁ、そうさせて貰うさかいに……でも、帰るのは……」
「うちにお泊まりや言うたやろに、ほんならいこや」
麒一郎が引っ張っていく。
「まぁ、おとうはんはかまへんさかいに……えっと、柚月、行きますか?」
「お父さんとお話の時には、京言葉なんですね?」
「あっ!……そうですね。昔の言葉になりますね。えっと、変ですか?」
「いいえ、似合っているので、使えばいいのにって……」
嵯峨は照れたように、
「無意識なんですよ……それに、仕事の時と、切り替わりますね」
「あ、お父さん!蒸しパン貰ったよ?お母さんとおじいちゃんと食べよう?」
てててっと走ってくるその後ろから祐次が、
「おい、観月!走るなって、ウワッ!危ない‼」
「きゃっ!」
転びかけた観月を後ろから腕を回し、支える。
「だから言っただろ?観月!」
「ごめんなさい。それにありがとう。祐次くん」
「よし!嵯峨兄ちゃん!柚月姉ちゃん!お帰り!」
「祐次くん、ただいま。それとありがとう」
「何にも、俺してないし」
ニッコリと笑う。
「それよりも、ほら、あそこにドールガウスの代わりに、風遊叔母さんがウェディングベアを飾ってさぁ?そうしたら、テディベアファンが大騒ぎだってさ」
「え?」
「兄ちゃんと姉ちゃんのウェディングベアと観月ベアに俺にくれた風月と、ヴィヴィ姉ちゃんが買ったベアを置いてて、そうしたら叔母さんや蛍姉ちゃんのファンが、『新しい作家さんだ!』って言ってるんだって」
「それは……」
飾っているテディベアは当然非売品……観月が両親に贈ったものだから他の人に送ることはない。
でも、本人が困惑する程ファンがいると言うのも、すさまじい。
「……テディベア勉強したいけど、お父さんとお母さんとおじいちゃんたちと住みたいです。宇治おじいちゃんは独り暮らしですか?」
「そうだねぇ……おじいちゃんは、ひいおばあちゃんと一緒だけど、ひいおばあちゃんが痴ほう症で大変みたいだね」
「そうなの……お父さん……」
観月は上目遣いで見るが、嵯峨の後ろから、
「えろう頑固なお人やから、その上、年も年や。観月ちゃんは無理やわ」
紫野は苦笑する。
「あ、お兄ちゃん!ただいまです!」
「ようお帰り。そう言えば、観月ちゃんは怪我はせんかったな?」
「はい!」
「それは良かったわ。あてのおかあはんが心配して、おろおろしてたわ」
「あ、櫻子おばあちゃん」
普段は着物だが、上品なワンピース姿の櫻子が観月に近づくと、ギュッと抱き締める。
「あぁ、良かった。無事やったんどすなぁ。心配しましたえ」
「おばあちゃんありがとう」
櫻子は微笑み、
「そう言えば、風遊はんや蛍ちゃんが、店を閉めるて言うてたわ。嵯峨はんも柚月はんも戻りまへんか?」
「あぁ、えと、おとうはんが……」
「だんはんも、麒一郎はんも飲んどりますわ。一緒に飲みますよって。そう言えばせとかはんが、穐斗が子犬に慣れへんて言うてましたわ」
「穐斗くんが?」
「怖がると言うよりも、戸惑っているみたいやて。祐次ぼんに一緒に居てやってくれて、言うとりましたえ?」
櫻子の言葉に、
「帰ろうかな……穐斗もおるし……」
「そうですね。柚月も観月も疲れたでしょう?休みましょう」
嵯峨は提案したのだった。
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