君のことを本当に……?
《彪流》……温かい想い
サインをすると、手渡す。
「ありがとうございます。えと、この子をお迎えして下さって嬉しいです」
「ありがとう‼キャァァ。可愛いベア。『Miduki』ベアだわ」
「あ、ヴィヴィアン・マーキュリーさん、あのっ!私、お母さんと小さい頃に観ていたんです‼『アーサー王伝説』の映画を‼それに、その次の映画ではキュートなお姉さんで‼素敵だなぁって……あのっ!サイン……えと、えと‼」
「はい‼」
蛍が色紙を差し出すと、ヴィヴィは書きこみ、観月をハグする。
「観月、よろしくね‼ヴィヴィって呼んで頂戴」
「あ、ありがとうございます‼ヴィヴィお姉ちゃん‼」
「あーいーなぁ。ヴィヴィ。可愛い子と仲良くして」
その声に、
「ウェインもしたいでしょ?でも、したら紅に殴られるわよ?」
「紅は心狭くないよ?初めまして、観月‼ウェインお兄ちゃんだよ~‼」
ハグをされ、頬にキスをされる。
「もう、可愛い従妹には幾らでもサインもハグもしちゃう‼」
「セクハラ魔‼」
「良いでしょ。だって可愛いんだもん」
ウェインは微笑む。
「嵯峨さんの娘さんでしょ?可愛いねぇ?そう言えば僕が紅に会った時、僕は20で、紅は17だったよね……観月ちゃんは幾つかなぁ?」
「こ、今年17歳です」
「うわぁ……紅、こんな感じだったのかも?」
軽々と抱き上げる。
「コラコラ、祐次だけじゃなく嵯峨さん怒ってるから」
「えぇ?残念だなぁ」
祐也の言葉に観月を下ろすと、大きな箱を運んできた祐也が、
「はい、観月ちゃん。本当は後での方がいいと思ったけど、飲み会になっちゃうからね……先に見て貰った方がいいかなぁって」
「あっ!」
「嵯峨さん、柚月さん。観月ちゃんからだよ」
「えっ?こんな大きい?」
近づいてきた二人は目を丸くする。
「えっと……」
背伸びをして箱の中から取り出した物は、
「こ、これはお父さん、で、これがお母さん……で、私のベア……。です。風遊さんと蛍お姉ちゃんに教えて貰って頑張って作ったの」
嵯峨と柚月に一つ一つ手渡し、一回り小さいベアを抱き締め、両親を見上げる。
「ウェディングベア……とファミリーベア。お父さんとお母さんにあげたくて……お父さん、お母さん……‼」
柚月は観月を抱き締め、その二人を嵯峨がぎゅっと抱き締める。
「ありがとう‼観月‼」
「こんなに素敵なものを貰えるなんて……思いもよらなかったよ‼どうしようか……お父さんは……父の日も誕生日も、一度に来たみたいだよ……」
「嵯峨さん……貴方、涙が」
「本当ですね……でも、どうしましょうか。嬉しくて止まらないです。ありがとう‼観月……」
家族の様子に、嵯峨の幼馴染みである3兄弟が、
「嵯峨が変わったなぁ……」
「あてらの中で一番はよ、嫁はん貰っとりそうなかったしなぁ……」
「親馬鹿やなぁ」
と呟いたのだった。
それは本人たちには聞こえず、それぞれのテディベアを観月が紹介し、観月が型紙から作り上げたテディベアのことやスーツ、ドレスを着せたことなど一つ一つ説明していく。
「そんなに頑張ったのですか?」
「お父さんとお母さんに何かを贈りたかったので……似てますか?」
「とっても‼お父さんは本当にこんなに素敵なものを貰えるなんて……柚月。本当に貴女と観月は私の宝物です。改めて思いますよ」
もう一度ぎゅっと抱き締め、
「あ、そうでした。観月。このプレゼントには敵わないけれど、お父さんとお母さんからです」
柚月が持っていたバッグに収めていた細長い箱を取り出し、手渡す。
「お、お父さん?」
「開けてみて下さい」
テディベアをテーブルにのせ、箱を開けて絶句する。
キラキラと目映い涙型の、ブルーサファイアのプチネックレスだった。
「え、えぇぇぇ?こ、これは……」
「お父さんは誕生石がルビーで、観月がサファイア、柚月がゴールデンサファイアだったのです。お父さんは新しくネクタイピンを、柚月は婚約指輪、観月にはブルーサファイアを身に付けて欲しいと思って。同じ石でいいと思って……どうですかね?お父さんは誕生石とか全く知らなくて、幼馴染みに教わったんです。駄目ですね……もうちょっと勉強します」
「……お父さん……一緒の鋼玉だったからですか?」
「そ、そうなんです。お父さんとお揃い……恥ずかしいですかね?」
「いいえ、う、嬉しいです……逆に、こ、こんなに素敵なものを下さるなんて……お父さん、ありがとうございます」
観月は父親に抱きついたのだった。
『……まぁぁ‼風遊が言っていたのは、あのファミリーベア?素敵だわ‼何て素敵なの‼Mr.嵯峨がもうメロメロね‼』
『素敵でしょう?半縫製キットを作ったらすぐに製作に入ったのよ。だから、月曜日からこつこつとよ?飾りとかは私や蛍も手伝ったけれど、ほとんど一人でなの。で、時間があって小さいベアを作ったのがその子ね。ビックリだわ』
『器用ね。それに表情が素敵だわ‼』
ヴィヴィと風遊は話す。
その間に、日向が、
『じゃぁ、皆さん、昼間はのんびりして良いので、ゆっくり過ごして下さいね‼でも、稼ぎますよ~‼今年の目標は‼昨年の2割増しです‼良いですか~‼』
と拡声器で呼び掛けている。
『足りないものも気軽に言って下さい。取りに行きますからね‼』
『でも、風遊さんとヴィヴィさんのお店は、行列なしですよ~‼あっ‼風遊さんの店の商品を購入したら、ウェイン君のハグつき!キスつき‼』
「ぎゃぁぁ‼スゥさん‼ハグはいいけど、キスはなしにお願いします‼」
ウェインの一言に笑い声がわいた。
裏方仕事に従事する祐次は、外の声に、
「良いなぁ……俺も、観月といたかったなぁ」
と呟いた。
そして、時々出入りする地域の人たちに頼まれた荷物を、小学校の体育館並みに広い倉庫でごそごそ探していたところ、扉が開き、伯父の朔夜とせとかに何度か会ったことのある老夫婦、そして子犬のケージが運び込まれる。
「あれ?伯父さんと伯母さんに、確か武田のじいちゃんにばあちゃん?」
伯父の家の隣の老夫婦である。
「祐次。ここにおったんか」
「うん、雑用だよ。備品整理と、荷物を運搬。それにそのケージは?」
「祐也たちの育てる猟犬の子供。弁慶と義経が死んで、穐斗が泣きよるっていいよったけんなぁ……探してみたんや」
「そっか……で、武田のじいちゃん?どないしたん?身体の調子が悪いん?あぁ、この折り畳み椅子にお座りや‼」
椅子を運び、並べると座らせる。
「何か飲み物とか持ってこうか?」
「……それよりも、祐次。本当に、本当に申し訳ない‼」
「わぁぁ‼じいちゃん‼板の間に土下座せんでええ‼座って‼俺ジュースに、シィ兄ちゃんとこからお菓子持ってくるわ‼」
「いやっ!それよりも、祐次……本当に、本当に申し訳ない‼お前の同級生で、今回お前に迷惑をかけたんは、わしらの孫で……その上謝りもせんと、ワシの息子は祐次たちの情報をネットで調べようとしよる……わしらは申し訳ないとどうにか謝罪をと思とったのに、息子に孫は……情けのうて、朔夜に頼んで……」
「ごめんなさいね‼」
伊佐矢と亜沙子が泣きくれる。
伯父の近所のじいちゃんばあちゃんであり、時々遊びに行った時に、可愛がってくれる祖父母のような存在だった。
祐次は、二人を見てにっこり笑う。
「じいちゃんとばあちゃんは関係ないじゃん。それに、俺、じいちゃんとばあちゃん嫌いじゃないし。それに、彪流と、彪流の父さんが反省してないんだろ?じいちゃんたち……本当に参ってるんでしょ?ばあちゃんはやつれてるし、じいちゃんも顔色悪いし……少し休もや?な?」
「本当にすまなんだ……」
「ちょっと待ってて‼じいちゃん。お菓子とかうどんとか貰ってこうわい」
走っていき、朝渡して貰っていたチケットを使って、うどんとちらし鮨、標野の菓子にペットボトルのお茶を買って戻ってくる。
「少しでもお食べや?で、晩になったら綺麗な風景をみよや。な?」
「祐次ぼん?紙皿あったかなぁ?」
「あ、おいちゃん。大きさは?」
「中かなぁ?よう解らんわ」
「じゃぁ、大中小、どれやった?」
「これやわ」
示されたものを渡して、
「おっちゃん。忙しなったら、すぐに行くけんな?」
「頼むわ」
見送る姿を4人は見つめていたのだった。
「ありがとうございます。えと、この子をお迎えして下さって嬉しいです」
「ありがとう‼キャァァ。可愛いベア。『Miduki』ベアだわ」
「あ、ヴィヴィアン・マーキュリーさん、あのっ!私、お母さんと小さい頃に観ていたんです‼『アーサー王伝説』の映画を‼それに、その次の映画ではキュートなお姉さんで‼素敵だなぁって……あのっ!サイン……えと、えと‼」
「はい‼」
蛍が色紙を差し出すと、ヴィヴィは書きこみ、観月をハグする。
「観月、よろしくね‼ヴィヴィって呼んで頂戴」
「あ、ありがとうございます‼ヴィヴィお姉ちゃん‼」
「あーいーなぁ。ヴィヴィ。可愛い子と仲良くして」
その声に、
「ウェインもしたいでしょ?でも、したら紅に殴られるわよ?」
「紅は心狭くないよ?初めまして、観月‼ウェインお兄ちゃんだよ~‼」
ハグをされ、頬にキスをされる。
「もう、可愛い従妹には幾らでもサインもハグもしちゃう‼」
「セクハラ魔‼」
「良いでしょ。だって可愛いんだもん」
ウェインは微笑む。
「嵯峨さんの娘さんでしょ?可愛いねぇ?そう言えば僕が紅に会った時、僕は20で、紅は17だったよね……観月ちゃんは幾つかなぁ?」
「こ、今年17歳です」
「うわぁ……紅、こんな感じだったのかも?」
軽々と抱き上げる。
「コラコラ、祐次だけじゃなく嵯峨さん怒ってるから」
「えぇ?残念だなぁ」
祐也の言葉に観月を下ろすと、大きな箱を運んできた祐也が、
「はい、観月ちゃん。本当は後での方がいいと思ったけど、飲み会になっちゃうからね……先に見て貰った方がいいかなぁって」
「あっ!」
「嵯峨さん、柚月さん。観月ちゃんからだよ」
「えっ?こんな大きい?」
近づいてきた二人は目を丸くする。
「えっと……」
背伸びをして箱の中から取り出した物は、
「こ、これはお父さん、で、これがお母さん……で、私のベア……。です。風遊さんと蛍お姉ちゃんに教えて貰って頑張って作ったの」
嵯峨と柚月に一つ一つ手渡し、一回り小さいベアを抱き締め、両親を見上げる。
「ウェディングベア……とファミリーベア。お父さんとお母さんにあげたくて……お父さん、お母さん……‼」
柚月は観月を抱き締め、その二人を嵯峨がぎゅっと抱き締める。
「ありがとう‼観月‼」
「こんなに素敵なものを貰えるなんて……思いもよらなかったよ‼どうしようか……お父さんは……父の日も誕生日も、一度に来たみたいだよ……」
「嵯峨さん……貴方、涙が」
「本当ですね……でも、どうしましょうか。嬉しくて止まらないです。ありがとう‼観月……」
家族の様子に、嵯峨の幼馴染みである3兄弟が、
「嵯峨が変わったなぁ……」
「あてらの中で一番はよ、嫁はん貰っとりそうなかったしなぁ……」
「親馬鹿やなぁ」
と呟いたのだった。
それは本人たちには聞こえず、それぞれのテディベアを観月が紹介し、観月が型紙から作り上げたテディベアのことやスーツ、ドレスを着せたことなど一つ一つ説明していく。
「そんなに頑張ったのですか?」
「お父さんとお母さんに何かを贈りたかったので……似てますか?」
「とっても‼お父さんは本当にこんなに素敵なものを貰えるなんて……柚月。本当に貴女と観月は私の宝物です。改めて思いますよ」
もう一度ぎゅっと抱き締め、
「あ、そうでした。観月。このプレゼントには敵わないけれど、お父さんとお母さんからです」
柚月が持っていたバッグに収めていた細長い箱を取り出し、手渡す。
「お、お父さん?」
「開けてみて下さい」
テディベアをテーブルにのせ、箱を開けて絶句する。
キラキラと目映い涙型の、ブルーサファイアのプチネックレスだった。
「え、えぇぇぇ?こ、これは……」
「お父さんは誕生石がルビーで、観月がサファイア、柚月がゴールデンサファイアだったのです。お父さんは新しくネクタイピンを、柚月は婚約指輪、観月にはブルーサファイアを身に付けて欲しいと思って。同じ石でいいと思って……どうですかね?お父さんは誕生石とか全く知らなくて、幼馴染みに教わったんです。駄目ですね……もうちょっと勉強します」
「……お父さん……一緒の鋼玉だったからですか?」
「そ、そうなんです。お父さんとお揃い……恥ずかしいですかね?」
「いいえ、う、嬉しいです……逆に、こ、こんなに素敵なものを下さるなんて……お父さん、ありがとうございます」
観月は父親に抱きついたのだった。
『……まぁぁ‼風遊が言っていたのは、あのファミリーベア?素敵だわ‼何て素敵なの‼Mr.嵯峨がもうメロメロね‼』
『素敵でしょう?半縫製キットを作ったらすぐに製作に入ったのよ。だから、月曜日からこつこつとよ?飾りとかは私や蛍も手伝ったけれど、ほとんど一人でなの。で、時間があって小さいベアを作ったのがその子ね。ビックリだわ』
『器用ね。それに表情が素敵だわ‼』
ヴィヴィと風遊は話す。
その間に、日向が、
『じゃぁ、皆さん、昼間はのんびりして良いので、ゆっくり過ごして下さいね‼でも、稼ぎますよ~‼今年の目標は‼昨年の2割増しです‼良いですか~‼』
と拡声器で呼び掛けている。
『足りないものも気軽に言って下さい。取りに行きますからね‼』
『でも、風遊さんとヴィヴィさんのお店は、行列なしですよ~‼あっ‼風遊さんの店の商品を購入したら、ウェイン君のハグつき!キスつき‼』
「ぎゃぁぁ‼スゥさん‼ハグはいいけど、キスはなしにお願いします‼」
ウェインの一言に笑い声がわいた。
裏方仕事に従事する祐次は、外の声に、
「良いなぁ……俺も、観月といたかったなぁ」
と呟いた。
そして、時々出入りする地域の人たちに頼まれた荷物を、小学校の体育館並みに広い倉庫でごそごそ探していたところ、扉が開き、伯父の朔夜とせとかに何度か会ったことのある老夫婦、そして子犬のケージが運び込まれる。
「あれ?伯父さんと伯母さんに、確か武田のじいちゃんにばあちゃん?」
伯父の家の隣の老夫婦である。
「祐次。ここにおったんか」
「うん、雑用だよ。備品整理と、荷物を運搬。それにそのケージは?」
「祐也たちの育てる猟犬の子供。弁慶と義経が死んで、穐斗が泣きよるっていいよったけんなぁ……探してみたんや」
「そっか……で、武田のじいちゃん?どないしたん?身体の調子が悪いん?あぁ、この折り畳み椅子にお座りや‼」
椅子を運び、並べると座らせる。
「何か飲み物とか持ってこうか?」
「……それよりも、祐次。本当に、本当に申し訳ない‼」
「わぁぁ‼じいちゃん‼板の間に土下座せんでええ‼座って‼俺ジュースに、シィ兄ちゃんとこからお菓子持ってくるわ‼」
「いやっ!それよりも、祐次……本当に、本当に申し訳ない‼お前の同級生で、今回お前に迷惑をかけたんは、わしらの孫で……その上謝りもせんと、ワシの息子は祐次たちの情報をネットで調べようとしよる……わしらは申し訳ないとどうにか謝罪をと思とったのに、息子に孫は……情けのうて、朔夜に頼んで……」
「ごめんなさいね‼」
伊佐矢と亜沙子が泣きくれる。
伯父の近所のじいちゃんばあちゃんであり、時々遊びに行った時に、可愛がってくれる祖父母のような存在だった。
祐次は、二人を見てにっこり笑う。
「じいちゃんとばあちゃんは関係ないじゃん。それに、俺、じいちゃんとばあちゃん嫌いじゃないし。それに、彪流と、彪流の父さんが反省してないんだろ?じいちゃんたち……本当に参ってるんでしょ?ばあちゃんはやつれてるし、じいちゃんも顔色悪いし……少し休もや?な?」
「本当にすまなんだ……」
「ちょっと待ってて‼じいちゃん。お菓子とかうどんとか貰ってこうわい」
走っていき、朝渡して貰っていたチケットを使って、うどんとちらし鮨、標野の菓子にペットボトルのお茶を買って戻ってくる。
「少しでもお食べや?で、晩になったら綺麗な風景をみよや。な?」
「祐次ぼん?紙皿あったかなぁ?」
「あ、おいちゃん。大きさは?」
「中かなぁ?よう解らんわ」
「じゃぁ、大中小、どれやった?」
「これやわ」
示されたものを渡して、
「おっちゃん。忙しなったら、すぐに行くけんな?」
「頼むわ」
見送る姿を4人は見つめていたのだった。
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