世界を滅ぼせ太郎

極大級マイソン

第9話「野球、やろうぜ!」

「そんな訳で、何とか九人メンバーを揃えることができたんだが」
「はえーよ! もう少し段階を踏んで描写しろよ!」
 前回、石垣の突然の思いつきで三条正樹が所属する野球部に対外試合を申し込んだ二人は、その後次々とメンバーを集めていき、見事九人を揃えることに成功したのだった。
「じゃあメンバーも揃ったことだし、改めて全員で自己紹介をしたいと思う!  まずは有本!」
「はい、有本って言います! スポーツ大好きです! 中学時代はサッカーとバスケとテニスとバドミントンと陸上と水泳と相撲部に所属していました! 高校でが部活を一つに絞って、今は山岳部に入っています!」
「有本、お前はこの絶妙に野球に縁がない経歴に魅了されて、チームに抜粋したんだぜ! 期待してるから頼んだぜ!!」
「はいっ! 部活では全部補欠でしたけど頑張ります!」
「次、飯塚!」
「は、はい! えー、半ば騙された感じでチームに入らされました。運動とか全く出来ないんですけど、本当に私なんかで大丈夫なのかな?」
「最初は皆んな初心者だ! 俺も初心者だ! それでも気を落とさず前を向いていれば、きっと希望が見えてくるはずだ!!」
「はぁ…」
「次、内田!」
『はーい、どうも』
「お前は、……なんか幽霊だから適当に選んだ! 頼んだぞ!!」
『最近、相手を苦しませる呪いを編み出したんで、少しは役に立てるかもしれませんね〜』
「後は他のクラスからチームに入ってくれた四人。
邪答院けいとういん勘解由小路かでのこうじ魑魅魍魎ヶ原ちみもうりょうがはら切磋降魔せっさごうまだ」
(すげぇ、苗字が個性的過ぎて逆に覚えられねえ)

「邪答院って言います。将来の夢はプロ野球選手、……のいる球団のスーツアクターになることです」
「スーツアクター?」
「マスコットキャラクターの着ぐるみいるじゃないですか。それの『中の人』の事ですよ」
「なるほど(中の人って何だ?)」

「…勘解由小路だ。助っ人として呼び出されたが野球経験は無い。力になれるかは分からんが、特技は人間観察だ」
「勘解由小路は生徒たちの支援をしてくれる『学校支援部』の部員で、今回俺たちのチームに助っ人として参加してくれた。本当は運動できる奴を呼びたかったんだけど、他の部員が皆んな出ていてあと残っているのはこいつだけだったから仕方なく妥協した」
「悪かったな」

「ハロハロ〜!! 魑魅魍魎ヶ原って言いま〜す! 野球とかよく分かんないけど、イッちゃんの頼みって聞いてすっ飛んで来ちゃったぁ!!」
「チミは、俺の中学校時代からの知り合いで、たまに遊んだり出かけたりする仲だ。野球チーム作るって言ったら何故か参加してくれた」
「ふっふ〜ん、だってイッちゃんの為だもん! イッちゃんが困っているなら私、直接プロ選手をスカウトしちゃうから!!」
「そこまでしなくていいって。というか引っつくな暑苦しい!」
「あ、私のことは『チミ』って呼んでくださぁい!」

「せ、切磋降魔です。は、走るのが大好きで、野球はしたことないけど、あの、人と会話するのは苦手、です」
「切磋降魔はスゲーぞ! 脚がメチャクチャ速くて、全国の長距離マラソンで毎年優勝しているんだ!」
「ひ、人と話すの苦手だから、部活とか入っていません」
「戦力になると思って向こうの言い分も聞かず無理やりチームに入れてやったぜ!! 切磋降魔が超口下手なのが功を刺したな!!」

「どうだ佐藤! これが俺が作った、三条正樹を叩きのめす最強野球チームだ!!」
「面々は個性的だが、野球できない奴ばっかりじゃねえか。あと後半の奴らの名前が覚えられない」
「まあまあ、練習しているうちに話していれば自然と名前も覚えられるって!」
 約束通りメンバーを揃えることが出来た。那須太一に連絡すると向こうの方の許可も取れたそうなので、次の週末に対外試合をやるということになった。
「よーし、それじゃあ早速練習だ! 時間は限られている、キビキビと初めて行くぞ!」
「キャプテン、まずはルールを覚えるところか初めて行く必要があると思うの」
「飯塚、ルールなんてやってれば自然と覚えるもんだ! 細かいことは気にすんな!」
「ええ〜…」
『でも、最初にポジションと打順を決めないといけないんじゃないかな?』
「なるほど、じゃあアミダくじで適当に打線を決めるぜ!! 佐藤、アミダ作って」
「アミダくじ…」
 佐藤はやるせ無い気持ちになりながらも、言われた通りにアミダくじを作った。
 アミダの結果、ポジションと打順はこんな感じになった。

 1  投  佐藤
 2  三  魑魅魍魎ヶ原
 3  二  内田
 4  左  石垣
 5  一  勘解由小路
 6  中  切磋降魔
 7  遊  飯塚
 8  右  有本
 9  捕  邪答院

「…って、俺がピッチャーかよ」
「イエーイ、俺様4番っ!」
『3番セカンドですか…。まあ、何とかなるでしょう』
「あのぅ、この『遊』って何のことですか? 遊んでればいいの?」
 アミダくじで打線を決め、皆それぞれの担当を知っておもいおもいの反応を見せていた。
 野球を知らない人が見たらナンノコッチャ、という感じではあるが、そこはご愛嬌である。
「よーしそれじゃあお前ら、早速練習開始ダァ!!」

 オォーッ!!

「……ま、好きにやらせればいいか」
 佐藤は完全に諦めた様子で、石垣をキャプテンとした野球チームに参加するのだった。

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