世界を滅ぼせ太郎
第5話「復活して逆襲」
前回のあらすじ。
石垣は、ほとんどやつあたりに近い形で道端にいた不良に喧嘩を売ったが、ほぼ自業自得で酷い目にあったのだった。
「そんな訳で、俺は強くなりたい! 佐藤、俺を男にしてくれ!!」
「退院早々何を言ってるんだこの馬鹿は……。だいたいお前女だろうが!!」
「細かい事はいいんだよ。それよりも俺は、あの雪辱を一刻も早く晴らしたいんだ! あいつを倒すだけの力が欲しい!」
「いやだから! そいつ何も悪くないだろうが! 何で偶然見かけて喧嘩売った奴に、そこまで執念を燃やせるんだよ!!」
「細かい事はいいんだよ。それよりも俺は、強くなりたい!!」
「あー分かった、もうお前とは話さない。じゃあな」
「待って待って待って! 俺を置いて去ろうとするな!」
「はいはい分かった分かった。分かったから今後俺に話しかけるな、じゃあ」
「軽くあしらおうとするな! ……分かったよ。もう強くなりたいなんて無理は言わないから、代わりにあいつをボコボコにしてくれる相手を紹介してくれ」
「何一つ分かってねえじゃねえか!! 見ず知らずの相手をボコボコにしようとするな!」
「……見ず知らずの相手じゃねえぞ?」
「ナニ?」
「いやさ、その時は俺もムカついて冷静じゃなかったから気づかなかったんだけど、俺が前に喧嘩をふっかけた相手、結構な有名人だったんだ。ここら一帯の勢力争いの要になっている実力者。名前は、"三条"って言う」
「……石垣は、そいつとは知り合いなのか?」
「中学の時、一緒の学校だった。でも、俺が一方的に知ってただけだから、向こうは俺のこと知らないと思う」
「……お前みたいな、どこに居ても目立つような奴だったら、向こうも案外、お前のことを知っているかもしれないぞ」
「いやでも、俺中学時代は割とおとなしめの性格だったから、知らないと思うぞ?」
「おとなしめの性格ぅ? ……何言ってんだ、こいつ」
「嘘は言ってないぞ」
「だけどお前、どう考えても危ないだろソレ。勢力争いってのが、どう言ったものか一般人の俺には見当付かないが、大物の不良なんだろう? 最悪、怪我じゃ済まないぞ」
佐藤はこれでも先生である。流石に(一応)女の子である石垣を、危険な人物に接触させるわけにはいかなかった。
いざとなれば力づくでも引き止めようと覚悟した佐藤だったが、以外にも石垣はあっさり引き下がった。
「うん、でもやられっぱなしは癪だから何とかして」
「何と言う投げやりな要求!? ……あー、ならまずは体を鍛えないとな。強い敵と戦うには己も強くならなければダメだ」
「おう、その通りだ!!」
「よし、だったらついてこい石垣。俺にあてがある」
佐藤は知っていた。石垣の暴走を止めるには、言葉での説得は難しいことを。
ならば、己の限界を教えてやればいい。そうする事で、自分の無謀さを自分自身に気付かせるのだ。
(あいつはあれで運動オンチだからな。適当に武道館の部活に体験入部させれば、勝手に根を上げるだろう)
そうとなれば話は簡単だ。佐藤は石垣を連れて武道館を目指した。
「よっしゃぁやってやるぜ!!」
「せっかく案内するんだ。あっさり根を上げるんじゃないぞ」
そうは言う佐藤だったが、本心ではさっさと諦めてくれと切に願っていた。
武道館に着き、二人は扉を開いた。
   ***
次の日。石垣は教室で自分の机に突っ伏していた。
結果的に言えば、佐藤の目論見は成功したのだ。
「……まさか追い返されるとは思わなかった」
「貧弱なのは知っていたが、腕立て伏せ一回もできなかったとはな」
「"君には、鍛えるための鍛えが必要なレベル"だって言われた。……信じられない暴言だぜ」
「まあ、そう気を落とすな。でもこれで自分の力量が理解出来ただろう? 身の程も分かっただろうし、その不良の仕返し、というか、やつあたりなんて考えるのはやめようぜ。お前じゃあどのみち、そいつを倒すことは出来ないんだからさ」
「……うん、分かった。もう諦める」
「ほっそうか」
佐藤はようやく石垣の暴走が止まったと思い安堵を浮かべた。
しかし、そのあと彼女が放ったのは、彼には思いがけない一言だった。
「だから佐藤、俺の代わりにあいつを、三条正樹を倒してくれ!!」
「おう分かった。………………うん?」
石垣は、ほとんどやつあたりに近い形で道端にいた不良に喧嘩を売ったが、ほぼ自業自得で酷い目にあったのだった。
「そんな訳で、俺は強くなりたい! 佐藤、俺を男にしてくれ!!」
「退院早々何を言ってるんだこの馬鹿は……。だいたいお前女だろうが!!」
「細かい事はいいんだよ。それよりも俺は、あの雪辱を一刻も早く晴らしたいんだ! あいつを倒すだけの力が欲しい!」
「いやだから! そいつ何も悪くないだろうが! 何で偶然見かけて喧嘩売った奴に、そこまで執念を燃やせるんだよ!!」
「細かい事はいいんだよ。それよりも俺は、強くなりたい!!」
「あー分かった、もうお前とは話さない。じゃあな」
「待って待って待って! 俺を置いて去ろうとするな!」
「はいはい分かった分かった。分かったから今後俺に話しかけるな、じゃあ」
「軽くあしらおうとするな! ……分かったよ。もう強くなりたいなんて無理は言わないから、代わりにあいつをボコボコにしてくれる相手を紹介してくれ」
「何一つ分かってねえじゃねえか!! 見ず知らずの相手をボコボコにしようとするな!」
「……見ず知らずの相手じゃねえぞ?」
「ナニ?」
「いやさ、その時は俺もムカついて冷静じゃなかったから気づかなかったんだけど、俺が前に喧嘩をふっかけた相手、結構な有名人だったんだ。ここら一帯の勢力争いの要になっている実力者。名前は、"三条"って言う」
「……石垣は、そいつとは知り合いなのか?」
「中学の時、一緒の学校だった。でも、俺が一方的に知ってただけだから、向こうは俺のこと知らないと思う」
「……お前みたいな、どこに居ても目立つような奴だったら、向こうも案外、お前のことを知っているかもしれないぞ」
「いやでも、俺中学時代は割とおとなしめの性格だったから、知らないと思うぞ?」
「おとなしめの性格ぅ? ……何言ってんだ、こいつ」
「嘘は言ってないぞ」
「だけどお前、どう考えても危ないだろソレ。勢力争いってのが、どう言ったものか一般人の俺には見当付かないが、大物の不良なんだろう? 最悪、怪我じゃ済まないぞ」
佐藤はこれでも先生である。流石に(一応)女の子である石垣を、危険な人物に接触させるわけにはいかなかった。
いざとなれば力づくでも引き止めようと覚悟した佐藤だったが、以外にも石垣はあっさり引き下がった。
「うん、でもやられっぱなしは癪だから何とかして」
「何と言う投げやりな要求!? ……あー、ならまずは体を鍛えないとな。強い敵と戦うには己も強くならなければダメだ」
「おう、その通りだ!!」
「よし、だったらついてこい石垣。俺にあてがある」
佐藤は知っていた。石垣の暴走を止めるには、言葉での説得は難しいことを。
ならば、己の限界を教えてやればいい。そうする事で、自分の無謀さを自分自身に気付かせるのだ。
(あいつはあれで運動オンチだからな。適当に武道館の部活に体験入部させれば、勝手に根を上げるだろう)
そうとなれば話は簡単だ。佐藤は石垣を連れて武道館を目指した。
「よっしゃぁやってやるぜ!!」
「せっかく案内するんだ。あっさり根を上げるんじゃないぞ」
そうは言う佐藤だったが、本心ではさっさと諦めてくれと切に願っていた。
武道館に着き、二人は扉を開いた。
   ***
次の日。石垣は教室で自分の机に突っ伏していた。
結果的に言えば、佐藤の目論見は成功したのだ。
「……まさか追い返されるとは思わなかった」
「貧弱なのは知っていたが、腕立て伏せ一回もできなかったとはな」
「"君には、鍛えるための鍛えが必要なレベル"だって言われた。……信じられない暴言だぜ」
「まあ、そう気を落とすな。でもこれで自分の力量が理解出来ただろう? 身の程も分かっただろうし、その不良の仕返し、というか、やつあたりなんて考えるのはやめようぜ。お前じゃあどのみち、そいつを倒すことは出来ないんだからさ」
「……うん、分かった。もう諦める」
「ほっそうか」
佐藤はようやく石垣の暴走が止まったと思い安堵を浮かべた。
しかし、そのあと彼女が放ったのは、彼には思いがけない一言だった。
「だから佐藤、俺の代わりにあいつを、三条正樹を倒してくれ!!」
「おう分かった。………………うん?」
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