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スクールライフCREATORs

石原レノ

終わり~after story~

祭りも終盤に差し掛かり、僕とゆかりは玄関付近の花壇に腰下ろしていた。子供のようにはしゃいでいたゆかりは疲れたのか目をこすっている。
「楽しかったね。頑張った甲斐があるよ」
「はいです。これなら生徒会のみんなも浮かばれるですよ」
安心したように笑みを浮かべるゆかり。その横顔を眺めながら、僕はゆかりの頭にポンと手を置く。一瞬びっくりしたゆかりだったが、特に返すこともなく、今は頬を赤く染めて照れているだけだった。
「これからもよろしくね。ゆかりちゃん」
僕が唐突にそう告げると、ゆかりは何を思ったのか、目を見開いた。
そして、その場が気まずくなったのか、急に立ち上がる。
「そ、そう言えば先輩に渡すものがあったです!すぐにとってくるです!」
僕の言葉を聞くよりも前に、ゆかりはものすごいスピードで駆け抜けて行った。ゆかりの反応を不思議に思いながらも、自分の目の前に広がる夕景を眺める。今回もいろんな事があった。割と忙しいこんな時も好きになれそうである。ここに来てからそう思う時が増えた気がした。もっとも、問題ごとはごめんだが…。
「次はどんな事が起きるのかなーー」
「それは、神のみが…これからのあなたが知り得る事…」
夕景を前に黄昏ていた僕だったが、不意に聞こえた声に驚いてしまう。
その姿は、前にも見た事があった。
狐のお面を被った少女が、じっとこちらを見下ろしている。
「君は?」
僕がそう問いかけると、少女はこちらに背を向け、歩み去っていった。
「待って。君は誰?」
「それは知らなくてもいい事。私は……」
最後まで語らず、再び歩み出す。僕はこれ以上呼び止めることなく、ただ呆然とその背中が見えなくなるまで見ることしか出来なかった。   

「……先輩?」
「あ、ゆかりちゃん。取りに行ったの物って……あぁそれなんだね」
息を切らし、若干体を赤く火照らせているゆかりが手に持っているもの、それは僕の上着だった。ゆかりが咄嗟に持って帰ったままで、今の今まで存在を忘れていた。
「これ、借りっぱなしで…すみませんです」
「いいよいいよ。そんなに気にしないで」
そう言いながら、渡された上着を手に取る。約1週間ゆかりが持っていたことから、ほのかに匂いがする。
「……ありがとうゆかりちゃん」
「??私は先輩にお礼を言われるようなことしてないですよ?」
「まぁ……ゆかりちゃんこれだいぶ気に入ってくれたみたいだったしーー」
「っ!?」
思い出したように顔を赤く染め上げるゆかり。その反応が面白く、そして可愛らしかったため、思わず吹き出してしまった。
「そ、そんな事ないです!わ、わわ私はっ!」
「ははっ。分かった。分かったから」
未だ肩を揺らしながら笑い続ける僕に、ゆかりは気づかれぬように笑みをこぼしていた。
それがどんな意味を含めていたのかは、その顔を見ていない僕には到底予想できない事である。少なからず、今のゆかりには、友達以上の意識が僕に向いたことは、僕自身気づかなかった。

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