転生したら美少女勇者になっていた?!
第三十八話-忙しい一日④
騒がしい宿泊客たちに追われるようにして、俺たちはさっさと席を譲った。
まだもう少し休憩すべきだとは思ったが、ゾルフ本人が大丈夫だと言うので問題はなかろう。
見送ってくれているペツァニカに礼を言ってから、目的地となるギルドへと足を運んでいった。
距離はそう遠くないという事なので特にこれといった運送業者を頼ることはない。
昨日は慌ただしくてゆっくり見られなかった街道を、のんびりと見回しながら歩いていく。
ついでに途中気になる店には目星をつけておくことにした。
今の環境に余裕が出てきたら覗いてみよう。
まだ朝だというのに、道行く人々はせわしなく動き回っている。
そのほとんどが見たところ主婦や業者ばかりだった。
人口が多いためか、相応の働き手や場所が設けられているのだろう。
ギルドに近付くにつれ、だんだんと人通りも多くなってきた。
「そろそろ到着ですね」
半分に折りたたんだマップを片手にエラメリアが教えてくれる。
見れば、ちらほらと冒険者らしい恰好をした男女が増えてきていた。
「さっきより人が多いな。どうも、大規模な討伐やら護衛やらの依頼が来てるみたいだぜ」
ゾルフはこともなげに言うが、それって結構ヤバいんじゃないのか・・・?
まあ、街の雰囲気から察するにまだ身近なところに危機は迫っていなさそうだが。
「ふむ。とりあえず入れるかどうかでも確認しておきましょう」
「了解」
不安に思う俺をよそに、二人はギルドらしき建築物へと歩を早める。
周りがデカい男達ばかりなので、もたもたしていると見失いそうだ。
慌てて後を追うと、小さくなった俺の視界にもギリギリ入る程度には規模の大きい建物が見えてきた。
屋根が三角にとがった、ちょっとお洒落な建物だ。
入口にデカデカと看板が設置されており、これまたわかりやすいイラストでギルドの存在を主張していた。
現世で言うところの中規模総合病院って感じを醸し出しており、絶えず人が行き来している。
彼らは皆、様々な装備を施していた。
エラメリアが困った顔でこちらを振り向く。
「これは、三人で一度に入るのは厳しそうですね」
「だろうな」
「確かにこの人だまりじゃ難しいな」
とはいえ、人々の熱気さえ我慢できればそう苦になるものでもない。
そう言おうと身を乗り出した所で、エラメリアが少しだけ声を潜めてこういった。
「なので、私が先に様子見で入ってきます。ついでに荷物もとってくるので、しばらく待っていてください」
「えっ」
「うい」
その言葉に、思わず言葉を失ってしまう。
「ちょい、待って。俺はこれぐらいなら大丈夫だ。一緒に中に入るよ」
急いでそう告げるも、無慈悲にエラメリアは首を振った。
「これだけ人が集まっていると何が起こるかわかりません。気が急いているのもわかりますが、ちょっとの間なのでゾルフと一緒に待っていてください」
なん・・・ですと・・・?
不満を口にする前にエラメリアはギルドの方へと消えて行った。
追いかけようとするも、後ろからゾルフが肩を掴んで離さない。
「すぐ戻るって言ってるし、そう急ぐなって」
能天気な声で制する。
しかし、俺は今日中にギルドに向かうことが出来ないんじゃないかと、気が気でならなかった。
確かにエラメリアはすぐ戻るとは言っていたが、それは再び俺達を連れてギルドへ入るという意味ではない。
俺みたいな初心者でもこの人込みの中を安全に進めるか、それを確認しに行ったのである。
しかも言葉の端から察するに、戻ってきた時には用事を済ませて来る可能性が非常に高い。
それは正直勘弁してほしいところ。
とにかく俺は、ギルドに加入することは無理でも一度施設内に立ち入ってみたいのだ。
目の前に目的地があるのに、お預けを食らってまた今度はあまりにも辛い。
ただただ祈るような思いで、エラメリアの帰りを待っていた。
まだもう少し休憩すべきだとは思ったが、ゾルフ本人が大丈夫だと言うので問題はなかろう。
見送ってくれているペツァニカに礼を言ってから、目的地となるギルドへと足を運んでいった。
距離はそう遠くないという事なので特にこれといった運送業者を頼ることはない。
昨日は慌ただしくてゆっくり見られなかった街道を、のんびりと見回しながら歩いていく。
ついでに途中気になる店には目星をつけておくことにした。
今の環境に余裕が出てきたら覗いてみよう。
まだ朝だというのに、道行く人々はせわしなく動き回っている。
そのほとんどが見たところ主婦や業者ばかりだった。
人口が多いためか、相応の働き手や場所が設けられているのだろう。
ギルドに近付くにつれ、だんだんと人通りも多くなってきた。
「そろそろ到着ですね」
半分に折りたたんだマップを片手にエラメリアが教えてくれる。
見れば、ちらほらと冒険者らしい恰好をした男女が増えてきていた。
「さっきより人が多いな。どうも、大規模な討伐やら護衛やらの依頼が来てるみたいだぜ」
ゾルフはこともなげに言うが、それって結構ヤバいんじゃないのか・・・?
まあ、街の雰囲気から察するにまだ身近なところに危機は迫っていなさそうだが。
「ふむ。とりあえず入れるかどうかでも確認しておきましょう」
「了解」
不安に思う俺をよそに、二人はギルドらしき建築物へと歩を早める。
周りがデカい男達ばかりなので、もたもたしていると見失いそうだ。
慌てて後を追うと、小さくなった俺の視界にもギリギリ入る程度には規模の大きい建物が見えてきた。
屋根が三角にとがった、ちょっとお洒落な建物だ。
入口にデカデカと看板が設置されており、これまたわかりやすいイラストでギルドの存在を主張していた。
現世で言うところの中規模総合病院って感じを醸し出しており、絶えず人が行き来している。
彼らは皆、様々な装備を施していた。
エラメリアが困った顔でこちらを振り向く。
「これは、三人で一度に入るのは厳しそうですね」
「だろうな」
「確かにこの人だまりじゃ難しいな」
とはいえ、人々の熱気さえ我慢できればそう苦になるものでもない。
そう言おうと身を乗り出した所で、エラメリアが少しだけ声を潜めてこういった。
「なので、私が先に様子見で入ってきます。ついでに荷物もとってくるので、しばらく待っていてください」
「えっ」
「うい」
その言葉に、思わず言葉を失ってしまう。
「ちょい、待って。俺はこれぐらいなら大丈夫だ。一緒に中に入るよ」
急いでそう告げるも、無慈悲にエラメリアは首を振った。
「これだけ人が集まっていると何が起こるかわかりません。気が急いているのもわかりますが、ちょっとの間なのでゾルフと一緒に待っていてください」
なん・・・ですと・・・?
不満を口にする前にエラメリアはギルドの方へと消えて行った。
追いかけようとするも、後ろからゾルフが肩を掴んで離さない。
「すぐ戻るって言ってるし、そう急ぐなって」
能天気な声で制する。
しかし、俺は今日中にギルドに向かうことが出来ないんじゃないかと、気が気でならなかった。
確かにエラメリアはすぐ戻るとは言っていたが、それは再び俺達を連れてギルドへ入るという意味ではない。
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