転生したら美少女勇者になっていた?!
第四十話-忙しい一日⑥
「はい、この剣の持ち主にお借りしちゃいました♡」
エラメリアが言い終えるや否や、ゾルフがものすごい勢いで飛び出した。
「っ!」
狙いはエラメリアの持っている袋。
武器を取られたゾルフは、両手を前に着きだすような形でツッコんでいく。
そのあまりの速さに、俺は呆気に取られて見守ることしかできない。
しかしエラメリアも彼の行動は予知していたようで、落ち着いて反撃に出る。
素早く愛用の杖を抜き出すと、ゾルフが自身に触れるより先に杖先を彼の腕に当てがった。
するとどうだろうか、パリッという静電気みたいな音と共にゾルフの体が閃光のごとく一瞬輝いた。
準じて俺の視界も奪われる。
電撃系の技か?と再び目を開けた頃には、さっきまで虎のごとく疾駆していた彼が、唐突に力を失ったように地面に崩れ落ちていたのだ。
そのまま陸に打ち上げられた魚のようにピクピク動いている。
エラメリアは静かに杖をしまった。
ゾルフは何とか立ち上がろうと両手に力を込めたが、痺れているのか再び地面に伏してしまう。
せめてもの反抗か、悔しそうな目でエラメリアを睨みつけている。
口の端から涎を垂らしながら、かすれた声でゾルフは言った。
「エラたん、それ、泥棒・・・」
そしてガクリと意識を失った。
勝敗は決した。
エラメリアの圧勝だ。
「エラの、勝ち・・・」
一応そう言っておく。
が、ぶっちゃけ何が何だかよくわかっていない俺だった。
言葉の端々から察するに、エラメリアが持っている金は、どうやらゾルフのモノである。
んでもって、それに気付いたゾルフが取り返そうとした・・・ってことでいいのか?
けど、それとゾルフの短剣とがどう関係するのだろう。
聞いてみようにも、エラメリアは涼しい顔であらぬ方向を向いているし、ゾルフはこの通り使い物にならない。
「なんだなんだ、喧嘩か?!」
「こんな狭い所で、迷惑な奴らだ」
「オイ、なんか一人、ヤバくねえか・・・」
「死んでる!」
「事件だああ!!」
そうこうしている内に騒ぎを聞きつけた他の冒険者たちが寄ってきた。
未だに撃沈しているゾルフをこれ以上衆目に晒しておくのは色々不味い。
俺たちは互いに確認し合うまでもなく、すぐさま体勢を整えゾルフを担ぎあげる。
そしてエラメリアを先頭に群衆の中をかき分けるようにして、そそくさとその場を立ち退いた。
こんな時は、逃げるに限る!
エラメリアが言い終えるや否や、ゾルフがものすごい勢いで飛び出した。
「っ!」
狙いはエラメリアの持っている袋。
武器を取られたゾルフは、両手を前に着きだすような形でツッコんでいく。
そのあまりの速さに、俺は呆気に取られて見守ることしかできない。
しかしエラメリアも彼の行動は予知していたようで、落ち着いて反撃に出る。
素早く愛用の杖を抜き出すと、ゾルフが自身に触れるより先に杖先を彼の腕に当てがった。
するとどうだろうか、パリッという静電気みたいな音と共にゾルフの体が閃光のごとく一瞬輝いた。
準じて俺の視界も奪われる。
電撃系の技か?と再び目を開けた頃には、さっきまで虎のごとく疾駆していた彼が、唐突に力を失ったように地面に崩れ落ちていたのだ。
そのまま陸に打ち上げられた魚のようにピクピク動いている。
エラメリアは静かに杖をしまった。
ゾルフは何とか立ち上がろうと両手に力を込めたが、痺れているのか再び地面に伏してしまう。
せめてもの反抗か、悔しそうな目でエラメリアを睨みつけている。
口の端から涎を垂らしながら、かすれた声でゾルフは言った。
「エラたん、それ、泥棒・・・」
そしてガクリと意識を失った。
勝敗は決した。
エラメリアの圧勝だ。
「エラの、勝ち・・・」
一応そう言っておく。
が、ぶっちゃけ何が何だかよくわかっていない俺だった。
言葉の端々から察するに、エラメリアが持っている金は、どうやらゾルフのモノである。
んでもって、それに気付いたゾルフが取り返そうとした・・・ってことでいいのか?
けど、それとゾルフの短剣とがどう関係するのだろう。
聞いてみようにも、エラメリアは涼しい顔であらぬ方向を向いているし、ゾルフはこの通り使い物にならない。
「なんだなんだ、喧嘩か?!」
「こんな狭い所で、迷惑な奴らだ」
「オイ、なんか一人、ヤバくねえか・・・」
「死んでる!」
「事件だああ!!」
そうこうしている内に騒ぎを聞きつけた他の冒険者たちが寄ってきた。
未だに撃沈しているゾルフをこれ以上衆目に晒しておくのは色々不味い。
俺たちは互いに確認し合うまでもなく、すぐさま体勢を整えゾルフを担ぎあげる。
そしてエラメリアを先頭に群衆の中をかき分けるようにして、そそくさとその場を立ち退いた。
こんな時は、逃げるに限る!
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