僕のサンタクロース
僕のサンタクロース
  心が壊れかけていた。
  いや、既に壊れていたのかもしれない。
  だから、あんな幻覚を見たんだと思う。
  必死に頑張った就職活動の結果はギリギリ引っ掛かった猛烈なブラック企業だった。
  毎日繰り返される上司からの罵声、上司のミスは自分のせいで自分がやり遂げたプロジェクトは上司の手柄。
  遅ければゴミクズのように怒鳴りつけられ、上手くいっても当たり前のことをやっただけで偉そうにするなと怒鳴りつけられる。家に帰る暇もない、毎日職場の床に意識を失うように寝て起きたらすぐに続きを始める。一つの仕事が終われば、いや、終わらなくても次の仕事が待っている。
  遅れれば全て自分のせいで当たり前のように終わることの無い仕事に忙殺される日々。
  それが当たり前になり疑問を持たなくなっていた。
  文字通り心が死んでいた。
  外はクリスマス一色。
  今進めているプロジェクトは仕様変更につぐ仕様変更ですでに収拾がつかなくなっている。新人はあっという間にやめて全ての負担が自分にかかっている。
  明らかに破綻をしているが上司たちはすべての責任を自分になすり付ける準備をしっかりと行っている。
  クリスマスの日、報告すれば全てが終わる。
  このプロジェクトが破綻する運命の日だ。
  もう万策が尽きた24日の夜、俺は帰宅した。 
  もう何をしても無駄なんだ。
  そう確信したら足が家に向かっていた。
  自分の脳みそは何一つまともな思考をすることが出来なくなっていた。
  もし、彼女なり親友なりがいれば気がついていたんだろうが既に俺の心は完全に破壊されていた。
  何日ぶりかわからない布団で気がついたら寝ていた。
  気絶していたという方が正しいかもしれない。
  既に壊れた脳みそは夢を見せていた。
  俺の身体が最後の手段として見せた妄想。夢。
  物心ついた頃に犬を飼っていた。
  大型犬だった。
  白と黒、目元の見えないモフモフとした犬。
  大好きだった。暖かく優しい。今の自分には決してかけられない優しさ。
  犬種は当時は知らなかったがオールドイングリッシュシープドッグだった。
  家に帰るといつも一緒にいた。
  大好きだった。
  俺がいじめられて帰ればすぐに寄り添って寝てくれた。
  彼女に振られた日にもなにも言わずに側に来てその温もりで俺を癒してくれた。
  高校生の時に、目を開かなくなった。
  1週間くらいマトモに学校にも行けなかった。
  思い出せば涙が溢れ出していた。
  大学に入り今の企業に就職するまで何故か新しい人との関係を作ることが出来なくなっていた。
  その結果一人で生きていくことが心地よくなっていた。
  しかし、就職してそんな仕打ちを繰り返されていくうちに心が疲れてしまっていた。
  そして、夢にモコが現れた。
  夢のなかなのに涙が止まらなかった。
  モコにすがり付いて泣き続けていた。
「モコ、俺はどうしたらいい?」
  モコは静かに佇みなにも答えない。
  暫くするとモコはいつも遊んでいた靴下を渡してくる。
  まるで耐えるなら遊んでしまいなよ、そう言われたような気がした。
  そうだよね、頭が遅くなる前に逃げよう。
  俺はそう決意した。
  夢でしか決意できない。
  現実社会では色々なしがらみがあって自分の意思はかくしてしまう。
  でも、不思議ときちんと意見を言える自信がついた気がした。
  夢の中でモコは俺の背中を押してくれた。
  目が覚めると大好きだったボロボロの穴の空いた靴下が枕元に落ちていた。
  ボロボロと涙を流しながらその靴下を抱きしめていた。
  翌日、俺はクソみたいな会社を不思議なほどスムーズにやめることが出来た。
  そのせいで俺の人生は劇的に変化した。
  俺にとってのサンタクロースは間違いなくモコだった。
  今はもう大丈夫だよ。
  ありがとう。
  僕のサンタクロース。
  モコ……
  いや、既に壊れていたのかもしれない。
  だから、あんな幻覚を見たんだと思う。
  必死に頑張った就職活動の結果はギリギリ引っ掛かった猛烈なブラック企業だった。
  毎日繰り返される上司からの罵声、上司のミスは自分のせいで自分がやり遂げたプロジェクトは上司の手柄。
  遅ければゴミクズのように怒鳴りつけられ、上手くいっても当たり前のことをやっただけで偉そうにするなと怒鳴りつけられる。家に帰る暇もない、毎日職場の床に意識を失うように寝て起きたらすぐに続きを始める。一つの仕事が終われば、いや、終わらなくても次の仕事が待っている。
  遅れれば全て自分のせいで当たり前のように終わることの無い仕事に忙殺される日々。
  それが当たり前になり疑問を持たなくなっていた。
  文字通り心が死んでいた。
  外はクリスマス一色。
  今進めているプロジェクトは仕様変更につぐ仕様変更ですでに収拾がつかなくなっている。新人はあっという間にやめて全ての負担が自分にかかっている。
  明らかに破綻をしているが上司たちはすべての責任を自分になすり付ける準備をしっかりと行っている。
  クリスマスの日、報告すれば全てが終わる。
  このプロジェクトが破綻する運命の日だ。
  もう万策が尽きた24日の夜、俺は帰宅した。 
  もう何をしても無駄なんだ。
  そう確信したら足が家に向かっていた。
  自分の脳みそは何一つまともな思考をすることが出来なくなっていた。
  もし、彼女なり親友なりがいれば気がついていたんだろうが既に俺の心は完全に破壊されていた。
  何日ぶりかわからない布団で気がついたら寝ていた。
  気絶していたという方が正しいかもしれない。
  既に壊れた脳みそは夢を見せていた。
  俺の身体が最後の手段として見せた妄想。夢。
  物心ついた頃に犬を飼っていた。
  大型犬だった。
  白と黒、目元の見えないモフモフとした犬。
  大好きだった。暖かく優しい。今の自分には決してかけられない優しさ。
  犬種は当時は知らなかったがオールドイングリッシュシープドッグだった。
  家に帰るといつも一緒にいた。
  大好きだった。
  俺がいじめられて帰ればすぐに寄り添って寝てくれた。
  彼女に振られた日にもなにも言わずに側に来てその温もりで俺を癒してくれた。
  高校生の時に、目を開かなくなった。
  1週間くらいマトモに学校にも行けなかった。
  思い出せば涙が溢れ出していた。
  大学に入り今の企業に就職するまで何故か新しい人との関係を作ることが出来なくなっていた。
  その結果一人で生きていくことが心地よくなっていた。
  しかし、就職してそんな仕打ちを繰り返されていくうちに心が疲れてしまっていた。
  そして、夢にモコが現れた。
  夢のなかなのに涙が止まらなかった。
  モコにすがり付いて泣き続けていた。
「モコ、俺はどうしたらいい?」
  モコは静かに佇みなにも答えない。
  暫くするとモコはいつも遊んでいた靴下を渡してくる。
  まるで耐えるなら遊んでしまいなよ、そう言われたような気がした。
  そうだよね、頭が遅くなる前に逃げよう。
  俺はそう決意した。
  夢でしか決意できない。
  現実社会では色々なしがらみがあって自分の意思はかくしてしまう。
  でも、不思議ときちんと意見を言える自信がついた気がした。
  夢の中でモコは俺の背中を押してくれた。
  目が覚めると大好きだったボロボロの穴の空いた靴下が枕元に落ちていた。
  ボロボロと涙を流しながらその靴下を抱きしめていた。
  翌日、俺はクソみたいな会社を不思議なほどスムーズにやめることが出来た。
  そのせいで俺の人生は劇的に変化した。
  俺にとってのサンタクロースは間違いなくモコだった。
  今はもう大丈夫だよ。
  ありがとう。
  僕のサンタクロース。
  モコ……
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コメント
ノベルバユーザー599850
モコが僕のサンタクロースという最後にきっとこれから先がどんどんドキドキしていくのかなぁって思うと成長を想像するのがとても楽しみです。