終喰活慟(しゅうしょくかつどう)~神奈川奪還編~

武沢孝二

第四活 自個照会(じこしょうかい)

…………。
「――ん……」
俺が次に意識を取り戻した時には、最初の会議室に座っていた。
「――大丈夫?」
カルラが心配そうに俺の顔を覗きこんできた。
「……ああ、大丈夫。それより俺は、あの後どうなったんだ?」
「最初から脳力を使いすぎたみたい。薬の効果がきれるのと同時に、意識を失ったわ。それで私がここまであなたを運んだの」
「そうなんだ……。ごめん」
「なぜ謝るの? いきなりあそこまで力を出せたのはスゴイよ。正直私とセオさんは、あなたがあそこまで脳力を発揮出来ると思っていなかった」
「……でもそこで気を失って、女の子にここまで運び込んでもらったのは……恥ずかしいな」
「そんな――」
「――そうだろうな。なっさけない!」
カルラが何か言いかけた時、鬼塚が吐き捨てるように絡んできた。
「気を失って運び込まれたのはお前だけだ。しかも女に……ヒャハハハハッ」
「あなたね――」
鬼塚の挑発めいた言葉にカルラが反応したが、俺はそれを制止し、
「――カルラ、いいんだ。男から見たらホント情けないと思うし……、ただ鬼塚! 俺が情けないのはここまでだ! これからはお前――いや、誰も俺の事を情けないヤツだなんて言わせねーよ!」
俺の吐いたセリフに鬼塚どころか、室内中が静まり返った。
“チッ “
いつもの舌打ちをして鬼塚は黙った。
それに対してカルラは俺の肩に手をのせ “ニコッ ”と微笑みかけてくれる。
「それはそうとカルラ、今の状況はどうなっている?」
「今面接をしている沖縄県の【我那覇がなは さえずり】())さんで最後よ」
「そうか……結構な時間気を失っていたんだな」
――その時、面接室の扉が開き中からセオと、その我那覇と名乗る女の子が選別者と共に出てきた。
「ふ~、疲れたよ~」
と我那覇が額の汗を拭いながらも、顔は沖縄の海の様に透き通った笑顔に、俺は思わず見惚れてしまっていた。
(こんな若い女の子が気を失わず……しかも爽やかな笑顔で出てくるなんて……)
“ガンッ ”
とショックのあまり、目の前のテーブルに頭突きをくらわしてしまった。
「痛っ!」
と俺は額を擦った。
“何をしているの? ”
といった感じでカルラが冷めた目で見てくる。
そんな俺は「ハハハッ」とカルラに対して、笑ってごまかす。
するとセオが、
「ではこれで四十七名、全員の面接が終わりました。皆さん予想以上の脳力結果で驚きましたよ。それぞれが突出した脳力を持っていますが、その力を他の方に話すかどうかは、個人の判断に任せます。」
「オイッ! 武山! オマエの脳力は気絶か?」
鬼塚がまた絡んできたが、
「ああ、そうかもな。ま~仮に違ったとしても、絶対にお前なんかには話さないけど」
「アア~ン!!」
と俺と鬼塚はテーブルを叩き、イスから立ち上がり睨みあった。
するとカルラが、
「いい歳したオッサンが、ガキ相手に何ムキになっているの!?」
と、見事なツッコミに、俺と鬼塚は沈黙した。
さらにセオが、
「これからは力を合わせなければなりません。皆さん仲良くしてください」
いつもの温和な感じの言葉だったが、俺と鬼塚を見る目は、眼光鋭く、威圧的な睨みを放っており、この人を怒らせたらヤバいと、直感的に悟らすほどだった。
「ではこれから大切な事をお話ししますので、よく聞いてくださいね」
セオがそう言うと俺と鬼塚は素直に “コクリッ ”と頷いた。
鬼塚も同様にセオの内に秘めた只ならぬ力に気付いたらしい。
「皆さんはこの後、各地に戻って活動をしてもらいます。内容は勿論グリーゼ人の殲滅です。ですが状況は多勢に無勢、LCを使っても大群に囲まれたら苦戦は必至です。そこで実は皆さん以外にも、【協力者】を呼んでいます。その協力者たちはLCの服用は出来ませんが、近い効果を発揮出来る【サイコスーツ】を持っています。それにより脳力を三十パーセント近く引き上げる事が出来ています。スーツ自体の脳力なので効果時間は無制限ですが、攻撃を受け続け、耐久性が無くなればおのずと脳力も無くなり、そこで敵に襲われれば終わりです。あくまで協力者は、適合者のサポート役になります。それをふまえた戦い方をして下さい」
(協力者? 誰だろう?)
と思うのと同時にサポート役=使い捨てみたいな感じを受けて嫌悪感を覚えた。
「カルラはこの事知っていた?」
「いいえ、初耳よ」
(選別者にも教えてないのか……なんでだ?)
と俺は変な違和感を覚えたが、確かに選別者と適合者の二人で、都市を取り戻すのは厳しいのは事実で、あまり深く考えるのはやめた。
「ちなみに協力者は一人ではありません。各地域で人数は異なりますが五人から十人はいます。これから皆さんをそれぞれの部屋にご案内します。そこにはすでに協力者たちがおりますので、顔合わせしておいて下さい」
セオはそう言うと “パチンッ ”と指を鳴らした。
すると後ろの方で “ゴゴゴゴッ ”と地鳴りが聞こえ、部屋らしき建物が姿を現した。それはどうやら適合者の数、四十七室あるようだ。
「では皆さん、背後に出ました部屋に入って下さい。そこで協力者の方たちとミーティングをして、どうやるかを話し合って頂きます。そして部屋に入った時点から三十分後に、各地の職業案内所があった場所へ、自動的に転送されます」
突然の展開にみんな呆気にとられていた。
「ちょっと待ってくれ! ワシらはまだ脳力を使いこなしていないんだぞ!」
突然の事で不安に思ったのか、近藤が言った。
「すまないが、あまり時間はないのだよ。習うより慣れろ、としか言えない」
「慣れるまでに死んだら元も子もないじゃねーか!」
「近藤クン、キミの北海道はすでに解放済みだ。したがって隣、青森県の【野呂のろ 琢磨たくま】クンのヘルプに行ってくれ。ただし、皆さんにも言える事ですが、地域を解放しても、また狙われる危険性がありますので、何人かの協力者を、防衛の為に残していた方がいいでしょう」
「ちょっ、俺の話を――」
と近藤がヒートアップ寸前だったが、そばにいた選別者に制止させられた。
その選別者は何を言っても無駄だと言わんばかりに首を左右に振った。
「それと月に一回、月末に状況報告をしてもらう為、全体会議をします。その時またここに来てもらいますので憶えておいてください」
(そこはあくまで会社って感じなんだな)
俺はそう思い、一つ質問をした。
「ここに来るのにはどうしたらいいんですか?」
「職業案内所だよ。そこがキミたちの拠点になる。その中にある専用の端末を操作すればこの場に戻って来られる。ちなみにその地域の職安、仮に拠点が東京ならば都内どの職安からでも来られるように、全ての場所に専用端末を置いてある。ただし、その端末が使えるのは月末の一回だけ、全体会議の時のみ使用可能になります。」
(なるほど、なら俺の場合は神奈川だから、県内にある全ての職安から、この場所にアクセス出来るということか)
「もう質問はいいかね? 無ければこのまま部屋に行ってもらうが、私から一つだけ言わせてもらおう。今、皆がいるこの場が本社になり、これから行く部屋は会社で言うところの支部と言う事になる。そうなると適合者は支部長となり、選別者は秘書と言う立場になってもらいます。そして協力者はその支部の社員と思って下さい。支部長が指揮をとり、その指揮に社員が従い、そして秘書が支部長をフォローする、この一連の流れを憶えて下さい」
「――だって、支部長さん」
カルラがおちょくるように言ってきたので俺は、
「ハハハ」
と苦笑いを返した。
これまで人を扱うような仕事をした事がなかったから、俺は正直不安でいっぱいだった。
「では皆さん、今日は五月一日ですので月末にまたお会いしましょう。あ、あと部屋の中に資料がありますので、必ず目を通しておいて下さい」
――その言葉の終わりと同時に、東京支部の春馬が立ち上がり、部屋に向かって歩き出していた。
その後を “ピョコピョコ ”と飛び跳ねながら、小さい女の子がついて行った。
(――あの女の子が東京の選別者なのか……)
俺にはその子が小学生ぐらいにしか見えなかった。
そう思いながら頭を “ポリポリ ”と掻いているとカルラが、
「私たちも行くよ」
「ん? ああ、そうだな」
こちらは逆に俺が、カルラの後を追う感じになってしまった。
(クソ、春馬のヤツ……なんかカッコいいじゃんか)
と迷いや不安感を見せない春馬に嫉妬していた。

――カルラの後を追って部屋の前に着く。
「さぁ、ドアを開けて」
そう言われ、
「よしっ! ……ふ~」
緊張してなかなかドアのノブに手がいかなかった。そんな俺に痺れを切らしたカルラが、
「どいて! 私が開ける!」
強引に俺をどかそうと押してきたが、
「いや、ゴメン。俺が開けるから……」
ノブに手をかけ勢いよくドアを開けた。
“ガチャ ”

――その部屋はどこかの会社かと、思うほど事務所的な感じがした。
デスクがあり、その上には書類を綴じたファイルや、パソコン、ハサミやボールペンにセロハンテープなどの、事務用品が乱雑と置かれていた。
さらにはロッカーまでもがある。そしてその場には八人の男女がリクルーツ、いや、サイコスーツに身を包んでデスクに座っていた。
「あれ? また誰か入ってきたヨー」
ヘッドフォンをし、何かリズムを刻んでいるように頭を揺らしながら、ドレッドヘアをした男が言ってきた。
「――ああ、支部長さんですね。セオさんから伺っております」
今度は端整な顔立ちでメガネを掛けた、いかにも優等生的な男が話しかけてきた。
「支部長? あ、俺か……そうです」
一瞬、自分が支部長になっている事を忘れていた。
「どうぞ中央の席にお座りください」
優等生に促され席につく。
その俺の左後ろのデスクに〈 秘書 〉と書かれたプレートがあり、それを見たカルラが何も言わずにそこへと座る。
「では支部長さんと秘書の方が来られましたので、これから一通りセオさんに説明を受けました私が、進行をさせてもらいます。
早速ですが自己紹介をさせて下さい。
名前は【御堂条 影時(みどうすじ えいじ】、歳は二十五歳で、住まいは横浜市の【弐子区にしく】です。役職は【主任】になります」
(いい名前だな……地域は弐子区か~、横浜の中心部だ)
と俺が考えている間にも、御堂条は話し続ける。
「では私がしたように、一人ひとり自己紹介をしましょう」
「――めんどくさっ」
御堂条の言葉に、赤髪でショートヘアーの、ボーイッシュな女性が気怠そうに答えた。
「そう言わずに協力して下さい」
それに対して御堂条が “ニコリッ ”と笑顔で返す。
「では早速ですがドア側、左の方からお願いします」
「は……はひ! ぼぼぼぼぼぼぼ、僕は【比良塚市ひらつかし】から来ました……いや連れて来られ? あ、まぁいいや、【海道かいどう かい】です。歳は十六です」
(若いな~)と俺は心の中で羨ましがったが、よく考えると全員、就職活動者のはずで、年齢からしたら高校には行かず、仕事を探していたのだろうかと思わず聞いてみた。
「海道君は高校には進学せず、中学を卒業してすぐに仕事を探していたの?」
「はい……、家が貧乏で……高校に行けるお金がなかったし……」
「あ……ゴメン」
俺は質問してから後悔し、あまり突っ込んだ質問は控えようと反省した。
「次は隣の方、お願いします」
「ワタシは【関口せきぐち ジュディス】と言います。父が日本人で、母はフィリピン人です。住んでいる地域は【富士沢市ふじさわし】で歳は二十歳です」
(すげ~美人さんだな。さすがハーフ)
と、ハーフの人たちは全員、美男美女だと勝手に思っている自分がいた。
その時、御堂条が言葉を発するより早く、次の人が自分から名乗り出た。
「わたしの名前は【神之かみの 美琴みこと】よ。歳を聞くのはレディーに対して失礼でしょ。だから言わない」
髪をツインテールにし、あどけなさが残る顔をしていたのを見て、小学校の高学年ぐらいだと思った。それに声はロリッ子萌えキャラの声優さんばりで、嘘みたいな声色がより俺の想像に拍車をかける。とにかく彼女は強烈なロリッ子キャラだ。
「って言うか、これって個人情報でしょ! ヤバくない!?」
「いいですか美琴さん、ここにいる方たちは仲間です。これから死と隣り合わせの戦いをするのです。それぞれ協力しなくては生き残れないでしょう。だから少しでも仲間の情報を共有して、結束を固めなければなりません」
「つまり個人プレーは禁止、チームプレイに徹しろってこと?」
「禁止とまでは言いませんが、個々それぞれが好き放題、ワンマンプレイをしていては恐らく即全滅もあり得るでしょう」
「わかりました~。あと言ってないのは~、あ、地元は【河咲市かわさきし】です。以上!」
「有難う御座います。では次に――」
「――アタシは【北条ほうじょう 美衣みえ】、二十一、【御陀原市おだわらし】」
御堂条の言葉に、かぶせる感じで先程の気怠そうにしていた、ボーイッシュな女の子が早口の様に言った。見た感じ元ヤンかとも思うが、顔立ちは整っていて、赤髪と態度さえ直せば、アイドルだと偽っても誰も疑わないほどのレベルだ。
「……では今度は右の列の方、ドア側からお願いします」
「ヘイ! オレっちは【天野あまの かける】だゼ。二十六でジモッティーは【鎖神払市さがみはらし】だヨ。これでOK?」
リズムにのる喋り方がやけに苛立つ。
「有難う御座いました。ではその隣の方、お願いします」
「オレは【間藤まとう きざし】、三十一歳で【圧義市あつぎし】だ」
サングラスをしていて目つきが分からないが、かなり威圧感のある男だ。
「では最後の方、お願いします」
御堂条が言ったあと、俺はその人を見て違和感を覚えた。
(ん? サイコスーツの下にパーカー?)
フードを被っていて素顔が見えない。
「…………」
その人物は小刻みに体を震わせているようだ。
「すいません、大丈夫ですか? 自己紹介出来ます?」
御堂条は心配そうに尋ねる。
「…………」
まだ喋らない。いや、喋れないのか? と、そう思った時、
「あんちゃ~~~~ん!」
いきなりその人物は俺に向かって飛びついてきた。
「うわっ、突然何ですか!? あなたは!?」
俺に弟はいない。
だがフードを被ったコイツは今、確かにあんちゃんと、
(あれ? にいちゃんじゃなかったな、あんちゃんと言った?)
ふと、ある人物が頭の中に浮かぶ。
そして俺はもしかしたら、と思い、フードをめくった。
「ご……剛田さん?」
「ああ、そうだよ! ワシだよ! あんちゃんがドアから入って来た時、まさかと思ったが本物だ~」
剛田のオヤジは涙を流しながら抱きついてくる。
「剛田さん、落ち着いてください」
周りの連中は俺たちの事を呆然と見ている。
一人を除いて。
「剛田さん」
「――カルラちゃん、あんたもやっぱり本物だ~」
今度はカルラに抱き付こうとしたので、さすがに俺は止めに入った。
「ちょっ、ストップ、ストップ!」
すると二人の間に入った俺の背後で、カルラが言った。
「剛田さん無事だったんですね?」
「ああ、なんか知らんけど、UFOから攻撃を受けた時、目の前が真っ白になって気付いたらこの場所にいたんだ。そしたらセオっちゅーオヤジがいて、そいつから武山クンに協力してあげてくれって」
(あんたも十分オヤジだろうが)
「私も知らされてなかったからビックリしましたよ」
とカルラが言ったあとに御堂条が、
「あの、お取り込み中すみませんが、他の方たちが困惑しておりますので」
「いやいや、すまん。自己紹介だったな。ワシは【剛田ごうだ たけし】、威厳の威、一文字でタケシだ」
(やっぱジャイアンじゃね~かよ! 名前の漢字は違えど同姓同名って、ハハハハハッ)
下の名前を初めて聞いた俺は、口角をピクピクと引きつらせていた。
「歳は六十五で、【山人市】に住んどる」
(俺のオヤジとタメ年だったか~、もっと上かと思った)
と自分の父親と重ねて見てしまう。
「なるほど、何かのアニメかマンガに、そのような名前のキャラがいたような……」
御堂条が顎に手を掛け思い出そうとする。
「まあまあ、これで全員終わったんだし」
俺がジャイアントいう強烈なガキ大将キャラを、御堂条が思い出す前に言葉をはさむ。
「――ジャイアンじゃね?」
「ああ、そうだ。ジャイアン。北条さん有難う御座います。あなたのおかげで頭の中がスッキリしましたよ」
(北条、てめ~、ちょっとは気を使えよ! ジャイアンと呼ばれて喜ぶヤツ――)
「そうなんだよ。あのガキ大将のジャイアント同姓同名なのよ! あははははは」
(ここにいた……)
剛田のオヤジは褒められたかのように高笑いしていた。
それと反比例して俺の方は、気を使っていたのが馬鹿らしく思え、地べたに手をつき、四つん這いになって項垂れる。
(俺はこのポーズを、何回繰り返せばいいんだ?)
「どうした、あんちゃん! 項垂れてよ」
「あ、いえ……別に」
(感動の再会だったのに……)
「あー、あと支部長さんと秘書の方、お二人の自己紹介がまだですよ」
(そうか、俺たちもしなくちゃいけないよな)
そう思い、俺は立ち上がった。
「俺の名前は武山孝です。年齢は三十で、横浜市の旭陵区に住んでいます」
「三十で無職だったのが今じゃ支部長? ある意味スゴイね」
その言葉に “カチンッ ”ときて、
「おい、北条! お前もまだ二十代だからと思っていると、いつの間にか三十代になっているから気を付けろよ! そんな性格じゃまともな履歴書も書けないだろうから、書類選考落ちが関の山だな!」
「はぁ! あんたにそんな事言われたくないね!」
「ああそうかい、じゃーそのよく絡んでくる口に、チャックでもしろよ!」
「はい! そこまで!」
御堂条が仲裁に入る。
「これからこのチームで協力しなくてはならないのに、リーダーである支部長さんがそんな事で怒りを出してはいけません。あと北条さんも挑発的な発言は控えて下さい!」
(クソ! またやっちまった~)
短気な性格を抑えられない自分が不甲斐なかった。
対して北条は “ふんっ ”とした感じで腕を組み、下を向く。
だが俺が気になったのは北条よりも御堂条の方だった。
(何かコイツの話し方がセオにそっくりだな)と疑問に思って御堂条を見つめる。
「では気を取り直して、秘書の方お願いします」
「私は【鬼咲きさき カルラ】で年齢は十九です。横浜市の【中央区】にいました」
その時、初めてカルラのフルネームを知った。
(鬼咲って言うんだ? 中央区といえば横浜のシンボル、サンライズタワーや、ちょっとした遊園地があるハーバーフューチャー、映画やドラマなどの撮影場所によく使われる赤煉瓦倉庫がある場所で、高級マンションも立ち並んでいる。カルラは金持ちのお嬢さんか?)
「へぇ~、カルラちゃんは鬼咲って苗字だったんだ。いい名前だ~」
剛田のオヤジがヘラヘラしながら言った。
「では皆さんに、セオさんから預かっております資料を渡します」
そう言うと御堂条は一人ひとりに、ファイルの様な物を渡し始める。
「これからファイルを見ながら説明をさせて頂きます。その説明は全てセオさんから、私が直接聞いた事で、それをそのまま皆さんにお伝えします。早速ですが一ページ目を開いてください。今の段階で判明している敵の情報です」
俺もみんなと同じようにページを開く。
――と同時に目も見開く。
そこにはSF映画やホラー映画などに出てくる、おぞましい化物の写真があり、それに対する様々な情報が書かれているようだった

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