明日はフリマの日。最終チェックに余念がありません。

ノベルバユーザー173744

明日はフリマの日。最終チェックに余念がありません。

最近諦めることが増えたような気がする。

年を取ったし、しわやしみはなぜかほぼなく、病院に行くと、仲良しのおばさまに、

「いやぁぁ!!しゃこちゃん!!素っぴんやろ?何でシワないの!!しみも!!」
「?えーと、毎日、朝にご飯を食べる前に水で洗って、おわりです」
「えぇぇ!?化粧水に乳液は!?」
「お風呂上がりにベビーローションを。シャンプーとせっけんはベビーシャンプーです」

すると周囲はぎょっとする。

「幾つやっけ?家の子より年上よね!?」
「はい。多分どころか絶対そうですよ。とってもお若いお母さんですよね!!」

その方も素っぴんだが肌が白く、手入れをされているんだなぁと思う。

「……おばちゃんの子供においで!!」
「いえいえ、私の友人、孫持ちですよ~。私は子供はいませんけど」
「かまんかまん!!」

と笑ってくれる。
その優しさににこっと笑うと、別のおばさまに、

「笑顔が可愛いやん?いっつもボーッと遠い目をしているか、悲しげに目を伏せるか……笑うと良いことがあるんよ?お笑いや?」

その言葉に否定はせず、

「はい!!」
「そうそう。それにこの間から可愛いかごバックを持ってるやん?そういうのを楽しみよ?女の子なんやけん、一杯可愛いものをもっとったら幸せやろ?」
「いい年をして……と思われるかと」

真面目に返すと爆笑された。

「棺桶に足を踏み入れとるうちらに、まだ若いしゃこちゃんが真面目に言うて……あぁおかしい!!」
「本当。それに、服装はあれやけど時々持ってくるバッグ、手作りなんやって?器用やねぇ?」
「これくらいしか……」
「これくらいが、テディベアとか作るかね!!今度うちにちょうだい」
「あ、今度つくったら差し上げます!!」
「それを売りますってのが商売人やで?しゃこちゃんが今度フリマって大丈夫なんかねぇ?おばちゃんら心配やわ」

病院の待合室が井戸端会議である。
でも、先生の判断もしっかりしているのと、この井戸端会議が楽しくて、遠くなった病院に回数は減っているが通っている。
楽しいと思うのがどんなに大事か、教えてもらっている感じである。

でも、気が小さいと言うか、神経質で、物事が完璧に進ませないと気がすまず、やりとげる途中でぶっ倒れる。
そして、今日も……。

テディベアは、販売の間に作れたら小さい子を作ろうと準備中。
そしてクルミボタンも、カントリー調の古い布を洗濯したものを、丸く切って、作っていこうと思う。
それも楽しみだ。
でも、時々腰痛と共に、自分が落ち着いて仕事にいそしめるか?
それが問題だ。
でも、もう、病気になって、対人恐怖症が悪化して、親族とも会えなくなり、その理由を説明できない自分に苦悩する。

実は、私の母の妹が一人、もう30年引きこもりである。
最初は働けと、実家のお店を手伝わせたが、即お客さんとけんかをし、それから引きこもる。
引っ張り出しても、暴れてで、食事を要求し、電気代水道費、ガス代を払わず引きこもり生活を続ける。
祖父が死んだときは出てきたが、今年の祖母の葬儀には出てこなかった。
父と兄と弟が、

「ばあちゃんの葬儀ぐらい出てあげてくれんか!?」
「父さん、そんな言い方せんでええわい。ばばぁ出てこいや!!おい、マルノコに、バールは?」
「あるで?やろか?」

と、3人がかりで出そうとしたが、叔母たちが、

「寝とる子を起こすな!!何考えとんじゃ!!」
「うっさいわ!!甘やかすんもいい加減にせぇ!!」

と言う兄の一喝も聞かず……しかし、生来面倒くさがりの兄と弟は、

「まぁ、しゃこに任せるか」
「姉ちゃんなら何とかすらい。面倒は全部片付けてくれるけんな」

といってのけてくれたのは記憶に新しい。



昔は全てが空しく、悲しかったし、全て諦めていた。
家族のこと、借金のこと、病気……。
今でも時々思うのだ。
ようやく離れられた、抜け出したと思っても……。

私が働いたお金で安穏と引きこもり続けた叔母……。
それをずっと放置する家。
そして、叔母は実家に住み、しゃこは自己破産と生活保護……。

何て狂った家だろう。
何て馬鹿げた家だろう……。

名字に、借金だらけの古いビルを必死に守り、その代わり、姪であるしゃこを追い込んだ家などいらない……名前もいらない……。

ただの普通に生きる道が欲しいのだ。

だから、明日は楽しんで、一日をすごそう。
おばさまたちに言われた通り、笑顔で……。

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