ヒーローライクヒール(リメイク連載中)
その2・狂人と裏
[クロノ]
ハンスに騙され、町長宅(と思われる)にある拷問室に囚われて3日目。
が、終わるところ。
外はすっかり暗くなっている。
拷問官B「おい、そろそろ時間切れだ。」
拷問官A「あ?もうそんな時間か…」
あれからほぼ休みなく拷問が続いている。
クロノ「はぁ…はぁ…」
正直言ってキュリーの拷問の方が何倍と辛かったからギリギリ耐えられそうではある。
(まさかあの拷問を受けておいてよかったと思う日が来ようとはな…)
拷問官から冷水をかけられる。
拷問官A「ほらよ。冬の寒さをじっくり味わいな。」
魔力は自分を拘束している枷の影響で使えず。
つまり、夜の寒さを防ぐ術がない。
クロノ「ちくしょう、なんだって俺がこんな目に…昨日も一昨日もギリギリ生き延びられたが…まじでキツイんだよな…あぁ〜くそ、誰かヒーローでも助けにきてくれねぇかなぁ?あぁ、俺がヒーローなんだったっけ、ヒールだけど。ちくしょう、なんだって俺がこんな目にあわなきゃなんねぇんだっての…まじでf○ck youって感じだっての…中指どころじゃ足んねぇっての…あぁ、それじゃあf○ck youになんねぇな…」
心の中でだけ呟こうと思っていた独り言だが、口に出していないと正気を保てそうにない。
クロノ「この瞬間だけはキュリーの拷問の方が圧倒的にマシだが…脇にナイフ入れられないからこっちの方がマシか…どっちの方が良心的かねぇ…拷問の時点で良心的じゃねぇか…くそぉ、誰でもいいからヒーローでも助けにきてくれよ…この際プライドなんか全部捨て」
その時、部屋の外で銃声が鳴る。
クロノ「何の音だ?」
扉が開き、拷問官が飛ばされてくる。
拷問官A「ちくしょう…‼︎」
もう1人男が入ってくる。
ジェス「クロノ‼︎」
クロノ「ジェス⁉︎」
ジェスが銃を自分の後ろにある壁に向かって2発撃つ。
その魔力弾が反射し、自分の両手と両脚の間のロープと枷を撃ち抜く。
クロノ「おっ!」
やっと自由の身になれた。
拷問官A「くそやろう‼︎」
クロノ「おら‼︎」
立ち上がり、回し蹴りを拷問官の顔に命中させる。
ジェス「おい…今の殺っちゃったんじゃねぇの…?」
変な音はしたし、口から血を吐いてはいるが…
クロノ「当たりどころが悪かったかな…運が悪いってことにしとこう…」
ジェス「そうか…そうだな…」
シーラ「終わりました…?」
シーラが入ってくる。
クロノ「あんたら…なんでここに…?」
ジェス「そうだな、とりあえず一旦この城を脱出してからに…」
ハイネス「おいおい、させるとでも?」
扉に向かおうとするとハイネスが扉の前で立っていた。
クロノ「ハイネス…‼︎」
ハイネス「あ〜あ、貴重な貴重な有能拷問官殺してくれちゃって〜。」
クロノ「第一遊撃隊について詳しいこと教えてもらおうか?」
ハイネス「えぇ〜いやだよ〜。あ、でも一個だけ特別に教えてあげよっかな〜。第一遊撃隊を壊滅させたのも壊滅させるよう指示たのもクロノちゃんじゃない。別のやつだ。それが誰かは俺は言わんがな?あんたを陥れるために嘘を教えてあげたのさ。そこの拷問官君にね。」
ジェス「てめぇ…このド外道が‼︎」
ジェスが銃を向ける。
ハイネス「銃向けんなって‼︎怖いんだから‼︎はいはい、んでこの城から脱出するつもりらしいけど、無理だよ?仮に俺を突破したとしても、城内にも城外にも聖騎士隊はいるから。警備の兵もね。」
全員黒色ってか。
ハイネス「まぁ、逃がすつもりはな」
ジェス「ふっ‼︎」
ジェスが両手を素早く振り、大きな銃声を鳴らす。
ハイネスは後ろへ大きく吹き飛ばされ、廊下の壁に激突する。
ジェス「早く部屋から出ろ‼︎」
ジェスに促され、部屋から出る。
ハイネス「いってえなおい‼︎人の話中に攻撃はするなってママさんから教わらなかったの⁉︎」
ハイネスが立ち上がる。
ジェス「シーラ、クロノを連れてってくれ。」
シーラ「ジェスさん?」
ジェス「俺がこいつを食い止める。」
クロノ「おい‼︎」
ジェス「さっさとしろ‼︎城の外でハゼット達が待ってるはずだ。早く行け‼︎」
クロノ「だけど…」
ジェス「てめぇはあれだな。人が無茶なことしてるのは止めるくせに自分は平気で無茶しようするタイプの人間みてぇだな。人が傷つくのは嫌で自分ならいいやみたいな。残念だが俺もだ。そういうわけでさっさと行け。」
クロノ「くそっ…死ぬなよ…!」
ジェス「まだあんたの報酬のお菓子貰ってねぇんだよ。さっさとよこせっての。」
クロノ「帰ったらな‼︎」
ジェスを置いてシーラと廊下を走っていく。
クロノ「いったいどうなってんだ?」
シーラ「クロノさんがギルドを出た時にハゼットさんが、ハンスの様子がおかしいから尾行しろって言ったんです。そしたら路地裏でクロノさんが襲われてて…助けたかったんですけど、私戦う程の力は持ってなくて…そのことをハゼットさんに伝えると、ガイアさんに伝えろと言われて門番の兵にガイアさんに会わせてと言ったんですが、第一遊撃隊の兵士が誰1人戻ってきていないと言われて、私なりに調査をしたんです。それで第一遊撃隊が壊滅したことと、クロノさんが拷問されてることを知って、ハゼットさんに教えました。そして、その日の夜にたまたま全員でギルドから離れていたので分からなかったのですが、ラフが火事になっていたんです。」
クロノ「ラフが火事⁉︎」
シーラ「放火です。気づいた時には全焼でした。それでしばらくシレイノさんのお店にいさせてもらってて。今日、クロノさん救出を決行しようってなったんです…。」
クロノ「まじでなんなんだよ…なんで俺の周りで事件起きまくってんだよ…」
階段を降りていく。
大きな廊下に出る。
廊下からは外の景色が見渡せた。
城の門の内側の大きな庭で誰かいるようだが、まだ暗くてよく見えない。
しかし、あちこちで何やら争っているようにも見える。
シーラ「フレアさんに…ターニアさんとレーニャさん⁉︎あそこ‼︎ハゼットさんもいる‼︎」
言われた方を見るとギルドの面々があちらこちらで戦っている。
シーラ「なんで戦って…誰と戦ってるの…⁉︎」
相手は色の付いた鎧を着た兵士達…いや…
クロノ「聖騎士隊か…‼︎」
男「そうだよ。」
横から声がする。
クロノ「ハンス…」
ハンス「やぁ、拷問はどうだったかな?」
爽やかな笑顔を向け、手を振っている。
クロノ「やぁ、じゃねぇよクソ野郎。てめぇどういうことだ。」
ハンス「どうって、ちょっとね。君の存在が邪魔だったからいい感じに消えてもらえないかなって。かといって無罪の英雄を殺すわけにはいかないからね。拷問で心が折れて罪を認めてくれれば、死なれてもみんな納得してくれるはずだったんだけど…どこからか情報がラフの人達にも伝わっちゃってね。今、ああやって聖騎士隊の面々で時間稼ぎをしてもらってるのさ。ま、聖騎士隊如きじゃあ本当に時間稼ぎにしかならないけど。」
クロノ「俺の存在が邪魔って…何を企んでんだ…?」
ハンス「君のことを色々聞かせてもらったよ…かなり面白い存在だったんだね、君は…異世界か…」
異世界を知ってる…?
ハンス「君を異世界の向こう側に帰すわけにはいかないんだ。向こうで何らかの方法で穴をあけるための接続を解除されたら困るらしいからね。だから君に死んでほしかったのさ。シーラから聞いたかい?それとガイアさん。」
クロノ「俺が殺したってことになってるが、どうなってんだ?」
ハンス「知りたいかい?って言っても単純なことなんだけどね。ガイアさんは人一倍正義感が強い人でね。もし知られてしまったらおそらく全力で止めてくるだろう。あの人と正面から戦うなんて考えたくもないからね。だからちょっと後ろから襲ったのさ。僕がね。」
シーラ「えっ…?」
クロノ「クソやろうが…」
ハンス「シーラからラフを燃やしたことは聞いたかい?同じ理由さ。ラフのみんなは正義感強いからね。それと同時に、ラフの連中は悪いことをしたってのを町中に言いふらしたさ。信用してもらうにはなかなか難しかったけど、こうやってコソコソして表に顔を出せないのは隠し事をしているからじゃないのかーって言ったらみんな信じてくれたよ。さて…なんだったっけ…あぁ、ガイアさんを殺したってところか…いやぁ…とても楽しかったよ…?」
ハンスの顔が歪んでいく。
ハンス「僕はね…ああいう強い人ってのをいたぶって殺すのが好きなのさ…強くなくてもいいんだけどさ…人を殺す時に一瞬だけ浮かぶ恐怖の表情…最高だと思わない?実は僕が聖騎士隊に所属してからは、国内で行われる死刑の執行人を僕が引き受けていたんだ…」
もはやハンスの顔からは以前の爽やかな好青年の印象は消えている。
ハンス「大丈夫だよ…異常なのは僕だけじゃない…聖騎士隊はみんなこんな感じさ…さて、僕はもちろん君達を帰すわけにはいかない。」
シーラ「きゃっ‼︎」
クロノ「シーラ⁉︎」
シーラが兵士達に捕まる。
ハンス「おっと、動くなよ。動いたら今すぐシーラを殺すぞ。」
クロノ「てめぇまじで…」
ハンス「大丈夫だよ、ちょっとある部屋に送っておくだけさ。僕を倒せば、その部屋を教えてあげるよ。」
クロノ「なに?」
ハンス「君は強い。おそらく…僕が今まで出会った中で。だから…君を殺したい…」
魔王城の時もキュリーにそんな感じで告白された気がするなぁ…。
ハンス「剣が欲しいだろう?ほら。」
剣を2本自分の足元に投げる。
ハンス「君のだ。」
クロノ「………いらん。」
ハンス「いらないってなんでだい?」
剣を蹴り捨てる。
剣が壁にぶつかると、剣のあちこちから鋭いトゲが飛び出る。
ハンス「あ〜あ、なんでばれたの?」
クロノ「強いやつと戦うのが好きとかいいながら後ろから襲うようなお前だ。どうせマトモに戦う気はないんだろう?」
ハンス「あちゃ〜黙っとけば良かったな…」
クロノ「それに…」
ハンス「それに?」
クロノ「てめぇは俺の手で直々に殴り殺してやらねぇと気がすまん。」
ハンス「………ふははははははは‼︎君もすっかりこの世界に染まったねぇ‼︎君がいたあっち側の世界では、人を殺すなんて口では軽々しくいくらでも言えるのに、実際に殺すやつはいないんだろう‼︎君がいた町は実に平和そうで争いからは程遠かったしねぇ‼︎それなのに、こんなにもこっちの世界に染まってしまったのかい⁉︎人を殺すのが好きになってしまったんだねぇ‼︎」
クロノ「………しつけぇんだよ、この狂人が…」
ハンス「いいさ‼︎僕を殺してみなよ‼︎さぁ‼︎僕を殺そうとする君を殺すのはどれだけ気持ちがいいかなぁ…‼︎」
ハンスは子供のように笑い、剣を手に取る。
ハンスに騙され、町長宅(と思われる)にある拷問室に囚われて3日目。
が、終わるところ。
外はすっかり暗くなっている。
拷問官B「おい、そろそろ時間切れだ。」
拷問官A「あ?もうそんな時間か…」
あれからほぼ休みなく拷問が続いている。
クロノ「はぁ…はぁ…」
正直言ってキュリーの拷問の方が何倍と辛かったからギリギリ耐えられそうではある。
(まさかあの拷問を受けておいてよかったと思う日が来ようとはな…)
拷問官から冷水をかけられる。
拷問官A「ほらよ。冬の寒さをじっくり味わいな。」
魔力は自分を拘束している枷の影響で使えず。
つまり、夜の寒さを防ぐ術がない。
クロノ「ちくしょう、なんだって俺がこんな目に…昨日も一昨日もギリギリ生き延びられたが…まじでキツイんだよな…あぁ〜くそ、誰かヒーローでも助けにきてくれねぇかなぁ?あぁ、俺がヒーローなんだったっけ、ヒールだけど。ちくしょう、なんだって俺がこんな目にあわなきゃなんねぇんだっての…まじでf○ck youって感じだっての…中指どころじゃ足んねぇっての…あぁ、それじゃあf○ck youになんねぇな…」
心の中でだけ呟こうと思っていた独り言だが、口に出していないと正気を保てそうにない。
クロノ「この瞬間だけはキュリーの拷問の方が圧倒的にマシだが…脇にナイフ入れられないからこっちの方がマシか…どっちの方が良心的かねぇ…拷問の時点で良心的じゃねぇか…くそぉ、誰でもいいからヒーローでも助けにきてくれよ…この際プライドなんか全部捨て」
その時、部屋の外で銃声が鳴る。
クロノ「何の音だ?」
扉が開き、拷問官が飛ばされてくる。
拷問官A「ちくしょう…‼︎」
もう1人男が入ってくる。
ジェス「クロノ‼︎」
クロノ「ジェス⁉︎」
ジェスが銃を自分の後ろにある壁に向かって2発撃つ。
その魔力弾が反射し、自分の両手と両脚の間のロープと枷を撃ち抜く。
クロノ「おっ!」
やっと自由の身になれた。
拷問官A「くそやろう‼︎」
クロノ「おら‼︎」
立ち上がり、回し蹴りを拷問官の顔に命中させる。
ジェス「おい…今の殺っちゃったんじゃねぇの…?」
変な音はしたし、口から血を吐いてはいるが…
クロノ「当たりどころが悪かったかな…運が悪いってことにしとこう…」
ジェス「そうか…そうだな…」
シーラ「終わりました…?」
シーラが入ってくる。
クロノ「あんたら…なんでここに…?」
ジェス「そうだな、とりあえず一旦この城を脱出してからに…」
ハイネス「おいおい、させるとでも?」
扉に向かおうとするとハイネスが扉の前で立っていた。
クロノ「ハイネス…‼︎」
ハイネス「あ〜あ、貴重な貴重な有能拷問官殺してくれちゃって〜。」
クロノ「第一遊撃隊について詳しいこと教えてもらおうか?」
ハイネス「えぇ〜いやだよ〜。あ、でも一個だけ特別に教えてあげよっかな〜。第一遊撃隊を壊滅させたのも壊滅させるよう指示たのもクロノちゃんじゃない。別のやつだ。それが誰かは俺は言わんがな?あんたを陥れるために嘘を教えてあげたのさ。そこの拷問官君にね。」
ジェス「てめぇ…このド外道が‼︎」
ジェスが銃を向ける。
ハイネス「銃向けんなって‼︎怖いんだから‼︎はいはい、んでこの城から脱出するつもりらしいけど、無理だよ?仮に俺を突破したとしても、城内にも城外にも聖騎士隊はいるから。警備の兵もね。」
全員黒色ってか。
ハイネス「まぁ、逃がすつもりはな」
ジェス「ふっ‼︎」
ジェスが両手を素早く振り、大きな銃声を鳴らす。
ハイネスは後ろへ大きく吹き飛ばされ、廊下の壁に激突する。
ジェス「早く部屋から出ろ‼︎」
ジェスに促され、部屋から出る。
ハイネス「いってえなおい‼︎人の話中に攻撃はするなってママさんから教わらなかったの⁉︎」
ハイネスが立ち上がる。
ジェス「シーラ、クロノを連れてってくれ。」
シーラ「ジェスさん?」
ジェス「俺がこいつを食い止める。」
クロノ「おい‼︎」
ジェス「さっさとしろ‼︎城の外でハゼット達が待ってるはずだ。早く行け‼︎」
クロノ「だけど…」
ジェス「てめぇはあれだな。人が無茶なことしてるのは止めるくせに自分は平気で無茶しようするタイプの人間みてぇだな。人が傷つくのは嫌で自分ならいいやみたいな。残念だが俺もだ。そういうわけでさっさと行け。」
クロノ「くそっ…死ぬなよ…!」
ジェス「まだあんたの報酬のお菓子貰ってねぇんだよ。さっさとよこせっての。」
クロノ「帰ったらな‼︎」
ジェスを置いてシーラと廊下を走っていく。
クロノ「いったいどうなってんだ?」
シーラ「クロノさんがギルドを出た時にハゼットさんが、ハンスの様子がおかしいから尾行しろって言ったんです。そしたら路地裏でクロノさんが襲われてて…助けたかったんですけど、私戦う程の力は持ってなくて…そのことをハゼットさんに伝えると、ガイアさんに伝えろと言われて門番の兵にガイアさんに会わせてと言ったんですが、第一遊撃隊の兵士が誰1人戻ってきていないと言われて、私なりに調査をしたんです。それで第一遊撃隊が壊滅したことと、クロノさんが拷問されてることを知って、ハゼットさんに教えました。そして、その日の夜にたまたま全員でギルドから離れていたので分からなかったのですが、ラフが火事になっていたんです。」
クロノ「ラフが火事⁉︎」
シーラ「放火です。気づいた時には全焼でした。それでしばらくシレイノさんのお店にいさせてもらってて。今日、クロノさん救出を決行しようってなったんです…。」
クロノ「まじでなんなんだよ…なんで俺の周りで事件起きまくってんだよ…」
階段を降りていく。
大きな廊下に出る。
廊下からは外の景色が見渡せた。
城の門の内側の大きな庭で誰かいるようだが、まだ暗くてよく見えない。
しかし、あちこちで何やら争っているようにも見える。
シーラ「フレアさんに…ターニアさんとレーニャさん⁉︎あそこ‼︎ハゼットさんもいる‼︎」
言われた方を見るとギルドの面々があちらこちらで戦っている。
シーラ「なんで戦って…誰と戦ってるの…⁉︎」
相手は色の付いた鎧を着た兵士達…いや…
クロノ「聖騎士隊か…‼︎」
男「そうだよ。」
横から声がする。
クロノ「ハンス…」
ハンス「やぁ、拷問はどうだったかな?」
爽やかな笑顔を向け、手を振っている。
クロノ「やぁ、じゃねぇよクソ野郎。てめぇどういうことだ。」
ハンス「どうって、ちょっとね。君の存在が邪魔だったからいい感じに消えてもらえないかなって。かといって無罪の英雄を殺すわけにはいかないからね。拷問で心が折れて罪を認めてくれれば、死なれてもみんな納得してくれるはずだったんだけど…どこからか情報がラフの人達にも伝わっちゃってね。今、ああやって聖騎士隊の面々で時間稼ぎをしてもらってるのさ。ま、聖騎士隊如きじゃあ本当に時間稼ぎにしかならないけど。」
クロノ「俺の存在が邪魔って…何を企んでんだ…?」
ハンス「君のことを色々聞かせてもらったよ…かなり面白い存在だったんだね、君は…異世界か…」
異世界を知ってる…?
ハンス「君を異世界の向こう側に帰すわけにはいかないんだ。向こうで何らかの方法で穴をあけるための接続を解除されたら困るらしいからね。だから君に死んでほしかったのさ。シーラから聞いたかい?それとガイアさん。」
クロノ「俺が殺したってことになってるが、どうなってんだ?」
ハンス「知りたいかい?って言っても単純なことなんだけどね。ガイアさんは人一倍正義感が強い人でね。もし知られてしまったらおそらく全力で止めてくるだろう。あの人と正面から戦うなんて考えたくもないからね。だからちょっと後ろから襲ったのさ。僕がね。」
シーラ「えっ…?」
クロノ「クソやろうが…」
ハンス「シーラからラフを燃やしたことは聞いたかい?同じ理由さ。ラフのみんなは正義感強いからね。それと同時に、ラフの連中は悪いことをしたってのを町中に言いふらしたさ。信用してもらうにはなかなか難しかったけど、こうやってコソコソして表に顔を出せないのは隠し事をしているからじゃないのかーって言ったらみんな信じてくれたよ。さて…なんだったっけ…あぁ、ガイアさんを殺したってところか…いやぁ…とても楽しかったよ…?」
ハンスの顔が歪んでいく。
ハンス「僕はね…ああいう強い人ってのをいたぶって殺すのが好きなのさ…強くなくてもいいんだけどさ…人を殺す時に一瞬だけ浮かぶ恐怖の表情…最高だと思わない?実は僕が聖騎士隊に所属してからは、国内で行われる死刑の執行人を僕が引き受けていたんだ…」
もはやハンスの顔からは以前の爽やかな好青年の印象は消えている。
ハンス「大丈夫だよ…異常なのは僕だけじゃない…聖騎士隊はみんなこんな感じさ…さて、僕はもちろん君達を帰すわけにはいかない。」
シーラ「きゃっ‼︎」
クロノ「シーラ⁉︎」
シーラが兵士達に捕まる。
ハンス「おっと、動くなよ。動いたら今すぐシーラを殺すぞ。」
クロノ「てめぇまじで…」
ハンス「大丈夫だよ、ちょっとある部屋に送っておくだけさ。僕を倒せば、その部屋を教えてあげるよ。」
クロノ「なに?」
ハンス「君は強い。おそらく…僕が今まで出会った中で。だから…君を殺したい…」
魔王城の時もキュリーにそんな感じで告白された気がするなぁ…。
ハンス「剣が欲しいだろう?ほら。」
剣を2本自分の足元に投げる。
ハンス「君のだ。」
クロノ「………いらん。」
ハンス「いらないってなんでだい?」
剣を蹴り捨てる。
剣が壁にぶつかると、剣のあちこちから鋭いトゲが飛び出る。
ハンス「あ〜あ、なんでばれたの?」
クロノ「強いやつと戦うのが好きとかいいながら後ろから襲うようなお前だ。どうせマトモに戦う気はないんだろう?」
ハンス「あちゃ〜黙っとけば良かったな…」
クロノ「それに…」
ハンス「それに?」
クロノ「てめぇは俺の手で直々に殴り殺してやらねぇと気がすまん。」
ハンス「………ふははははははは‼︎君もすっかりこの世界に染まったねぇ‼︎君がいたあっち側の世界では、人を殺すなんて口では軽々しくいくらでも言えるのに、実際に殺すやつはいないんだろう‼︎君がいた町は実に平和そうで争いからは程遠かったしねぇ‼︎それなのに、こんなにもこっちの世界に染まってしまったのかい⁉︎人を殺すのが好きになってしまったんだねぇ‼︎」
クロノ「………しつけぇんだよ、この狂人が…」
ハンス「いいさ‼︎僕を殺してみなよ‼︎さぁ‼︎僕を殺そうとする君を殺すのはどれだけ気持ちがいいかなぁ…‼︎」
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