ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その8・あのあと

[クロノ]
マレー「クロノー。お客様ですよっと。」
クロノ「客?」
ミランダの館で目が覚めて3日目。
体中が筋肉痛で痛いが、それ以外は立って歩けるくらいには回復した。
が、まだ疲れが残っているのか、起きたのが昼過ぎとなっている。
そんな俺が療養している部屋にマレーが客が来たと伝えに来た。
俺の客とは何者だろうか。
まぁ、なんとなく想像はつくが。
ハゼット「俺だ。」
クロノ「ハゼットさんか。」
まぁ、そうだろうな。
ハゼットの他にエリーも付いてきている。
クロノ「エリーさん!大丈夫だったの?」
エリー「えぇ。もう大丈夫です。もうあんなことで迷ったりはしません。」
ハゼットとエリーがベッドの前のイスに座る。
ハゼット「エリーやエリーを連れてきたジェスという男から聞けるだけのことは聞いた。だが、1番あの状況を知ってるのはお前だ。先に見舞いの言葉でも言うべきなのだろうが、まずはあの時の状況を教えてくれないか?」

教会の洗脳のこと。教会の地下でのこと。キュリー様と呼ばれる者の正体。そこまでを話した。
クロノ「とまぁ、その後に魔界に行く羽目になったんですが、とりあえずエリーさんについてはそこまでですかね。」
ハゼット「なるほどな…。エリーは闇にかかっていた。おそらく洗脳と闇がエリーの心の中で暴れていたために、エリーが狂いかけたのだろう。だが、お前がエリーに本心を話すよう促したことで、エリーの闇が洗脳を押し返した。結果、洗脳を解くことができた、ということなのだろう。」
クロノ「闇…か。なんかマズかったんですかね…?」
エリー「いえ、私はこれで満足しています。これが1番良い結末でしたよ。」
ハゼット「エリーについてはいいだろう。よく生きててくれたな。後はそうだな…。教会については…お前が1つ知りたいことがあるだろう。」
知りたいこと…
クロノ「そういえばあそこの信者たち…」
今更になって思い出す。
俺はあそこで大量殺戮をしたんだよな…
ハゼット「フレアとジェスとシーラをあの町に送って色々調査させてきたんだ。お前がやったことは町にも知れ渡っていた。それと同時に、キュリー教の真実も知れていた。」
クロノ「広まってたんですか?キュリー教のこと。」
ハゼット「広まっていたというより広めた、だな。ジェスが色々調べたことを証拠と共に町長やら自警団やらに訴えてみんなに信じてもらえたらしい。生き残りの信者達も、自分が洗脳されていたことに気づいていた。」
クロノ「俺が無意味に人殺す殺人鬼って思われなかっただけマシですかね。っていうか、それってラフの評判とか…」
ハゼット「いや、お前がラフに所属していることは知られていなかった。」
クロノ「ってことは、ラフは特に困ったことは起こってないと?」
ハゼット「そうだな。お前は教会の悪事を悪事で食い止めた悪魔のような英雄ということになっている。」
クロノ「まさにヒールヒーロー、って感じかね。まぁ、ラフの評判が大丈夫ならいいか。」
ハゼット「……。まぁ、よく無事で帰ってきてくれた、という感じだな。それと、エリーを助けてくれてありがとう。」
クロノ「いや、わざわざお礼言われるようなことでもないっすよ…?」
ハゼット「いいや、本当に感謝している。エリーは俺にとって何よりも大事なんだ。」
クロノ「…まぁ、一応お礼は受け取りますけど…」
こんな真正面から礼を言われると恥ずかしいな…。
ハゼット「…後は、魔界に行ったと言っていたな?」
クロノ「えぇ、まぁ。」
ハゼット「その話については、ミランダも魔界に行って魔王が気を失ったお前をミランダに預けたとまでしか聞いてない。何があったのか話してくれ。」

クロノ「という感じで、今に至るってわけです。」
エリー「そんなことが…」
ハゼット「…お前は本当に…よくもまぁ無事だったな…。」
クロノ「2度としたくない体験ではあったけどね…無事解決して何よりですよ。」
ハゼット「キュリーも昔から変わらんというわけか。いや、昔よりマシになったかヒドくなったのか…」
クロノ「昔…?ハゼットさんまさか…」
ハゼット「あ?あぁ、200年前にキュリーを封印したのは俺だ。」
あんたどこにでもいんな。
ハゼット「完璧に封印してやったと思ったんだが、封印を解かれていたとはな。だが、キュリーの脅威は完全に消え去った。」
エリー「キュリーに愛されるなんて、クロノさん本当にすごい人ですね…。」
クロノ「他人より違う人ってのは変人に見えるか魅力的に見えるかの2択ですからね。たまたま後者だっただけですよ。」

ハゼット「…それで、どうするんだ?」
クロノ「どうするって?」
ハゼット「これからだ。こう何度も命の危険があるような世界で、それでもまだ続けるのか?」
クロノ「そりゃ当然続けますよ。」
ハゼット「拷問よりもヒドい物が待っているかもしれんぞ?」
クロノ「そんなもん関係ないですよ。そりゃまぁ拷問は嫌ですけど、それで動かないようじゃ何もできません。」
ハゼット「そうか………。」
クロノ「どうしました?」
ハゼットが見つめてくる。
ハゼット「やはり変わったな。」
クロノ「何が?」
ハゼット「ラフに初めて来た時と変わっている。何が変わったのかは分からないが。明るくなったとも言えるし、暗くなったとも言える。」
クロノ「なんすかそれ。」
ハゼット「とりあえずは無事を確認できて良かった。」
クロノ「ハゼットはこの後どうするんです?」
ハゼット「とりあえず一泊させてもらう。それから明日ラフに帰る。お前は快復してからゆっくりと戻ってきてくれ。」
ハゼットとエリーが立ち上がり、部屋を出ようとする。
ハゼット「あぁ、そうだ。エリー、先に部屋に行っててくれ。案内頼む。」
マレーにエリーを連れて行くように頼む。

マレーとエリーが部屋を出ていき、部屋に2人きりとなる。
クロノ「なんかお話でも?」
ハゼット「お前は…人を殺すことを怖がらなかったのか?」
そういえば…
ハゼット「俺も昔、人を殺したことがある。ちょっとした復讐というか、敵討ちでな。殺した直後は何も感じなかった。むしろ、俺は正義を果たしたと、誰かに自慢したいとすら思った。だが、時間が経つうちに、俺はなんてことをしてしまったんだと後悔する日々を送った。とても怯えていた。復讐だったとはいえ、人殺しというとてつもない罪を犯した。今でさえ、たとえどんな正義があったとしても、それをしないと救われない命があったとしても、人を殺す覚悟はできているが、その後、そいつを殺したことを悔いるだろう。お前は?教会での事件…あんなことをして怯えなかったのか?」
クロノ「………」
あの時の俺は…
クロノ「後悔も恐怖も…何も感じなかったですかね…」
ハゼット「………」
クロノ「そりゃあ、人を殺して何も感じないってのがおかしいとは思ってますよ。でも…感じなかったです…」
ハゼット「そうか…」
クロノ「復讐って、何があったんです?」
ハゼット「そうだな…。その話をするには…俺が不老不死になった経緯から話した方が分かりやすい…というか、感じやすいだろうな。」
ハゼットが不老不死になった経緯。
確か、胸糞悪くなるようなキツイ物語だと聞いたが…

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