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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・洗脳?

[クロノ]
キュリー様の姿?
なんの話だ?
クロノ「いえ、見てないですけど…」
エリー「そうですか…う〜ん、惜しいですね…」
クロノ「あの…」
エリー「でも頭の中でキュリー様が私を呼んでくださった気がするんです!はっきりと姿は見えなかったけど、私たちに向かって微笑んでくれていました!」
これはまさか…
クロノ「洗脳されてます…?」
エリー「洗脳?何がです?私はいつも通りですよ?」
目に光がないというか、完全にヤバい。
正気の目じゃない。
エリー「クロノさん!明日もう一度教会に行きましょう!今度はキュリー様に会える気がするんです!」
どうしよう…連れてってもいいのか?
良いわけはないんだが…
クロノ「明日は他の信者の人とか、そうじゃない人から話を聞きたいですし、そもそもこの町に来た元々の目的は別のことですよ?」
エリー「いいじゃないですか!キュリー様に会えるんですよ!」
うぅ…どうしよう…
下手に刺激すると何があるか分からないし…
クロノ「じゃあ俺は町で他の人の話を聞いてきます。エリーさんは教会に行ってきてください。」
エリー「クロノさんは来ないんですか?キュリー様に会えるかもしれないのに…」
クロノ「…俺の代わりに会ってきてください…」

次の日の朝、いつの間にか起きて外に出る準備を済ませたエリーが起こす。
エリー「クロノさん!私もう待ちきれないです!」
クロノ「…マジ…?」
エリー「私、先に行ってきますね!」
エリーが部屋を出ていく。
クロノ「ハゼットさんならどうやって止めるのかな…」

朝食を済ませ、町に出る。
朝だからまだ人は少ないが、いくつかの店は既に始まっていた。
(誰に聞こうか…)
辺りを見回す。
パッと目についた、ベンチに座って杖を横に立てかけている老人に話を聞いてみることにした。
クロノ「あの…ちょっといいスかね…?」
老人「うん?どうされたかな?」
腰が曲がっているとかではなく、むしろシャキッとした感じの、いわゆる老紳士というやつだ。
クロノ「キュリー教についてちょっと話を聞きたいんですけど…」
老人「あぁ、アレか…。私はあれの信者ではないのだが…」
クロノ「いえ、むしろそういう方の話を聞きたかったんです。」
老人「ふむ、それで何が聞きたいのかな?」
クロノ「アレってどういう宗教なんですか?なんか昔この町を助けたみたいなことを聞いたんですが…」
老人「あぁ、確かにこの町の危機を救った。だが、信用はできないというか…」
クロノ「それはどういう意味で?」
老人「私の友人が1人、あれの信者になったんだが、それからというもの、何かに取り憑かれたようにずっとキュリー様キュリー様と……信仰するだけならともかく、なんというか私生活や友人付き合いすら疎かになってきていて心配なんだ。」
クロノ「疎かに…?」
老人「そいつの友人が私のとこに相談に来てな。体に大きな怪我をしていたから何かあったのか?と聞いたら、喧嘩をした、と。何の喧嘩だ?と聞いたら、キュリー様というのが信用できないと言ったら殴りかかられた、と言ったのだ。」
クロノ「それはまた…」
老人「このままではマズイと思いながらも、私自身その友人に恐怖と嫌悪を抱いてしまって……」
クロノ「…ありがとうございました。」

過去に何をしていたかはともかく、信者になった人たちの反応というか、周りに対する行動がおかしい。
エリーも間違いなく洗脳されていた。俺にも何かをしてきていた。
間違いなく怪しい。

道を歩いていき、ふと人1人通れるくらいの狭い路地を覗くと、堂々と倒れている男がいた。
クロノ「おい、大丈夫か⁉︎」
生贄うんぬんが出ている町だ、
月1とか言っていたが、いつ何がきっかけでそのルールが破られるか分からない。
見た所、外傷はない。
男「…は……は……」
大きなコートを着た男が腕を弱々しく持ち上げる。
クロノ「『は』⁉︎『は』がなんだ⁉︎」
盛大に腹の鳴る音が聞こえる。
男「はらが…へった…」
クロノ「…とりあえず…奢るよ…」

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