ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・夜の浜辺

[クロノ]
海での楽しいひと時を終え、宿に帰る。
宿は男女で別の部屋になった。
フレア「あぁ~つかれた~。」
クロノ「フレアって泳げなかったっけ。」
フレア「逆にお前はなんで漁師でもねえのに泳げるんだっつの。」
クロノ「好きだからな、仕方ない。」
フレア「いいねぇ、そういうの。それも才能?」
クロノ「いやぁ、ウチの世界では子どもの時とかにそういうのを習うんだよ。」
フレア「みんな?」
クロノ「みんなってわけじゃないけど、ウチの国は多分そうだな。」
フレア「ふ~ん。」
クロノ「泳ぎ方さえわかれば誰だって泳げるもんさ。明日教えてやろうか?」
フレア「おう教えてくれよ。」
少し間を空けて、真面目な顔になる。
フレア「俺とあんたってさ、戦ったらどっちが勝つかな。」
クロノ「なに?素手で?それとも武器あり?素手だったら負ける気はしないぞ?」
フレア「じゃあ武器ありはどうなんだよ。」
クロノ「時と場合によるんじゃない?だってフレアの大剣のスピードと俺のスピードほとんど一緒だもん。どうなるか分からんさ。」
フレア「俺でもあんたに勝てるかもしれないってことか。」
クロノ「ま、負けるつもりはさらさらないけどな。」
フレア「へっ。…ふぁ~、だめだ眠い。もう寝るわ。」
クロノ「はいはい、おやすみ。」

深夜、外がなにやら騒いでいるせいで目が覚めてしまった。
フレア「何の騒ぎだ…?」
フレアも起きている。
クロノ「行ってみるか。」
部屋を出ると、シーラ達もちょうど部屋を出ていた。
ターニア「クロノ!」
クロノ「みんなも外の騒ぎに?」
レーニャ「ええ…。いったい何の騒ぎなんでしょう。」

宿を出る。どうやら海の方で何かあったらしい。
海に向かうと、信じられない光景が広がっていた。
魚型の魔獣が浜中に散らかされたように転がっている。
10匹とか20匹とかではない。
少なく見ても50…いや70はあるか…。

カンザーが浜の前で唖然としている。
カンザー「これは…」
クロノ「カンザーさん‼︎」
カンザー「おお、クロノ達か。」
クロノ「これは何がどうなってこんなことに?」
カンザー「分からぬ…。こんなことは初めて見た…。」
フレア「クロノ、これ…」
クロノ「どした?」
1匹の魔獣を見ると、体が何かに締め付けられた痕があるのが見える。
ターニア「ちょっと締め付けられたような痕じゃない。巨大な怪物に締め付けられたような…」
他の魔獣も見てみる。
同じように締め付けられていたり、体のどこかが何かに食われたような痕もある。
クロノ「食べられた痕があるってことはこれをやったやつは肉食で、殺された魔獣はもっと多くいるはずってことだな。」
シーラ「カンザーさん、これはどういう…」
カンザー「…ふむ……。分からんが、この海にとてつもない脅威がいることは確かなようじゃ…。」

次の日の朝、起きるとフレアがベッドにいなかった。
(海に行ったのか…?)
フレアを探しに行くついでに海の様子を見に行く。
早朝の海は寒いくらいに涼しいもののはずだが、あたりは死臭と謎の暖かさに満ちていた。
せっかくの爽やかな朝が台無しだ。
打ち上げられた魔獣の数は減っているが、また全部片付けきれていないようだ。
カンザーが漁師数人と船の支度をしている。
クロノ「カンザーさん。何をしてるんです?」
カンザー「おお、クロノ。他の奴らは?」
クロノ「まだ寝てるんじゃないですか?フレアはどこ行ったかは知らないけど。」
カンザー「そうか。ワシはちょっと船の用意をな。」
クロノ「調査にでも行くんですか?」
カンザー「あぁ。原因の排除とまではいかなくても、何があるのかくらいは知っとかんとな。」
クロノ「ブランは連れてかないんですか?」
カンザー「あぁ、何があるか分からんような危険なとこに連れていけれんからな。やつには内緒じゃ。」
クロノ「あまり、無茶はしないでくださいよ。」
カンザー「あぁ、心得た。」
漁師「カンザーさん‼︎こっちはいつでも出発できるぞ‼︎」
カンザー「おう、分かった‼︎それでは行ってくるとしようかの。」
カンザーが船に乗り込み、ゆっくりと出発する。
大分沖まで行ったところで、ブランが手を振りながらやって来た。
ブラン「クロノー!」
クロノ「おぉ、ブラン。」
ブラン「ねぇ、師匠知らない?朝起きたらいなかったの。っていうか、なんで魔獣があんな転がってるのよ。」
クロノ「師匠なら船乗って海に行ったぞ。」
ブラン「船?なんで?」
クロノ「昨日の夜、この浜辺が埋まるくらい大量の魔獣の死体が打ち上げられてな。それの原因を探る為にこんな時間から船出したのさ。」
ブラン「なにそれ⁉︎あたしも乗せてってくれればよかったのに…。」
クロノ「何があるか分からんから連れて行きたくなかったんだろ。さて、俺は宿に一旦戻るとするかね。」
ブラン「今日はどうするの?こんな感じじゃあ、海で遊べそうにないけど…。」
クロノ「そうだよなぁ…。やることっていったら何があるか。」
ブラン「ならあたしが海以外に遊びを教えてあげよっか!」
クロノ「そりゃ助かる。そんじゃ行くか。」
宿に帰る途中、道のわきにある茂みの中から汗だくのフレアが出てきた。
フレア「お前ら、こんな時間に何やってんだ?」
クロノ「それはこっちのセリフだ。お前こそこんな時間に汗だくで何してたのさ。修行?」
フレア「まぁな。剣以外の戦い方も知っとかないと、いざという時に戦えなくなるかもしれないからな。」
ブラン「へぇ~。熱心なのね。」
フレア「あぁ、ある人に才能がないって言われてな。カチンときたから、頑張ってそいつを超えてやろうかってな。」
クロノ「へぇ…。どういう心境の変化なのやら…。」
フレア「うっさいな。才能がないならないなりにある奴を追い越す方法があるはずなんだ。それを見つけてやりたいんだよ。」
ブラン「フレア…。あたしも手伝う。」
フレア「ブラン!」
ブラン「そうよ!才能がないとかで挫けてちゃ出来るものも出来なくなるのよ!」
フレア「あぁ、ありがとう。」
クロノ「じゃあ今日は修行でもして時間潰すか。ターニア達は元軍人だし護身術くらいは習ってるだろ。その前にまずは朝飯だ。」
その後、ブランとターニアの指導による修行が始まった。

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