ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・決闘

[フレア]
フレア「なぁ、ホントに俺があのおっさんと戦うの?」
アクア「あたしがあんなのと戦えるわけないだろう?」
フレア「クロノが戦うのはダメなの?」
クロノ「この世界に来て半年の俺よりこの世界で20年近く経ってるフレアの方が良いと思うんだけど。」
ゲンダイ「何をコソコソしとるんじゃ。さっさと行くぞ。」

町をちょっと出て、周りに何もない広い場所に出る。
ゲンダイと向き合うように立つ。自分との距離は10数メートル。そんなに近くはない。
ゲンダイが腰に刀を帯びている。
ゲンダイ「お前の武器はその大剣か。」
フレア「えぇ、まあ。」
大剣を地面に立てる。
自分の身長より少し大きいくらいの大剣。刃の横幅は胴体くらいある。
「デカイ剣だなオイ…。」
「あんなの振り回せるのか?」
「団長のスピードについていけるわけねぇ。」
「どう見ても対人戦の武器じゃねえだろ。」
ゲンダイ「タツさん‼︎開始の号令をやってくれい‼︎」
ゲンダイが刀を抜く。
それに合わせ、大剣を両手で持ち上げ肩に置くように構える。
おっさんC「準備はいいな?では…始め‼︎」
ゲンダイが先手を打ち、突進してくる。
ゲンダイ「うおおおおおおおおおお‼︎」
(ギリギリまで…ギリギリまで引きつけて…)
ゲンダイが右手に持っている刀を腰より低く落とす。
刀で地面を抉りながら斬り上げるのを体をずらして右に避ける。
そのまま回転しながら大剣を横向きに薙いで、叩きつける。
当たったと思ったが、刀でガードされたようだ。
ゲンダイ「お前その大剣ホントに重さあんのか?速すぎるぞ‼︎」
フレア「鍛えてるからですよ‼︎」
ゲンダイが刀で連撃を加えてくる。大剣の刃や柄を利用して、受け止める。
相手の隙を見つけると、そこに大剣で突きを入れるが、避けられる。
回避がそのまま攻撃につながり、防御して相手の攻撃を耐え、隙を見つけ攻撃。それを避け、攻撃。この流れが続く。
一旦離れ、お互いが息を整える。
ゲンダイ「意外とやるじゃないか!」
フレア「人を見かけで判断するもんじゃないですよ。」
ゲンダイ「ハハハ‼︎そうかそうか‼︎なら、次は手加減せんぞ‼︎」
また突っ込んでくる。
今度はこちらも前に詰める。相手が攻撃の準備を整える前に、先に攻めて、攻撃のチャンスをずらす。
(強力な攻撃の前は刀を引く癖があるな。)
ならば、刀を引かれる前に攻めれば強力な攻撃を出される前に防ぐことができる。
大剣を上段から振り下ろす。ゲンダイは後ろにステップして、避ける。
態勢を整える暇を与えず、次々に連撃を与える。
いちいち両手で扱うのはやりづらいし、遅くなるので、片腕に魔力を集めて振り回す。
ゲンダイも必死に応戦しているようだ。
ゲンダイ「こんな重いもんこんだけ振り回すとは‼︎どうやら腕は本物のようじゃの‼︎」
フレア「そりゃ‼︎どうも‼︎」
こっちは振り回すので精一杯で喋るどころではないのに、ゲンダイは防ぎながら、しかも笑いながら話しかけてくる。
ゲンダイ「疲れるにはまだ早いぞ‼︎そら‼︎」
ゲンダイの回し蹴りが腹に入る。
フレア「うぐおぁ‼︎」
ただの回し蹴りなのにズザーッと後ろに飛ばされる。
ゲンダイの方を見ると、刀を鞘に収めている。
(戦闘中に鞘に収める…?なんで…いや待てよ?クロウも同じことしてたな。)
あの時は、目にも留まらぬ速さで刀を抜いて攻撃していた。つまり、ゲンダイもしてくるということだろう。
剣を逆手に持ち、相手の攻撃に備える。
ゲンダイ「ふふふ、いい勘してるじゃないか…。それとも見たことあるか?だがこれは防がせはせんぞ。」
ゲンダイがニヤリと笑う。
ゲンダイ「これで終いにさせてもらおう!」
ボソッと、ゲンダイが呟くのが聞こえる。
ゲンダイ「雷刃らいじん…」
目を凝らして見る。
視界の隅でゲンダイが通り過ぎていくのが見える。
刃がわき腹に近づいているのが見える。
ゲンダイが後ろまで完全に通り過ぎる。
ゲンダイ「甲之太刀こうのたち…」
ゲンダイがまた刀を鞘に収めると、わき腹に猛烈な痛みが遅れてやってくる。
フレア「ぐあぁ‼︎」
腹の方に魔力を送って強化はしたものの、とんでもないダメージだ。
ゲンダイ「ほう、耐えたか。なかなか良い魔力を持っとるのぉ。」
フレア「鍛えてるから…ねぇ…。」
なんとか態勢を立て直そうとするが、ゲンダイがそれを許さず連撃。
逆手に持ったままの大剣で防ぐが、連撃を逆手で防ぐのはやりづらい。
ゲンダイ「どうした‼︎動きがヌルくなっておるぞ‼︎この程度か‼︎」
連撃がだんだん速くなってくる。
(このままじゃあ押し負けるか…!だったら‼︎)
頭に来た一撃をしゃがんで避ける。そのまま足払いをする。
だが、相手は転ばない。
ゲンダイ「蚊でも刺したか‼︎」
フレア「まだまだ‼︎」
足払いをした足で相手の膝の裏を蹴る。
しかしゲンダイは転ばない。
ゲンダイ「蹴りならお手本を見せてやろう‼︎」
ゲンダイが足払いをしてくる。自分はしゃがんだままなので、その足はちょうど腹の辺りに来る。
腹に踵が直撃。そのままゴロゴロと地面を回るように吹き飛ばされる。
立ち上がりゲンダイの方を見ると、また刀を鞘に収めている。
ゲンダイ「今度はあんたの魔力では耐えられん程の力で斬る。」
終始、顔のどこかしらに笑みを残しながら戦っていたゲンダイの顔つきが厳しさ100%になっている。
(だが、準備はできている。クロウがやってたみたいに俺もできるはずだ。)
今度はさっきと逆の向きで、剣を左手で逆手に持つ。
ゲンダイ「ゆくぞ…雷刃…」
ゲンダイの姿が消える。
だが、ゲンダイがどこにいるかは掴めている。姿が消えた瞬間、逆手に持った剣を右方向に斬り上げる。
すると、金属に思い切りぶち当たる音が聞こえる。
ゲンダイ「なっ⁉︎」
動きが止まったゲンダイの姿が見える。
ゲンダイの刀が吹き飛ばされる。
さっきは右手で剣を逆手に持ったことにより、左のわき腹の辺りにスペースができてしまった。そこをゲンダイに斬られたからダメージを受けた。
そこで今回は敢えて右側のわき腹に隙を見せ、そこを攻撃してきたところにカウンターを決めるという作戦をとった。賭けではあったが成功した。
大剣を横に構え、横に振り向く。
フレア「おぉら‼︎」
剣は隙だらけのゲンダイを通り過ぎる。
少し遅れて、ゲンダイに数発の衝撃が与えられる。
大剣に爆発する属性の魔力を込め、相手を殴り相手の腹に魔力を流す。そして起爆することで、相手にダメージを与える。
ゲンダイ「ぐふぅぅ‼︎」
フレア「ラストだ‼︎」
大剣を片手で持ち上げ、顔の横で相手に剣先を向けて構える。
フレア「ファストディシーズ‼︎」
魔力を込めた大剣でゲンダイの腹を突き、通り過ぎる。
その速さに、ゲンダイは追いつかなかったようだ。
ゲンダイ「写した…のか…⁉︎」
フレア「こんなんじゃ終わらねぇよ‼︎」
さっきと同じように爆発する属性を込めた。さっきより威力を高めにしたので、ゲンダイの体が大きく、自分の頭上を通り過ぎるくらい吹き飛ばされる。
フレア「せええあ‼︎」
右手で剣を逆手に構え、飛びながら斬り上げる。
ゲンダイ「ぬおおおお‼︎」
ゲンダイの体がさらに浮く。
ゲンダイの体が離れる前に足を手で掴み、地面に投げつける。
剣先をゲンダイの胴体に向け振り下ろす。剣の重さに任せて、高速で落ちる。

観客がゲンダイを殺ってしまったのではないかという空気に包まれる。
しかし、剣先はゲンダイの腹ではなく、そのすぐ近くの地面に突き刺さる。
フレア「言っとくけど、外したんじゃねーぞ?直撃したらさすがに死ぬんじゃねぇかって思ってずらしてやっただけだからな。」
ゲンダイ「………。」
ゲンダイが息を切らしながら、こちらを見る。
そして、
ゲンダイ「ガハハハハハハハハ‼︎」
大きな声で笑い出す。どこにそんな元気が残ってるんだよ思うくらい大きな声で。
ゲンダイ「わしの負けじゃ‼︎これ以上はわしが殺されてしまうわい‼︎」
寝転がったまま手を差し出してくる。
ゲンダイ「すまんが、起こしてくれんかのぉ。自分で起き上がれんくなってしもうた。」
ゲンダイの手を引き、立ち上がらせる。
フレア「これで納得してくれました?」
ゲンダイ「あぁ、納得も納得、大納得じゃ。あのじじい共も納得したじゃろうて。」
フレア「そいつは良かったっすよ。ってかゲンダイさん程の強さでも例の犯人は捕まえられなかったんですか?」
ゲンダイ「あぁ、奴はそれほどの手練れじゃ。剣の腕も、人目を避ける腕もな。」
ま、クロノが出した案なら上手く行くかもしれない。
ゲンダイ「ところで、あの2人はお前と比べてどのくらい強いじゃ?」
フレア「姉の方は、相性の関係があるかもですが、勝てたことはないです。もう1人の方は今でこそ俺の方が上ですけど、そのうち…いやもしかしたらもう越えられてるかな…?」
ゲンダイ「今度は力を試すとかではなく、決闘として、戦ってみたいのぉ。」
フレア「そん時はクロノとやってください…。俺はもうゲンダイさんの技がトラウマで戦いたくないですよ…。」
ゲンダイ「はっはっは‼︎そいつはすまんかったのぉ‼︎さぁ、町に戻るぞ‼︎」
戦ってる間に魔獣が襲ってこないか心配だったが、こんな強者のおっさんが戦ってるところに突っ込んでくる魔獣もいるわけないか。

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