ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その3・薬の効果は

[生物実験室]
マスクをつけたマキノが、ハゼットから受け取った薬草をすりつぶしながら、メイと話している。
男子禁制ということでハゼットとクロノは追い出されている。
マキノ「…というのが夫婦というものなのだよ。まぁ、私も結婚しているわけではないから、あくまで他者から見た夫婦の感想なのだがな。」
メイ「なるほど。」
マキノ「…にしてもメイがそういうことに興味を持つとはねぇ…。」
メイ「自分でもなぜそう考えたかは判明しておりません。ですが、サシュさんに対して、他の人物とは違った評価をしているのは確かです。」
マキノ「似た者同士、ねぇ。ま、別にいいんじゃないのかい?」
すりつぶした薬草をいくつかの試験管に分ける。
マキノ「でもまぁ、あれだ。自分が相手を好きだって気持ちを伝えるだけならともかく、押し付けてはいかん。」
メイ「自分は伝え、答えを得ようと思っての行動でしたが、あれでは駄目だったのでしょうか?」
マキノ「あぁ、ちょっと焦りすぎだね。サシュも驚いてたじゃないか。」
サシュ「で、でも…別に…いやってわけじゃ…。」
サシュがメイをフォローするように言う。
メイ「サシュさん…。」
マキノ「なんだったらウチでサシュちゃんを預かろうか。せっかくメイと仲良くなったんだ。」
サシュ「いいんですか?」
マキノ「構わんよ。…さて、じゃあちょっといいかな。」
マキノがサシュに近寄る。
マキノ「まずはサシュちゃんの体の一部からどのような成分があるかを分析しなきゃいけない。でないと薬も作れないからね。」
サシュ「なにをするんです…?」
マキノ「そんな痛いことはしないさ。ちょっと口を開けてそこから頬の内側を棒でこすって粘膜を取るのさ。」
メイ「私がやりましょうか?」
マキノ「ん?別にいいけど、どうしてだい?」
メイ「いえ…えっと、マキノの人間の部分に反応してしまうかもしれませんし…。」
マキノ「あぁ~、そうか。ならお願いするよ。」
メイ「了解しました。」
マキノは作業台に戻り、薬を取り出して次の準備をする。
メイがサシュの前で膝をつく。
メイ「サシュさん、口を開けてください。」
サシュ「ふぁ、ふぁい…。」
サシュが口を開ける。
金属の棒を入れ、頬の裏側をこする。
メイ「痛くありませんか?」
サシュ「だいひょうふれふ…。」
終えると、棒をマキノに渡し、マキノがそれをビーカーの中に入れる。
ビーカーの中の溶液は魔力を含んでおり、中に入れられた有機物と反応してそれらの細胞の数を増やして溶液中に拡散させる。

マキノ「なるほど、こんな無茶苦茶な作り方を…だが、これなら…」
溶液細胞を試験管に入れ、様々な薬を試験管に入れていく。
サシュ「メイさん…。」
メイ「どうしました?」
サシュ「さっきのことですけど…。」
メイ「さっき…エントランスのことでしょうか。申し訳ありません、知らないことが多く、サシュさんから教えて頂けるだろうと自分の考えばかりが先走ってしまって…。」
サシュ「い、いえ!いいんです!ちょっとびっくりしちゃいましたけど…その、いやじゃなかったですし…。」
メイ「サシュさん…。」
サシュ「私でよければ…少しずつ…その…」
メイ「少しずつ…?」
マキノ「分かったぞ‼︎これがこの反応ならこれで打ち消せばいいんだから…」
サシュの告白をマキノの大声で台無しにする。
マキノ「できた‼︎おそらくこれで完成かもしれん‼︎」
マキノがサシュの前に来る。
手には黒色の禍々しい液体が入った試験管がある。
マキノ「サシュちゃん、これを飲むんだ。ちょっと見た目はあれだが、これで抑えられるはずだ。」
サシュが試験管を受け取る。
サシュ「………。」
サシュがひと思いに飲み干す。
サシュ「…!んん‼︎」
サシュが目を強く瞑っている。涙が少し出てきた。
メイ「どうされました⁉︎」
サシュ「…まずいです…。」
ベロを出しながら涙声で話す。
マキノ「なんだそんなことか…。調合を間違えたかと思ったぞ…。」
メイ「サシュさん、どうですか?マキノさんを見て襲いたくなりますか?」
サシュがマキノの顔を見る。
サシュ「………。」
マキノ「………。」
サシュ「………。」
マキノ「………どうだい?」
サシュ「………大丈夫かと。」
マキノ「よし、実験成功だ。抑えられるなら、抑制と予防もできるだろうか…。ふむ、色々と試したいことはあるが、とりあえず今はこれでいいだろう。さぁ、外にいる野郎たちの顔を見にいこう。」

[クロノ]
実験室からマキノ達が出てくる。
クロノ「どうなりました?」
マキノ「成功だ。私の顔を見ても、発作が出なかった。」
それは良かった。
しゃがんでサシュと同じ高さに目線を合わせる。
クロノ「俺はどうだい?」
サシュ「ええと…その…あの…」
顔を赤くして、目を背けまいと一生懸命見ようとしている。
しかし、発作は出ていないようだ。
クロノ「うん、正面から見るとかわ…⁉︎」
なんだろう、メイから殺気が来た気がする。
クロノ「な、治って良かったよ!」
ハゼット「それでサシュはどうする?」
メイ「私たちで預かることにしました。」
メイに預けられるの?さっきみたいに押し倒されたりしない?
メイ「先ほどの失敗は繰り返しませんので、ご安心を。」
ハゼット「失敗?」
クロノ「後で話しますよ…。」

マキノ「そうだ、クロノ。」
クロノ「はい?」
帰る支度をしようとすると、マキノに呼び止められた。
ハゼット「どうした?」
マキノ「ゾンビというのはお前の世界にいる生物だったんだよな。」
クロノ「えぇ、そうですけど…」
マキノ「先ほど薬を作るために、サシュの体にあるゾンビの成分なんかを調べたんだが…ちょっときになることがあってな。」
クロノ「気になることとは?」
マキノが険しい表情で続ける。
マキノ「サシュをあの体にしたゾンビだけでなく、他のゾンビおそらく…みな同じだろう。」
ハゼット「なにが言いたいんだ?」
マキノ「それがな…。人をゾンビに変えるのに必要な材料は分かったんだが…それらが全部この世界にある物だったんだ。」
クロノ「え?」
ハゼット「それがどうかしたのか?」
マキノ「こちらの世界にある材料なんかとそちらの世界にある材料は同じだったら別にいいのだが…」
ハゼット「どうなんだ、クロノ?」
クロノ「その材料ってのは何なんです?」
マキノ「そうだな…フラフオール、という花は知ってるか?その花びらを食べるなりして取り込むと体のあちこちが腐ってしまうから非常に危険な植物として私のような科学者以外は触ることを禁止されている花があるんだが…」
クロノ「うちにはそんな花はありませんね。」
マキノ「似ている物は?」
クロノ「ないです…」
ハゼット「と、いうことは?」
マキノ「ふむ…あまり考えたくはないが…おそらく、こちらの世界にいる者が作ったのだろう。ゾンビになるウイルスを。」
つまり、何者かがわざわざ何らかの目的でゾンビウイルスを作ったと。

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