ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・死者でも癒しの存在

[ハゼット]
急激に成長したゾンビ。筋肉隆々でかなりビッグになっている。
しかもただデカくなったのではなく、スピードもその辺の魔獣より速い。
巨大ゾンビが後ろを向き、自分より高い木を見つけると、一本引き抜いた。
その木を持ち上げ、自分めがけて振り下ろす。
予想外に早く、なんとかギリギリ避けた。振り下ろされた木は地面をえぐる。
(あんな威力で振り下ろされたらひとたまりも…)
と考えていると、巨大ゾンビは降ろした木をそのまま横に薙ぐように振り回してきた。
避けきれず、木が自分の脇腹にぶち当たり、そのまま自分をサシュと話していた民家に向かって吹き飛ばす。

台所を散々に荒らしてしまった。
いや、それどころではない。見た目から十分パワーのある攻撃をしてくると思っていたが、そのさらに上をいっていた。
包丁が一本後頭部に刺さっている。
吹き飛ばされて台所を荒らした時にたまたま包丁が丁度いい位置にあったようだ。
包丁を引き抜き、表に出る。
予想外のダメージだが、なんとかなる。
ハゼット「そろそろ俺の番だぞ、この野郎。」
右手に槍を創り、巨大ゾンビめがけて投げる。
空中で槍を払い、飛んできた方へ走ろうとするが、自分の姿を見失っている。
今自分は、奴の頭の上、空中にいるのだ。見つけられるはずがない。
頭に覆いかぶさるように落ち、両目にナイフを突き刺す。
しかし刺しても何も反応がない。手で掴もうとしてくるので、先に降りる。
目に刺したナイフは創り出したものなので消しておく。
相手の視力を潰せるかと思ったが、目が見えないはずなのにこちらの居場所をつかんで突進してくる。
(目以外の器官で居場所を察知してるのか?)
痛覚もないのはゾンビと一緒のようだ。
巨大ゾンビの足元に向かって走り、足を棍で殴打する。
連続で殴り続けるウチにダメージが溜まったのか、8発目で倒れこんだ。
痛覚はないが、しっかりダメージは通るらしい。
剣で首を突き刺す。
巨大ゾンビの拳が飛んでくるので、後ろに下がる。
妙に嫌がっていた。痛覚はないが、こうされると殺されるというのは分かっているのかもしれない。
(つまり、首を狙えばいいわけだ。)
もう一度剣を構え巨大ゾンビに近づこうとするが、後ろから何者かに抱き抑えられる。
サシュに食べられていた男だ。
(今になってゾンビに変わったのか⁉︎)
噛みつこうとしてくるので、振りほどく。
巨大ゾンビの方を向く。
いつの間にか目の前まで来ており、既に木を振り下ろしていた。
頭に直撃、そのまま地面に叩きつけられる。
魔力強化のおかげで潰されることはなかったが、あたりには一般人なら致死量どころか体内の血を全部出したような量の血がぶちまけられている。
デカすぎるダメージで体が動かない。
(マズイ…!これは…本気でマズイ…!)
不老不死とはいえ、負けることがないわけではない。相手が自分より強ければ負けることはあるし、散々頭を殴られれば気絶だってする。しかもこの場にはゾンビがいる。もし噛まれたりしたら自分もゾンビになってしまうかもしれない。
不老不死だろうと、負ければ死ぬ。

更にもう一発、木を叩きつける。
避ける力もなく、木が体に直撃する。
もはや声を出すことすらできない。
(何か……打開策を…何か…‼︎)
巨大ゾンビが木を高く持ち上げる。また振り下ろしてくる気だ。
すると、いきなり体が軽くなる。出血が収まり、体中にあった傷が治る。
立ち上がり、何があったのか周りを見る。
サシュが村の入り口で何か魔法を発動させており、エリーが近づいてくるゾンビを倒している。
(サシュがやったのか?あんな遠距離から回復魔法を?いや、気にするのは後だ。)
巨大ゾンビが木を振り下ろす。
最小限の動きでギリギリで躱す。
木が通り過ぎる。
巨体の首元に向かって剣を両手に構え飛び、左手の剣で首に刃を押し当て、右手で首を後ろから刺す。そのまま首に抱きつく体制になり、左手を引く。
巨大ゾンビが叫び声をあげる。
ここに痛覚があるのかは知らないが、相当嫌がっている。
(こんな危険なやつといつまでも戦ってられない。)
肩に立ち、剣を高く持ち上げる。
炎を纏わせ、首元めがけ振り下ろす。
巨大ゾンビの首に剣が当たる。
そのまま体の中へ剣が突き抜けていく。
嫌がっているものの、何をしたところでもう間に合わない。
そのまま剣を下まで貫通させ、首を切り落とす。

巨大ゾンビの体から降りる。
巨大ゾンビは立ったままの姿勢で動かなくなった…と思ったがすぐに倒れた。
ズズーンと重い音を立てて今度こそ本当に動かなくなる。

サシュとエリーが来る。
エリー「ハゼットさん‼︎ご無事ですか⁉︎」
ハゼット「サシュのおかげでな。」
サシュ「お役に立てて…良かった…です…。」
恥ずかしいのか申し訳ないのかというような感じで顔を下げる。
ハゼット「遠距離からの回復魔法なんて初めて見た。しかもあの回復力。医者か何かだったのか?」
余程の医者でもあんな回復力は持っていない。
サシュ「えっと…その…昔からこういうのが得意…で…。医者ってわけじゃ…。」
ハゼット「なんにせよ、あんたのおかげで助かった。命の恩人だ。ありがとうな。」
サシュに向かって手を出す。
サシュは戸惑ってはいたものの、手を取って、握手を返してくれた。

馬車に向かう。
エリー「あとはクロノさんとアクアさんを待つだけですね。」
村を出て、隣にある森を見る。森の奥の方から赤い光が見える。
(焦げ臭いような匂い…)
サシュ「火事…ですか…?」
まだクロノ達が森の中にいる。
ハゼット「まさかあいつら、巻き込まれてねぇだろうな⁉︎」
するとアクアが森の中からこちらに向かって走ってきた。
クロノが一緒にいない。
アクアの方に走り寄る。
アクアはところどころ軽い火傷をしているようだ。
ハゼット「大丈夫か‼︎おい‼︎」
アクア「あたしは大丈夫だよ。ちょっと燃えてる木に何回か触れただけさ。」
ハゼット「十分やばいだろうが!クロノは?どこにいる?」
アクア「それが…クロノは…」

アクア「突然現れた魔族に連れてかれちまった…‼︎」

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