ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・違和感


[クロノ]
次々と触手が伸びてきてこちらを攻撃してくる。触手で掴もうなどとは考えず、ダメージを与えて弱らせてから捕まえるつもりなのだろう。両手に剣を持ち、1本ずつ順番に相手をする。
体を捻らせ回避し、地面に激突した触手を突き刺そうとするが、思ったより硬いようでうまく刺さらなかった。
すぐに触手が飛んでくるので、躱しつつも攻撃していく。触手を切断することはできなくてもダメージを蓄積させることはできる。
避けながら少しずつ前に詰め、巨大生物のすぐ近くまで迫り、剣で殴る。
多少ダメージはあったようだが、そこまで効果はないようだ。
もう少し殴れそうだったが、触手がさらに迫ってくるので早めに退避する。
(次は何を試す…?正面がダメなら背中から狙ってみるか?)
巨大生物が息を吸い、口をすぼめる。
上を向くと息を吐き出し、口の中にいたものを全て吹き出す。口の中を覆っていた粉はもうない。どうやらON•OFFをいじれるようだ。
吐き出されたゾンビたちが立ち上がる。さっきまで人間だった人たちもゾンビになってしまったようだ。
今度はアクアの方を向く。
ガラガラと液体の音がする。
(まさか、ゾンビにする液をぶちまける気か⁉︎)
クロノ「アクアさん、液体に注意して‼︎」
アクア「液⁉︎ゾンビに変わるやつかい⁉︎」
アクアに向かって灰色の液体をゴツいレーザーのように吐き出す。
横に避け、射線上から離れる。
巨大生物はそれを見て、体を回転させレーザーでアクアを追いかける。
(口の中はどうだろうか?)
回転する体の真ん中にある口に向かって銃を構える。
魔力を込め、グレネードランチャーのように放物線状に魔力の塊を飛ばす。
口の中に入り、爆発させる。
レーザー攻撃は止められたが、ダメージがあるようには見えない。
(いったいどこが弱点なんだ?やっぱ背中か?)
巨大生物の体はアクアの方を向いている。触手が飛んでくるのを避けて背中に回ってみる。
背中の下の方から触手が生えてきている。その上のあたりに何かが刺さっていたような穴がある。
(あの穴はどうなっているんだ?)
穴に向かって銃を撃つ。
すると声をあげながら触手で穴を包み守り始めた。
おそらくここで間違いない。
クロノ「アクアさん‼︎」
アクア「なんだい、こっちは終わったよ!援護が必要かい?」
クロノ「こいつの背中の上のあたりに穴があります。おそらくそこが弱点です。そこを狙ってください!」
アクアが背中に移動する。それに合わせて自分は正面に向かう。
目の当たりを狙い剣で切りつける。誰だって目を狙われるのはいやだろう。目を閉じる。瞼の間を狙って剣を突き刺そうとするが、そのせいで触手が迫っているのに気づかなかった。体を2本の触手で掴まれる。
その2本の触手で体を思い切り締めつけてくる。
(ゾンビにせずに殺すつもりか…!)
巨大生物の目がにやけている。
やってやったぜというような表情だ。
しかし、自分もにやけかえす。
触手で自分を掴んだのは失策だ。
後ろには多少の隙間があるならその隙間を縫うように矢を放つ狩人がいるのだ。
触手を動かしたことでできた隙間をアクアが見逃さず魔力で作った矢を3本放っていた。
3本全てが穴に入る。
穴の中で大きな爆発3回。1回目だけでも十分苦しめたのに3回も爆発を与える。2回目の爆発の時点で大きな叫び声をあげる。3回目の爆発がした時には既に動かなくなっていた。
アクア「あんな隙間射抜けないようじゃ森では生きていけないよ。」
巨大生物に向かって吐き捨てる。

どうやら勝ちでいいようだ。
巨大生物は死んだ模様。
アクア「どうする?元凶を倒したってことで、村に戻ってみるかい?」
クロノ「いえ、ちょっとこいつを調べてみます。」
巨大生物によじ登る。調べるといっても、1箇所しか調べる気はないが。
触手の上の方にあった穴の奥を見る。
見ると何か違和感のあるものがある。
金属の大きなコンセントのような穴がある。
(差し込み口?こんな人工的な…、これじゃあまるで…)
ガサガサと後ろで音がする。後ろを振り返ってみると…

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