引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
神々への挑戦
ロニン。
アルス。
いま思えば、シュンの人生はこの二人との出会いから始まった。
不思議なものだ。
当時は人と関わるのも嫌だったのが、こうして国を立ち上げ、あろうことか世界を救おうとしているだなんて。以前のシュンであれば、家族が死のうが世界が滅ぼされようが、みずから行動を起こそうとはしなかったはずだ。
シュンが変わったきっかけといえば、やはり、いま手を繋いでいるロニン以外なかった。
シュンはぎゅっと手を握りしめ、後ろを歩く妻に振り向いた。
神々からの反撃か、豪雨、暴風、雷撃が尋常でないほど襲ってくる。並の者であれば瞬時にして地上へ振り落とされるだろう。そのなかにあって、ロニンはしっかりとした足取りで進んでいた。
「……平気か。ロニン」
「うん。もう、逃げてる場合じゃないから」
「……そうか」
彼女は本当に強くなったと思う。
ひとりではなにもできなかった、《魔王の娘》の頃とは大違いだ。彼女がいるだけで精神的な支えになる。
「シュンさんこそ……ごめんね。いつも前を歩いてもらって」
「気にすんな。黙ってついてこい」
「うん。ありがとう」
「…………」
そんな会話を繰り広げている夫婦を、アルスは背後から無言で見守っていた。
――これほど有望な二人を、かつての俺は殺そうとしていたなんて……なんと愚かなことを――
考えれば考えるほど、哀惜の念がちくりと胸を刺す。
けれど。
償いの道はまだ残っているはずだ。
今度こそ、本当に世界を救うため、勇者として出来ることを全うしてみせる。そのときは、ぜひ力を貸してくださいね……師匠。
三人、それぞれの想いを胸に、創造神の居座る神殿へ向かっていく。
何分経っただろうか。
無限にも思えた《虹の道》も終着点が見えてきた。
雷雨が吹きすさぶ夜の天空。
そこに巨大な城が浮かんでいる。閃光が走るたび、数秒だけ天空城の全容が垣間見える。
「ありゃあ……」
シュンもぽかんと口を開けざるをえない。
巨大だ。
何万年、何億年――下手をすればそれ以上の年月、そこに存在し続けてたであろう神々の居城が、圧倒的な威容をもって浮かんでいる。
近づいていくうち、シュンは気づいた。
さきほどアリアンヌに転送された過去の神殿と、まるで同じ外観をしていると。
であれば、神殿がいくら巨大とはいえ、道に迷うことはあるまい。アリアンヌの分身に、一通りの道筋は案内されたのである。
――ありがとな、アリアンヌ。後は任せてくれ――
感謝の念を抱きながら、シュンはとうとう、神々のおわす神殿へと足を踏み入れた。
世界消滅まで ――1:03――
アルス。
いま思えば、シュンの人生はこの二人との出会いから始まった。
不思議なものだ。
当時は人と関わるのも嫌だったのが、こうして国を立ち上げ、あろうことか世界を救おうとしているだなんて。以前のシュンであれば、家族が死のうが世界が滅ぼされようが、みずから行動を起こそうとはしなかったはずだ。
シュンが変わったきっかけといえば、やはり、いま手を繋いでいるロニン以外なかった。
シュンはぎゅっと手を握りしめ、後ろを歩く妻に振り向いた。
神々からの反撃か、豪雨、暴風、雷撃が尋常でないほど襲ってくる。並の者であれば瞬時にして地上へ振り落とされるだろう。そのなかにあって、ロニンはしっかりとした足取りで進んでいた。
「……平気か。ロニン」
「うん。もう、逃げてる場合じゃないから」
「……そうか」
彼女は本当に強くなったと思う。
ひとりではなにもできなかった、《魔王の娘》の頃とは大違いだ。彼女がいるだけで精神的な支えになる。
「シュンさんこそ……ごめんね。いつも前を歩いてもらって」
「気にすんな。黙ってついてこい」
「うん。ありがとう」
「…………」
そんな会話を繰り広げている夫婦を、アルスは背後から無言で見守っていた。
――これほど有望な二人を、かつての俺は殺そうとしていたなんて……なんと愚かなことを――
考えれば考えるほど、哀惜の念がちくりと胸を刺す。
けれど。
償いの道はまだ残っているはずだ。
今度こそ、本当に世界を救うため、勇者として出来ることを全うしてみせる。そのときは、ぜひ力を貸してくださいね……師匠。
三人、それぞれの想いを胸に、創造神の居座る神殿へ向かっていく。
何分経っただろうか。
無限にも思えた《虹の道》も終着点が見えてきた。
雷雨が吹きすさぶ夜の天空。
そこに巨大な城が浮かんでいる。閃光が走るたび、数秒だけ天空城の全容が垣間見える。
「ありゃあ……」
シュンもぽかんと口を開けざるをえない。
巨大だ。
何万年、何億年――下手をすればそれ以上の年月、そこに存在し続けてたであろう神々の居城が、圧倒的な威容をもって浮かんでいる。
近づいていくうち、シュンは気づいた。
さきほどアリアンヌに転送された過去の神殿と、まるで同じ外観をしていると。
であれば、神殿がいくら巨大とはいえ、道に迷うことはあるまい。アリアンヌの分身に、一通りの道筋は案内されたのである。
――ありがとな、アリアンヌ。後は任せてくれ――
感謝の念を抱きながら、シュンはとうとう、神々のおわす神殿へと足を踏み入れた。
世界消滅まで ――1:03――
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