引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

シュンの部 【成長】

 修行は数時間にも及んだ。
 神の霊気を身にまとい、全力で襲いかかってくる《悪魔》たちは、シュンに匹敵する実力を持ち合わせていた。そんな連中が五十三体、多方面から攻撃を仕掛けてくるのだから、シュンもロニンも休まる暇がない。


 攻撃を受け、そして反撃を繰り返していくうちに、シュンとロニンは少しずつ《神の霊気》を自身に取り込み始めていた。

《ステータス》とは、他者にその存在感を熱烈にアピールするものといえる。力を解放すれば他者はそのパワーを感じ取れるし、シェアすれば各項目の数値を見せることもできる。

 対して、神の霊気とは、目には映らない、極めて神秘的な力といえた。いわば、身体に眠る静かな力とでもいうべきか。

 その力を引き出すべく、シュンとロニンは戦いに明け暮れた。結果、だいたいプラス1000ほど、各ステータスの数値を上乗せできるくらいには霊気を操れるようになった。

「あー、もう無理だ。動けね」
 地面に大の字になる格好で、シュンは仰向けに寝転がった。その隣でロニンも控えめに膝を抱えて座る。
「……まあ、上出来でしょう」
 そんな二人を見下ろしながら、アリアンヌは無機質な声を発した。見れば、五十三体の悪魔たちもみな様々な格好で横になっている。ギブアップ、ということだ。
「正直、ここまでやるとは思いませんでしたよ。元のステータスが高いのが幸いしましたね」

「俺……、成長、したのか……?」
 荒い呼吸で問いかけるシュンに、アリアンヌは目を細めた。
「ええ。信じられない速度で成長していますよ。次の修行は私と一騎打ちです」
「はあ? おいおい、もう動けねぇって……」
「冗談ですよ。今日はもう寝ましょう」
「…………」

 真顔でさらりと冗談を言うアリアンヌに、シュンはさらに疲れを感じた。

「簡単ですがベッドを設えてあります。ついてきてください」


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