引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
戦う姫
あちこちで戦いの声が聞こえる。
剣のぶつかり合う音。
モンスターの重厚な咆哮。
それらのさまざまな戦闘音を聞きながら、セレスティアは頬杖をついていた。
戦争はかなり激化しているようだ。ときおり人間の悲鳴も聞こえてくる。相手は憎きモンスターだ、多少の犠牲は仕方ないにしても、やはり心が痛む。できればこちら側には犠牲を出したくなかったから。
モンスターを根絶させるための最終決戦。
この作戦に、父王は喜んで賛同してくれた。そして騎士たちの指揮権をすべてセレスティアに譲渡してくれた。
此度の戦争に勝利すれば、モンスターを根絶させた功績者として、きっと歴史に名を残せる。もちろん、次期国王の座を確実なものにできる。それを見越してのことだ。
相当数の騎士を召集できたのもそのおかげだ。
おそらく、モンスター側の兵力など比べ物にならないほどの戦力が、この魔王城の周辺に集まっている。
ーーきっと、父も国民も、この戦いに期待している。モンスターに苦しまされた時代はもう終わりを迎えるのだ。
だから、騎士のみんなもどうか頑張って。そして、死なないでーー
セレスティアが短く目を閉じた、その瞬間。
「……ん?」
勇者アルスがふいに怪訝そうに眉を寄せた。
「どうしたの?」
「とてつもなく強大な《気配》が登場しました。……奴はなんと、単身で騎士を次々と殺していっています」
「なんですって……?」
とてつもなく強大な《気配》。
魔王ロニンのおでましなのか。いや、それにしては早すぎるーー
そのとき。
コツコツ、と、馬車の窓を叩くひとりの騎士。アルスは窓を開け、「どうした」と問いかけた。
「報告申し上げます! 痩身の人型モンスターが突如暴れ出し、戦線が崩壊しています! このままでは全滅ーー」
セレスティアは大きく目を見開いた。
痩身の人型モンスター。
ということは、ロニンの他にも厄介なモンスターが存在した、ということか。しかも凄腕の騎士軍団を蹂躙できるほどに強いと……
勇者アルスが、決然とした瞳でセレスティアを見据えた。
「私が出ます。このまま被害を出すわけには……」
「いえ、それには及ばないわ」
セレスティアは勇者の発言を制すると、にっこりと微笑んでみせた。
「そのモンスターとは私が戦う。あなたは人類最後の希望。魔王と戦うまで、万全な状態にしておきたいわ」
「セ、セレスティア様がみずから……!?」
これには勇者も仰天したようだ。
「な、なりませぬ! 姫様にもしものことがあっては……」
「大丈夫よ。私の魔法の腕前はあなただって知っているんじゃなくて? 私が出向けば戦況は変わると思うけれど」
「し、しかし……」
「部下が大勢いるのに、私だけ安全圏にはいられないわ。あなたは魔王との戦いまで、身体を休めていてちょうだい」
剣のぶつかり合う音。
モンスターの重厚な咆哮。
それらのさまざまな戦闘音を聞きながら、セレスティアは頬杖をついていた。
戦争はかなり激化しているようだ。ときおり人間の悲鳴も聞こえてくる。相手は憎きモンスターだ、多少の犠牲は仕方ないにしても、やはり心が痛む。できればこちら側には犠牲を出したくなかったから。
モンスターを根絶させるための最終決戦。
この作戦に、父王は喜んで賛同してくれた。そして騎士たちの指揮権をすべてセレスティアに譲渡してくれた。
此度の戦争に勝利すれば、モンスターを根絶させた功績者として、きっと歴史に名を残せる。もちろん、次期国王の座を確実なものにできる。それを見越してのことだ。
相当数の騎士を召集できたのもそのおかげだ。
おそらく、モンスター側の兵力など比べ物にならないほどの戦力が、この魔王城の周辺に集まっている。
ーーきっと、父も国民も、この戦いに期待している。モンスターに苦しまされた時代はもう終わりを迎えるのだ。
だから、騎士のみんなもどうか頑張って。そして、死なないでーー
セレスティアが短く目を閉じた、その瞬間。
「……ん?」
勇者アルスがふいに怪訝そうに眉を寄せた。
「どうしたの?」
「とてつもなく強大な《気配》が登場しました。……奴はなんと、単身で騎士を次々と殺していっています」
「なんですって……?」
とてつもなく強大な《気配》。
魔王ロニンのおでましなのか。いや、それにしては早すぎるーー
そのとき。
コツコツ、と、馬車の窓を叩くひとりの騎士。アルスは窓を開け、「どうした」と問いかけた。
「報告申し上げます! 痩身の人型モンスターが突如暴れ出し、戦線が崩壊しています! このままでは全滅ーー」
セレスティアは大きく目を見開いた。
痩身の人型モンスター。
ということは、ロニンの他にも厄介なモンスターが存在した、ということか。しかも凄腕の騎士軍団を蹂躙できるほどに強いと……
勇者アルスが、決然とした瞳でセレスティアを見据えた。
「私が出ます。このまま被害を出すわけには……」
「いえ、それには及ばないわ」
セレスティアは勇者の発言を制すると、にっこりと微笑んでみせた。
「そのモンスターとは私が戦う。あなたは人類最後の希望。魔王と戦うまで、万全な状態にしておきたいわ」
「セ、セレスティア様がみずから……!?」
これには勇者も仰天したようだ。
「な、なりませぬ! 姫様にもしものことがあっては……」
「大丈夫よ。私の魔法の腕前はあなただって知っているんじゃなくて? 私が出向けば戦況は変わると思うけれど」
「し、しかし……」
「部下が大勢いるのに、私だけ安全圏にはいられないわ。あなたは魔王との戦いまで、身体を休めていてちょうだい」
コメント
ノベルバユーザー252836
テンプレな群像劇だなーと思いながら読んでるけど話自体は面白い。