引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
ディストの本気
ーー完全に俺のミスだ。
襲ってくる矢を剣で弾きながら、ディストは歯噛みした。
人間の文明を侮っていた。
モンスターが荒れ果てた地に住んでいる間に、人間たちは急速に進化を遂げてきたのだ。こちらの常識が通用するわけがない。
後退する間にも、仲間たちは続々と矢に撃ち込まれていく。その威力は尋常でなく、たった一撃で倒れる者がほとんどだ。物理攻撃力の高い者が放っているのだと予想される。
そして。
ザッサッザッ、という小気味の良い足音に続いて、大勢の騎士たちがこちらに進軍してくるのが見えた。
全員が頑丈そうな赤鎧を身につけ、黒光りする大剣を構えている。
「くくっ……はははっ」
ディストは甲高く哄笑したくなる衝動をなんとか抑えつけ、小さな笑い声をあげた。
ーー人間側は全力でもって我々を殺しにかかるつもりだ。
どうして、開戦前に使者のひとりでも寄越さないのか。戦う前になんらかの表明をするのが礼儀ではないのか。
奴らはなんの断りもなく、問答無用で攻撃を差し挟んできた。
ーー我らを、まるで虫けらのように扱っている。
ひどい。怪物なのはいったいどちらだ。
「うおおおおおおっ!」
知らず知らずのうちに、ディストは叫んでいた。
全力を解放し、紺碧の霊気が波動となって周囲に拡散していく。荒野がわずかばかり振動し、騎士たちが驚きの表情を浮かべた。
「よかろう。そちらがその気ならば、俺とて容赦はせん。《引きこもり》により得た力、とくと味わうがよい!」
後退していくモンスターの流れに逆らい、ディストは単身、騎士の群れに突っ込んでいった。
一番近くにいた騎士に向け、上段から剣を振りかぶる。騎士も慌てて鉄製の盾を構えるがーー
「無駄だァァァァァア!」
振り下ろされた刀身が、盾をも粉砕し、騎士の頭部を兜ごと二つに分断した。ぷっしゅううと、周囲に鮮血が飛び散る。
武器の性能なぞはこの際関係ない。圧倒的なステータス差の前では、武器の恩恵など微々たるものだ。
「こ、こいつ……!」
「強いぞ! 気をつけろ!」
その後も、騎士たちが次々と剣戟を浴びせてくるが、ディストはそれらすべてを弾いた。すさまじい金属音が周囲に反響する。
騎士たちに生じたわずかな隙を縫って、ディストは《スキル》を発動した。
その名も《一閃》。
ディストが横一文字に剣を切りつけると、その斬撃が波動となって遠方の敵を攻撃する。
ズドン! という巨大な衝撃音に続いて、大勢の騎士たちが波動に切り刻まれ、倒れていく。
鎧が破壊される音、肉体が切断される音。
あちらこちらに血液が飛び散っていく。
これで敵はかなり減ったはずだ。さしもの騎士たちも、ディストに対して恐怖を抱きはじめているようですらある。
ディストは背後を振り返り、モンスターたちに問いかけた。
「同志たちよ! 怯えることはない! ロニン様とこのディストがいれば、この戦、負けはせん! 皆も奮って戦おう!」
その発言が、モンスターたちを大きく鼓舞した。逃げまどっていた部下たちは、一転して騎士たちに襲いかかっていく。
人間とモンスターの悲しき戦争は、こうして本格的に始まった。
襲ってくる矢を剣で弾きながら、ディストは歯噛みした。
人間の文明を侮っていた。
モンスターが荒れ果てた地に住んでいる間に、人間たちは急速に進化を遂げてきたのだ。こちらの常識が通用するわけがない。
後退する間にも、仲間たちは続々と矢に撃ち込まれていく。その威力は尋常でなく、たった一撃で倒れる者がほとんどだ。物理攻撃力の高い者が放っているのだと予想される。
そして。
ザッサッザッ、という小気味の良い足音に続いて、大勢の騎士たちがこちらに進軍してくるのが見えた。
全員が頑丈そうな赤鎧を身につけ、黒光りする大剣を構えている。
「くくっ……はははっ」
ディストは甲高く哄笑したくなる衝動をなんとか抑えつけ、小さな笑い声をあげた。
ーー人間側は全力でもって我々を殺しにかかるつもりだ。
どうして、開戦前に使者のひとりでも寄越さないのか。戦う前になんらかの表明をするのが礼儀ではないのか。
奴らはなんの断りもなく、問答無用で攻撃を差し挟んできた。
ーー我らを、まるで虫けらのように扱っている。
ひどい。怪物なのはいったいどちらだ。
「うおおおおおおっ!」
知らず知らずのうちに、ディストは叫んでいた。
全力を解放し、紺碧の霊気が波動となって周囲に拡散していく。荒野がわずかばかり振動し、騎士たちが驚きの表情を浮かべた。
「よかろう。そちらがその気ならば、俺とて容赦はせん。《引きこもり》により得た力、とくと味わうがよい!」
後退していくモンスターの流れに逆らい、ディストは単身、騎士の群れに突っ込んでいった。
一番近くにいた騎士に向け、上段から剣を振りかぶる。騎士も慌てて鉄製の盾を構えるがーー
「無駄だァァァァァア!」
振り下ろされた刀身が、盾をも粉砕し、騎士の頭部を兜ごと二つに分断した。ぷっしゅううと、周囲に鮮血が飛び散る。
武器の性能なぞはこの際関係ない。圧倒的なステータス差の前では、武器の恩恵など微々たるものだ。
「こ、こいつ……!」
「強いぞ! 気をつけろ!」
その後も、騎士たちが次々と剣戟を浴びせてくるが、ディストはそれらすべてを弾いた。すさまじい金属音が周囲に反響する。
騎士たちに生じたわずかな隙を縫って、ディストは《スキル》を発動した。
その名も《一閃》。
ディストが横一文字に剣を切りつけると、その斬撃が波動となって遠方の敵を攻撃する。
ズドン! という巨大な衝撃音に続いて、大勢の騎士たちが波動に切り刻まれ、倒れていく。
鎧が破壊される音、肉体が切断される音。
あちらこちらに血液が飛び散っていく。
これで敵はかなり減ったはずだ。さしもの騎士たちも、ディストに対して恐怖を抱きはじめているようですらある。
ディストは背後を振り返り、モンスターたちに問いかけた。
「同志たちよ! 怯えることはない! ロニン様とこのディストがいれば、この戦、負けはせん! 皆も奮って戦おう!」
その発言が、モンスターたちを大きく鼓舞した。逃げまどっていた部下たちは、一転して騎士たちに襲いかかっていく。
人間とモンスターの悲しき戦争は、こうして本格的に始まった。
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