ネットフリマと暴走マニアとテディベア

ノベルバユーザー173744

ネットフリマと暴走マニアとテディベア

現在、ネットフリマを利用している。

オークションに出すほどの御大層なものではない。
その多くが妹が購入した雑誌の付録や、昔から捨てられず溜め込んでいた古いワッペンなど手芸用品。
そして、自分が作ったピンクッションや、こちらも趣味で溜めていた可愛い柄の缶や箱やかごににピンクッションやメジャーにハサミに糸などを入れて、出品する。

そして、出品時にはメッセージを添えて、

『基本使える道具を揃えました。可愛いケースですので、飾っておいてちょっと使うときに持ちやすいかと思います。他に、必要なのはチャコペンかと思いますが、十分大きさに問題はありません』

などと記載しておく。

丁寧にメッセージを記しておく方が、後で問題が起きてもこちらは『このように対処させていただいたし、その内容を確認していないのはそちら側です』と言えるので、なるべく、詳しく伝える。

でないと本当に痛い目に遭うのだ。
あの時の事は、いまだに心を苛む。



しかし、それでも続けているのは、要らないものをごみとするのではなく、お宝と考えるようにしているの為だ。
昔のもう、手に入らないであろう限定キーホルダーに、応募者特別冊子などは、本当にレアである。
特に応募しても抽選で100人の方にしか当たらないという、貴重なお宝は本当に大事に仕舞っていて、それを譲る。
他には、妹が読んでいる雑誌の付録のクリアファイルとか、下敷き、カードなども妹が捨てると言うので、譲って貰い、それを出品する。

自分の要らないものを処分して、そのサイトに振り込まれた売り上げは一万円以上にならないと銀行に振り込む際に手数料をとられる。
それに一度にそんな高額商品を出すほど高額なものを持っていないし、一度そういうものを自己破産の前に全て売りつくしていた自分は、妹が捨てようとしていた雑誌の付録を貰い受け、包装に注意して、送料を考えちょこちょこと売りに出す。
売れた商品は妹のものだからと妹に渡そうとするが、

「捨てるのをちょうだいって言っただけだし、自分で管理して包装梱包、郵便局に持っていく手間を考えたら、私はするつもりないしあげるよ」

と言ってくれた。
コツコツ貯めると言っても、実質送料はほぼこちらが支払うから、サイトの売り上げを見ても、送料を引くと赤字にギリギリなっていない黒字?という程度で、その上ストレスが心を苛む。



私は、収入を得たいというよりも、現実が見えない。
心のバランスが崩れ、金銭感覚が狂い、その上時間の感覚もおかしい……。
眠れないし、何時も心に負担がかかり感情のブレが生じると、その後の事を覚えていない。
病院に相談しても、

「それは、多分かっとなってしまっているので大丈夫ですよ」

で済まされる。
私としては二重人格とか、おかしいのかと心配しているのに納得がいかない……。



妹に貰ったものだけでは、どうしようもないので、手作りの商品を出品する。
布とかは、叔母に貰ったパッチワーク用の布を使い、売れ残ったリボンや中途半端のレースリボンの詰め放題等に昔行っていたので、それを使う。
それだけではと、自分は、ちょこちょこと自分の趣味の小物作りに使ったりするチャームを譲って貰い、見映えをよくして、売るのだが包装や送料が現実を見せる。



現実は苦しい……。
私は、本当にテディベアが傍にいないと外も歩けない。
父には、

「恥ずかしいとかよりも、荷物になろうが?もって歩くな。それでなくても荷物が多いのに。肩こりに、頭痛に、腰痛なのに、どうするんぞ?」

と、言われるが、止められない。
対人恐怖症に、テディベア依存症である。
現在だっこしているのは大きなチーキーである。

チーキーは、イギリスのメリーソート社のテディベアで、最近誕生したシャーロット王女の誕生記念に限定チーキーが発売されたのだという。
テディベア大好き人間には垂涎のお宝ではあるものの、私には買えない。
そんな高級なものを買うお金などないのだ。

だから、売れて、貯まったサイトの貯金でヴィンテージのテディベアを譲ってもらう。
テディベアは有名な会社のものから、個人の方が作った手作りの子、傷ついている古いヴィンテージベアもいる。
普通アンティークと言う言葉に該当するのは100年以上前に作られた骨董品などを言うので、テディベアが最初に生まれたのが1902年なので、アンティークはそんなにいない。
なぜかと言うと、テディベアは、子供のおもちゃとして最初に作られているので、成長したり、汚れたら容赦なくゴミ箱行きで、捨てられることが多いからである。
残っているのなら、特にシュタイフ社のデッドストックや、大切に飾ってあったりするベアである。
100年以内は、古くともヴィンテージと言う。
私も、約30年ほど前のベアを家に飾っている。



時々自分がお節介だなぁ……と思うのは、テディベアを売りたいという人のメッセージに、忠告するからである。
ある時、

『テディベアです。大事に保管していました。当時の価格で○円です。なので送料もありますのでその分を合わせて○○円とさせていただきます』

というメッセージが、あった。
はっきり言って呆れるしかなかった。
私としては、ある程度は売る側にも知識を私は求めたい。
大切にしていたから、テディベアは高いから売れる、古いから売れる訳ではない。
それを望むなら本当に、オークションサイトで売るべきである。
テディベアが高額なのは、そのモヘアの生地の上等さ、限定品かどうかが左右する。
しかし、そのベアの説明はそれだけで、大体でも大きさ、タグには何体中何番目かと記載されているのを確認するなり、するべきである。
しかし、メーカーも記載しない、ただテディベアです。はないと思うのは私だけだろうか?

シュタイフ社のベアかどうか、メリーソート社のチーキーかどうか、好きな人はすぐに解る。
その上、そのテディベアは購入したときの値段がこのくらいだったら、そんなお金では普通譲ってもらわない。
テディベアの世界は本当にシビアなのだ。

この人とは別の人で、

『シュタイフ社のテディベアは高価だと聞きました!!なので、友人がお土産だと譲って貰った時に着いていた値札の二倍で売ります!!』

には呆れた。
シュタイフ社のテディベアは高い……それはそうだろうが、真実高いのは白いタグで、限定何体か、ナンバーつきの証明書の入った箱に納められている。
タグによって、これは何年に作られたベアの限定生産品とか、解るのだ。
ちなみに黄色のタグは大量生産されたものであり、価値は下がる。
一応、何年のベアの復刻版で小型で作られたという限定ものも黄色のタグの場合もあるけれど、それはそれである。
ちなみに、そのベアは一人として購入を考えているという意味の『良いね!!』はなく、ショーウィンドウに飾られている。

本当に残念なのは、主によって『高いから』と言う理由で、晒し者にされているテディベアの哀しげな顔である。
大事にして貰えていたのだろう。
綺麗な透明のケースの中で飾られていたことが真実、大事にしているのなら。
そんな哀しい顔をさせるくらいなら、売るのをやめるか、もっと安価にするか、つっけんどんに、

『この子は高いんです!!その値段では売れません!!』

と冷たく返すのなら、売るのをやめたら良いと思う。
高いから高く売る……それは、テディベアにしてほしくない。
テディベアが高いのは、シュタイフ社のテディベアが高いのは、それだけの自信と、職人の方々の裁断の技術に、一針一針丁寧に縫う職人さん、ひっくり返して綿を詰める人は本当にまんべんなく詰める。
顔の表情を決める目をつけて、鼻と口を刺繍して、耳を縫い、ジョイントと呼ばれる部品を使って首に、手足を繋ぐ。
そして綿詰めをして、とじた後に、最終チェックがある。
そこで、3割ははねられるそうだ。
聞くと、毛の裁断の失敗と言うよりも、毛の流れが合わない、よれがある、顔の刺繍や、ちょっとした汚れではねられ、そのベアは、左耳のタグにボタンはつけられず、シュタイフ社のテディベア博物館の売店で、半値以下で売られているらしい。
それほど、プライドをもって、シュタイフ社はベアを売り、ベアは売られていくのだ。
大切にしてくれる主の元に。

考え違いを直したい。
と思ってしまい、メッセージを送るのだが、どうも、本当にテディベアを可愛がる人には、

『もっと言って!!テディベアに失礼だわ!!私は、事情があって手放すけれど、大事にしてくれそうな方に譲るわ!!ベアをなんだと思ってるの!!』
『あの子があの値段で売れたら、どうするのかしらね?また売れるって、出してくるんじゃないかしら?』
『貴方、大丈夫?真面目にとると馬鹿を見るわよ?ほっておきなさい』

と言われたのだが、お節介な性格は治らず、向こうに食って掛かられたこともあった。

後悔しても仕方がないのだが、自分のような人間もいれば、そうではない人もいる。
しかし、やはり気になるのだ。



今日も、忠告したベアは、飾られたまま……。
哀しい瞳がこちらを見つめている。



藤の花テディベアの代わりに散る涙

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