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第二十四話 向かうはレガドール
捕らえられていた人々も全員無事に脱出し、フィアノでは宴が盛大に催されていた。
フィアノを救った救世主御一行、つまりフル・ルーシー・メアリーを歓迎するものだ。
宴も後半、三人はみんなに酒をしきりに勧められていた。
この世界で何歳から酒を飲んでいいのかわからなかったのもあって、フルは断固としてそれを拒否した。
ルーシーは周りに圧倒されて、どんどん飲んでしまい、かなり酔っているようだった。
フルは酒臭くなった宴会会場を出て、原っぱで寝そべっていた。
日はすでに暮れ、気持ちよい夜風が吹いている。
ここが、北の地だと思えない位の心地よさだった。
「ヒック………フル……」
「あれ?メアリー、酔っ払ってる?」
いつの間にかメアリーが現れ、フルは起き上がった。
「なに言ってんの?…ヒック……酔ってなんかいないわよ…ヒック」
「いや、絶対酔ってるって」
メアリーは、フルの隣に座って、こう言った。
「ヒック………そんなことよりぃ……助けてくれてありがと…ヒック」
「いや……仲間として当然のことだよ」
「仲間…ね……ヒック。そう言えばぁ…これからどうすんの? 学校に戻る? それとも城?」
「いや……レガドールに行こうと思う」
リュージュが言っていたレガドール。アイツはもっと大きな、大変な何かをしようとしてるんじゃないか。フルにはそう思えた。
そして、出来ることならこの手で、それを打ち負かしてみたい。
自分でやりきれるのか不安にも思う。だけど……
「いいんじゃない?…… レガドール。あの女の鼻、あかしてやりましょ!!……ヒック」
「そうだね、この三人なら……って、寝てるし……」
メアリーはフルに寄りかかって、ぐっすり眠っていた。
翌朝、三人は船でレガドールに向かうことになった。
別れをおしむフィアノの人々が沢山、港に集まっていた。
沢山もらった物資を船に積み込んで出航する。
「みなさーん。ありがとー」
フルは目一杯手を振った。
数日後、レガドールのとある研究所に、再びリュージュが現れた。
一人の研究員が、彼女を迎える。
「リュージュ様、今日はどの様な御用でしょうか?」
「このまえ、“アイツ”の完成は3ヶ月かかると言っていたな」
「はい。そうでございます」
「1ヶ月に短縮しろ」
「まってください!それは短過ぎます。その期間でちゃんと操れるようになるかどうか……」
「ごだごだ言うな!もう時間が無いのだ!!」
そう言うと、リュージュは去っていった。
「もうすぐ着くよー」
フィアノを出発して約一週間。
マストに登っていたルーシーが、大声で伝えた。
「僕ら、大丈夫かな?……」
「ええ、大丈夫よ」
フルにメアリーはそう返す。
「よし、行こう!」
船は港へと入ってゆく
陸には大きな看板がたてられていた
--南の国レガドール一の港町、ラムガスへようこそ--
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