ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
71話-デブリーフィング
帰還報告。
任務終了後に設けられた報告の場は随分と冷え切っていた。
偵察し、異常を発見し次第処理せよ。
その異常の正体がはっきりしないまま急拵えの部隊で挑んだ任務だったため無理が生じるのは当然のことではある。
しかし……結果として潜伏していた本土軍を逃し、かつ目的を遂げさせてしまった。
「酷い体たらくだが……まあお前たちの行動はプラスには働くことになる。民衆にとってはな」
この任務の統括であるアルビナは立体モニターにニュース番組を映し出させた。
映像は未だ粉塵を纏う採掘シャフトの俯瞰風景。
報道内容はセンチュリオンテクノロジー所属部隊が謎のドミネーター、及び残留本土軍の撃退に成功。
この任務にGNCは公に関わっていなかったためRB軍曹は名前だけ報道されていた。
「ッハ、物は言い様ってやつの典型だな。俺たちにとっては耳の痛ェ報道でしかねェが」
「民衆にはええニュースやろねぇ。うちらにとっても静流はんの失敗を挽回できて嬉しいわぁ」
それを見ていた蘇芳は言葉のみなら肯定の色が強いが表情は不満そのもの。
それもそうだろう。報道の内容は実際の結果とは違う。民衆に受けがいいようにねじ曲げられた情報でしかないのだから。
「あ……あのう、うちの名前がないんですけど……」
「それについては私の力不足だ、すまない。企業連情報部が規制をかけてきてな……。老獪めが……余計なことをする」
アルビナは夜刀神葉月に頭を下げた。
報道の内容には夜刀神PMCの名も雛樹の名もなかったのだ。
企業連情報部の老獪……オスヴァルトの命令があったかは知らないが企業連側にとって弱小PMC……と、いうよりも祠堂雛樹に大々的に功績を上げられるのは困るのだろう。
「私の謝罪一つで済ませる気はない。報酬は期待してほしい。企業得点も色をつけるよう上に掛け合っておく」
「ありがとう……ございます」
葉月は自分の会社の名前がなかったことに不満があったわけではない。それよりも企業連にとって祠堂雛樹の名がそれほど忌避しなければならないことに不安を隠さずにはいられなかった。
祠堂君は何も悪いことしてないのに……。本土から来た人間は祠堂君だけではないのになぜ彼だけ……。そんな考えがぐるぐると頭の中を回っていた。
あまり場内はいい雰囲気とは言えなかったが、辟易した蘇芳が一度大きく手を叩く。
乾いた破裂音に淀んだ空気が一瞬払拭され……
「はいはい、報道屋さんがこうなんはよぉわかっとったことやろ。まあある意味ウチらにとっても悪い報道やないわけやし。それよりもあの子はどこの子ぉなん?」
「……」
蘇芳が指摘したあの子とは、部屋の隅の壁に背を預けもたれかかり腕を組んでいる褐色肌の彼女のことだ。
見目麗しい少女が下着に雛樹のジャケットを羽織っただけの姿のため、太股から下が大きく露出している。そのため男性陣はあまり視線を向けようとしないが……。
「うちの部下です。兵器技術に強く、所有二脚機甲のメンテナンスなどを行ってもらっています」
「へぇ、ほぉ。まだ幼いのに大したもんやねぇ。今回の任務にも?」
「はい。投入した二脚機甲の緊急出撃前セットアップを」
まあよくここまで顔色一つ変えずでまかせを言えたものだと、葉月に対しガーネットは心の中で感心する。
任務終了後に設けられた報告の場は随分と冷え切っていた。
偵察し、異常を発見し次第処理せよ。
その異常の正体がはっきりしないまま急拵えの部隊で挑んだ任務だったため無理が生じるのは当然のことではある。
しかし……結果として潜伏していた本土軍を逃し、かつ目的を遂げさせてしまった。
「酷い体たらくだが……まあお前たちの行動はプラスには働くことになる。民衆にとってはな」
この任務の統括であるアルビナは立体モニターにニュース番組を映し出させた。
映像は未だ粉塵を纏う採掘シャフトの俯瞰風景。
報道内容はセンチュリオンテクノロジー所属部隊が謎のドミネーター、及び残留本土軍の撃退に成功。
この任務にGNCは公に関わっていなかったためRB軍曹は名前だけ報道されていた。
「ッハ、物は言い様ってやつの典型だな。俺たちにとっては耳の痛ェ報道でしかねェが」
「民衆にはええニュースやろねぇ。うちらにとっても静流はんの失敗を挽回できて嬉しいわぁ」
それを見ていた蘇芳は言葉のみなら肯定の色が強いが表情は不満そのもの。
それもそうだろう。報道の内容は実際の結果とは違う。民衆に受けがいいようにねじ曲げられた情報でしかないのだから。
「あ……あのう、うちの名前がないんですけど……」
「それについては私の力不足だ、すまない。企業連情報部が規制をかけてきてな……。老獪めが……余計なことをする」
アルビナは夜刀神葉月に頭を下げた。
報道の内容には夜刀神PMCの名も雛樹の名もなかったのだ。
企業連情報部の老獪……オスヴァルトの命令があったかは知らないが企業連側にとって弱小PMC……と、いうよりも祠堂雛樹に大々的に功績を上げられるのは困るのだろう。
「私の謝罪一つで済ませる気はない。報酬は期待してほしい。企業得点も色をつけるよう上に掛け合っておく」
「ありがとう……ございます」
葉月は自分の会社の名前がなかったことに不満があったわけではない。それよりも企業連にとって祠堂雛樹の名がそれほど忌避しなければならないことに不安を隠さずにはいられなかった。
祠堂君は何も悪いことしてないのに……。本土から来た人間は祠堂君だけではないのになぜ彼だけ……。そんな考えがぐるぐると頭の中を回っていた。
あまり場内はいい雰囲気とは言えなかったが、辟易した蘇芳が一度大きく手を叩く。
乾いた破裂音に淀んだ空気が一瞬払拭され……
「はいはい、報道屋さんがこうなんはよぉわかっとったことやろ。まあある意味ウチらにとっても悪い報道やないわけやし。それよりもあの子はどこの子ぉなん?」
「……」
蘇芳が指摘したあの子とは、部屋の隅の壁に背を預けもたれかかり腕を組んでいる褐色肌の彼女のことだ。
見目麗しい少女が下着に雛樹のジャケットを羽織っただけの姿のため、太股から下が大きく露出している。そのため男性陣はあまり視線を向けようとしないが……。
「うちの部下です。兵器技術に強く、所有二脚機甲のメンテナンスなどを行ってもらっています」
「へぇ、ほぉ。まだ幼いのに大したもんやねぇ。今回の任務にも?」
「はい。投入した二脚機甲の緊急出撃前セットアップを」
まあよくここまで顔色一つ変えずでまかせを言えたものだと、葉月に対しガーネットは心の中で感心する。
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