ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
33話ー特別な扱いー
言い出すと聞かないのが彼女だ。
特におなかすいたから始まるわがままは。
雛樹もそれがわかっているために一度家に帰るかと言ったのだが、雛樹が料理を作るということで興味をもった静流が提案した。
このセンチュリオンテクノロジーの宿泊棟にある、尉官に割り当てられた部屋の台所を貸すのでそこでお昼ご飯にしましょうと。
正直なところ、その提案にはガーネットが大反対するかと思っていた。
反対はしなくとも嫌がるだろうと……しかし、ガーネットは一切嫌がる素振りもせず……。
「俺まで悪ぃな、シドー」
「食材はターシャ持ちだから気にしないでくれ。味は保証できないけどな」
RB軍曹も迎え入れ、雛樹は部屋の台所を借りまだまだ慣れ始めといった手つきで料理を始めた。
このメンバーでは少しばかり居心地が悪いのか、RB軍曹は懐からタバコを出し、一応吸ってもいいかと確認してから口にくわえて火をつけた。
ガーネットは料理をする雛樹をじっと眺め、静流は先ほど言われたガーネットからの言葉に、自分の器の小ささを嘆くように顔を伏せていた。
“私たちがお邪魔してもいいのですか?”
言うなれば、ガーネットと雛樹の間に割って入るような真似をしたのだ。静流をあまり好いてないかつ犬猿の仲のようなRBがいると鬱陶しいと思われていても仕方ない。
はっきり嫌だと言われても仕方ない状況だというのに何も言わなかったガーネットに疑問を覚えたが故の言葉だった。
だが、ガーネットは雛樹が料理する姿を眺めながら言った。
“別にぃ。誰がいたってしどぉが作ってくれるんでしょぉ。言っとくけどぉ、あたししどぉを独り占めしたいとか考えてないしぃ。あたしを贔屓目で見てこないところが気に入ってるんだからぁ”
自分の卑しい気持ちを見透かしてきているかのような言葉だった。
ガーネットは方舟の守護者としていつでも特別な扱いを受けてきた。
それはほとんど悪い意味でのことであったのが彼女にとっての不幸だった。
今更、変な特別扱いは必要ない。気を抜いて共に居られる関係がものすごく心地がいいのだから。
そこに第3者が居ようが居まいがどうでもいいのだ。
しばらくしてほらできたぞと雛樹が持ってきたのはビーフシチューとサラダ、ほくほくと炊けた白米だった。
皆同じく並べられているのだが、ガーネットの分だけは目に見えてわかる程度には多く盛られている。
「あは、こういうのはあたし好きぃ」
自分がよく食べることを知っているから、少し多めによそってくれる気遣いというのは嬉しいという。
これは別に畏怖からくる特別扱いなどでない。
自分のことをよくわかってくれているからこそしてくれるものであり、特別扱いなどと言えるほど大したものではないのだ。
「しどぉ、しどぉ」
「ん?」
「いただきまぁす」
ぺたんと小さな手を合わせて、少しばかり棒読み加減でそう言ったガーネットに対し……。
「どーぞ」
ちゃんといただきますしなさいという教育を雛樹がしているのだろう。
礼儀を済ませるや否や、ガーネットは堰を切ったようにビーフシチューにありついた。
「あッ……つぅ……!」
「がっつくからだよ。ちゃんと冷ましてからな」
特におなかすいたから始まるわがままは。
雛樹もそれがわかっているために一度家に帰るかと言ったのだが、雛樹が料理を作るということで興味をもった静流が提案した。
このセンチュリオンテクノロジーの宿泊棟にある、尉官に割り当てられた部屋の台所を貸すのでそこでお昼ご飯にしましょうと。
正直なところ、その提案にはガーネットが大反対するかと思っていた。
反対はしなくとも嫌がるだろうと……しかし、ガーネットは一切嫌がる素振りもせず……。
「俺まで悪ぃな、シドー」
「食材はターシャ持ちだから気にしないでくれ。味は保証できないけどな」
RB軍曹も迎え入れ、雛樹は部屋の台所を借りまだまだ慣れ始めといった手つきで料理を始めた。
このメンバーでは少しばかり居心地が悪いのか、RB軍曹は懐からタバコを出し、一応吸ってもいいかと確認してから口にくわえて火をつけた。
ガーネットは料理をする雛樹をじっと眺め、静流は先ほど言われたガーネットからの言葉に、自分の器の小ささを嘆くように顔を伏せていた。
“私たちがお邪魔してもいいのですか?”
言うなれば、ガーネットと雛樹の間に割って入るような真似をしたのだ。静流をあまり好いてないかつ犬猿の仲のようなRBがいると鬱陶しいと思われていても仕方ない。
はっきり嫌だと言われても仕方ない状況だというのに何も言わなかったガーネットに疑問を覚えたが故の言葉だった。
だが、ガーネットは雛樹が料理する姿を眺めながら言った。
“別にぃ。誰がいたってしどぉが作ってくれるんでしょぉ。言っとくけどぉ、あたししどぉを独り占めしたいとか考えてないしぃ。あたしを贔屓目で見てこないところが気に入ってるんだからぁ”
自分の卑しい気持ちを見透かしてきているかのような言葉だった。
ガーネットは方舟の守護者としていつでも特別な扱いを受けてきた。
それはほとんど悪い意味でのことであったのが彼女にとっての不幸だった。
今更、変な特別扱いは必要ない。気を抜いて共に居られる関係がものすごく心地がいいのだから。
そこに第3者が居ようが居まいがどうでもいいのだ。
しばらくしてほらできたぞと雛樹が持ってきたのはビーフシチューとサラダ、ほくほくと炊けた白米だった。
皆同じく並べられているのだが、ガーネットの分だけは目に見えてわかる程度には多く盛られている。
「あは、こういうのはあたし好きぃ」
自分がよく食べることを知っているから、少し多めによそってくれる気遣いというのは嬉しいという。
これは別に畏怖からくる特別扱いなどでない。
自分のことをよくわかってくれているからこそしてくれるものであり、特別扱いなどと言えるほど大したものではないのだ。
「しどぉ、しどぉ」
「ん?」
「いただきまぁす」
ぺたんと小さな手を合わせて、少しばかり棒読み加減でそう言ったガーネットに対し……。
「どーぞ」
ちゃんといただきますしなさいという教育を雛樹がしているのだろう。
礼儀を済ませるや否や、ガーネットは堰を切ったようにビーフシチューにありついた。
「あッ……つぅ……!」
「がっつくからだよ。ちゃんと冷ましてからな」
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