ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
ーパーティ開始の合図ー
ガーネットは随分と自分に興味ありげな静流の父、恭弥に対し怪訝な表情を浮かべ……。
「お父様の言ってた通り変な奴ぅ」
などと突然暴言を吐き出した。
そんなガーネットに対し、恭弥は全くと言っていいほど気にする素振りを見せなかった。
と、言うよりどちらかというとガーネットを目上の人間だと見ているために、何を言われようと怒ることはない。
方舟に住まう人間ならばそのほとんどが持つ感情のようなものだ。
人類種の天敵であるドミネーターを破壊し、都市を守る神。
そんな人知を超えた生物兵器を、誰もが敬い……恐怖する。
  実際、ガーネットに触れないように誰もが距離を取っている。
ガーネットに変な奴と言われた恭弥ですらそうなのだ。
周りよりは近づくが、それもやはりギリギリ線引きはしてあった。
「ねぇしどぉ……」
やっぱりあたし、こない方が良かったんじゃない?
そう言いかけた時だった。
「ステイシス……いえ、ガーネットでしたか?  貴方には積もる話があります。後で覚えておくように!」
「……はぁー?」
ずいずいと近寄ってきて、顔をギリギリまで接近させてからそう言い放ったのは静流だった。
身長の低いガーネットに合わせて前かがみになっていたため、ドレスの胸元が広く開き凄まじい谷間が露出したのをガーネットだけが目撃していた。
「あたし、あんたみたいなのと話したいことなんてないんだけどぉ?」
「私にはあるんです……! 」
「なによぅこの乳女ぁ。うざぁい」
「だっ……誰が乳女ですかっ!」
思わぬ角度からの反撃に静流は顔を真っ赤にし、胸を両手で押さえてずざざっと下がった。
ガーネットはというと、雛樹の後ろに隠れるようにして顔だけ出し、べぇっと長い舌を出して威嚇していた。
が、しかし。ガーネットはただ単に静流をけなしていたわけではない。
躊躇なく自分にギリギリまで近づいてきた静流に心底驚き対応に困ったのだ。
「はっはっは」
「あによぅ……」
そんな心境を察したのか、雛樹は愛い奴めとでも言うようにガーネットの頭を撫でてやった。
相変わらず心地いいのか、目を軽く閉じてなすがままになっていたガーネットだったが……。
「……」
「ゆっ……結月ちゃん?」
とんでもなく冷たく、そして親の仇を見るような怒りを孕んだ目をガーネットに向けていた静流に驚き、東雲姫乃がそれを指摘した。
「なんですか? 姫乃」
「なっ……なんですかって。結月ちゃん、見たことないくらい冷酷な目してたからさぁ」
「え? そんな目してませんよ」
己でも気づいていないほど、自然に出た表情だったのだろうか。
東雲姫乃は自分の勘違いだったということにし、その時の静流の反応を胸にしまいこむ事にした。
……——。
さあ、招待した親しい者たちは揃った。
皆揃って様々な飲み物が注がれたグラスを持ち、高々と掲げる。
皆それぞれが一様に、短く簡潔に祝いの言葉を述べて、不覚にも感動して涙ぐんだ静流が言う。
「乾杯っ!」
そのパーティー開始の合図に対し、みな声をそろえて同じ言葉を返すのだった。
「お父様の言ってた通り変な奴ぅ」
などと突然暴言を吐き出した。
そんなガーネットに対し、恭弥は全くと言っていいほど気にする素振りを見せなかった。
と、言うよりどちらかというとガーネットを目上の人間だと見ているために、何を言われようと怒ることはない。
方舟に住まう人間ならばそのほとんどが持つ感情のようなものだ。
人類種の天敵であるドミネーターを破壊し、都市を守る神。
そんな人知を超えた生物兵器を、誰もが敬い……恐怖する。
  実際、ガーネットに触れないように誰もが距離を取っている。
ガーネットに変な奴と言われた恭弥ですらそうなのだ。
周りよりは近づくが、それもやはりギリギリ線引きはしてあった。
「ねぇしどぉ……」
やっぱりあたし、こない方が良かったんじゃない?
そう言いかけた時だった。
「ステイシス……いえ、ガーネットでしたか?  貴方には積もる話があります。後で覚えておくように!」
「……はぁー?」
ずいずいと近寄ってきて、顔をギリギリまで接近させてからそう言い放ったのは静流だった。
身長の低いガーネットに合わせて前かがみになっていたため、ドレスの胸元が広く開き凄まじい谷間が露出したのをガーネットだけが目撃していた。
「あたし、あんたみたいなのと話したいことなんてないんだけどぉ?」
「私にはあるんです……! 」
「なによぅこの乳女ぁ。うざぁい」
「だっ……誰が乳女ですかっ!」
思わぬ角度からの反撃に静流は顔を真っ赤にし、胸を両手で押さえてずざざっと下がった。
ガーネットはというと、雛樹の後ろに隠れるようにして顔だけ出し、べぇっと長い舌を出して威嚇していた。
が、しかし。ガーネットはただ単に静流をけなしていたわけではない。
躊躇なく自分にギリギリまで近づいてきた静流に心底驚き対応に困ったのだ。
「はっはっは」
「あによぅ……」
そんな心境を察したのか、雛樹は愛い奴めとでも言うようにガーネットの頭を撫でてやった。
相変わらず心地いいのか、目を軽く閉じてなすがままになっていたガーネットだったが……。
「……」
「ゆっ……結月ちゃん?」
とんでもなく冷たく、そして親の仇を見るような怒りを孕んだ目をガーネットに向けていた静流に驚き、東雲姫乃がそれを指摘した。
「なんですか? 姫乃」
「なっ……なんですかって。結月ちゃん、見たことないくらい冷酷な目してたからさぁ」
「え? そんな目してませんよ」
己でも気づいていないほど、自然に出た表情だったのだろうか。
東雲姫乃は自分の勘違いだったということにし、その時の静流の反応を胸にしまいこむ事にした。
……——。
さあ、招待した親しい者たちは揃った。
皆揃って様々な飲み物が注がれたグラスを持ち、高々と掲げる。
皆それぞれが一様に、短く簡潔に祝いの言葉を述べて、不覚にも感動して涙ぐんだ静流が言う。
「乾杯っ!」
そのパーティー開始の合図に対し、みな声をそろえて同じ言葉を返すのだった。
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