ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第1節8部ーステイシスを抑えた者ー
そうして、雛樹とステイシスの共同生活が幕開けとなった。お互いがお互いをまだ理解していない中で、雛樹は雛樹なりの、ステイシスはステイシスなりの折り合いを見つけていかなければならないだろうが……。
それでも、最高戦力の管理者である兵器局長、高部総一郎の願いは届いた。
だが、一方で影の功労者がいることを忘れてはならない。先日、安定を失ったステイシスを抑え込んだ一人の兵士は、GNC本社、軍部基地の一室でうなだれていた。
「……おい、テメェら。クソ、今の俺の目の前でモノ食ってんじゃアねェよボケカス」
「うっわ、口わっる! RB口悪いわー! うちら上司! 上司だよ!」
「放っとけアレクサ。こいつが口悪ぃのはいつものことだろ」
「伊庭君、なんだか今日はRBに甘くない!?」
「いや……さすがに同情せざるを得ねー。ここまで包帯巻かれるか? どんだけひでー負傷したんだって話じゃねーの」
車椅子に座り上は頭部、下は足先までほぼ全身を包帯でぐるぐる巻きにされた、ミイラのような男がその鋭い眼光だけを覗かせている。
仲間の言葉から、RBという人名を聞き取らなければ誰かわからないような有様であるが、これには訳があった。
「しっかしRBがこんな怪我してくるなんてねー。企業連からの任務だって? 相当過酷な任務だったんだね、オイ、口悪青年!」
「ッハ……そりゃもうひでェもんだったぜ……」
「誰にやられたか言わねーのはどうかと思うぜ、RB。お前がそれじゃ俺らは挽肉になっちまってる相手だ。ドミネーターじゃねーんだろ?」
「うっせ、ファッキンガイ。さっさとそのうまそうな飯片付けやがれ。オイ、見せつけんな、そのうまそうなステーキを見、せ、つ、け、ん、なFuaaaack!!」
点滴での栄養補給を強いられるほどの負傷をしているにもかかわらず、妬みの声には弱りを感じさせない。実際、両手両足に容赦なく装着されているギプスも必要ないと突っぱねたのだが、GNCの医療部門は優秀であり、しっかり装着されてしまった。
そのため車椅子での移動を余儀なくされた上に、今はその車椅子の車輪をロックされてしまっている。ロックさえしていなければ目線の方向で自動的に進むようになっている、性能のいい車椅子なのだが……。
音声認識による車輪ロックではなく、いたずら好きのアレクサという元アメリカ国籍、明朗快活な、金髪おかっぱ女兵士に手動ロックをかけられ、その場から動けないでいるのだ。
手も足もうごかせないため、手動でなされたロックは解除できない。
「クッソが……俺がテメェらを挽肉にしてやろうか、なァ」
「いやーあっははは。笑うわー」
「いつも偉そうにしてやがるからだよ、RB軍曹」
アレクサと伊庭は今までにはないシチュエーションをこれでもかと楽しんでいるようだが……そこに割って入ってきた、短く刈り上げた白髪の、屈強な身体を持つ中年男性により場を引き締められた。
アレクサと伊庭は立ち上がり、ビッと敬礼し、RBはこの状態だからとでも言うように、肩をすくめた。
「楽にしていい、二人とも。昼食中だったのだろう」
「ありがとうございます、天城中佐。しかし、何用でしょうか? 呼んでくだされば……」
伊庭、アレクサ、RB直属の上司である天城中佐はその威厳ある風貌にもかかわらず、温厚な人物でつかみどころのない人物だ。しかしながら軍人としてのカリスマ性は確かなもので、我が強い伊庭やお調子者のアレクサでさえ、素直に従う人物である。
RBは別だが。
それでも、最高戦力の管理者である兵器局長、高部総一郎の願いは届いた。
だが、一方で影の功労者がいることを忘れてはならない。先日、安定を失ったステイシスを抑え込んだ一人の兵士は、GNC本社、軍部基地の一室でうなだれていた。
「……おい、テメェら。クソ、今の俺の目の前でモノ食ってんじゃアねェよボケカス」
「うっわ、口わっる! RB口悪いわー! うちら上司! 上司だよ!」
「放っとけアレクサ。こいつが口悪ぃのはいつものことだろ」
「伊庭君、なんだか今日はRBに甘くない!?」
「いや……さすがに同情せざるを得ねー。ここまで包帯巻かれるか? どんだけひでー負傷したんだって話じゃねーの」
車椅子に座り上は頭部、下は足先までほぼ全身を包帯でぐるぐる巻きにされた、ミイラのような男がその鋭い眼光だけを覗かせている。
仲間の言葉から、RBという人名を聞き取らなければ誰かわからないような有様であるが、これには訳があった。
「しっかしRBがこんな怪我してくるなんてねー。企業連からの任務だって? 相当過酷な任務だったんだね、オイ、口悪青年!」
「ッハ……そりゃもうひでェもんだったぜ……」
「誰にやられたか言わねーのはどうかと思うぜ、RB。お前がそれじゃ俺らは挽肉になっちまってる相手だ。ドミネーターじゃねーんだろ?」
「うっせ、ファッキンガイ。さっさとそのうまそうな飯片付けやがれ。オイ、見せつけんな、そのうまそうなステーキを見、せ、つ、け、ん、なFuaaaack!!」
点滴での栄養補給を強いられるほどの負傷をしているにもかかわらず、妬みの声には弱りを感じさせない。実際、両手両足に容赦なく装着されているギプスも必要ないと突っぱねたのだが、GNCの医療部門は優秀であり、しっかり装着されてしまった。
そのため車椅子での移動を余儀なくされた上に、今はその車椅子の車輪をロックされてしまっている。ロックさえしていなければ目線の方向で自動的に進むようになっている、性能のいい車椅子なのだが……。
音声認識による車輪ロックではなく、いたずら好きのアレクサという元アメリカ国籍、明朗快活な、金髪おかっぱ女兵士に手動ロックをかけられ、その場から動けないでいるのだ。
手も足もうごかせないため、手動でなされたロックは解除できない。
「クッソが……俺がテメェらを挽肉にしてやろうか、なァ」
「いやーあっははは。笑うわー」
「いつも偉そうにしてやがるからだよ、RB軍曹」
アレクサと伊庭は今までにはないシチュエーションをこれでもかと楽しんでいるようだが……そこに割って入ってきた、短く刈り上げた白髪の、屈強な身体を持つ中年男性により場を引き締められた。
アレクサと伊庭は立ち上がり、ビッと敬礼し、RBはこの状態だからとでも言うように、肩をすくめた。
「楽にしていい、二人とも。昼食中だったのだろう」
「ありがとうございます、天城中佐。しかし、何用でしょうか? 呼んでくだされば……」
伊庭、アレクサ、RB直属の上司である天城中佐はその威厳ある風貌にもかかわらず、温厚な人物でつかみどころのない人物だ。しかしながら軍人としてのカリスマ性は確かなもので、我が強い伊庭やお調子者のアレクサでさえ、素直に従う人物である。
RBは別だが。
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