話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

金糸雀(カナリア)は発作的に囀ずることをやめる。

ノベルバユーザー173744

金糸雀(カナリア)は発作的に囀ずることをやめる。

あぁ、疲れた……。
ふと思う。

私は、ネットフリマでチョコチョコ物を売っている。
本当は自分の作ったものを売るつもりだが、両手の調子の良し悪しで作れない。
もしくは、体力がなく、すぐに潰れる。
寝込むのだ。
体の弱さと、心の弱さは一番憎い。

テディベアを集めている。
高いものは、前に使わないタブレットを売った後に、振り込まれたポイントを利用して購入した。
安いものも、そうである。

でも、売れないのはぬいぐるみ。
UFOキャッチャーでとったぬいぐるみを元友人がくれた。
しかし、ぬいぐるみには悪いのだが、友人を思いだし、苦痛で辛くて泣いてしまう。
他の子にもらったのも同じ種類で、その子にも申し訳ないが出品したのだが、売れない。
あぁ、仕方がない。人形供養をお願いしようと聞きに行ったら一万円が飛ぶという!!

冗談じゃない。そんな大金を私が持つことがあるわけがない!!
諦める。そして、今度、児童館に寄付することにした。
その方が気持ちがいいからだ。
もしくは、募金箱を置かせて貰い、箱の中身を寄付するのも良いだろう。

ホッとして、グラッとする。

実は昨日自殺未遂を起こした。
現実を見たくなくて、特に兄たちが憎くて、
『皆大嫌いだ!!死にやがれ!!その前に俺が死んだらぁ!!』
とメールを送り、睡眠導入剤を10日弱一気に飲んで寝た。

死ねないのは知っていた。ただ、現実を見たくなくて、夢を見ていたかったからだ。

父と妹と母と弟が駆け込んできて、救急病院に連れていかれた。

朦朧とする私に吐かせ、血液検査と、点滴をされ、そのあと、覚えていないがフラフラと、出ていった。
「姉貴!!大丈夫か!?」
弟が助手席に座った私に、問いかける。
「どこいきよん……家に帰る」
「家に決まっとるやろうが!!」
「子供たちがおるけん、いやや。帰る」

駄々をこねる子供のような自分に、
「姉ちゃん!!しっかりせぇや!!」
「現実はいやや。ゆえちゃんたちとおる!!帰る!!」
「いかんって!!病院の先生は、俺らがおるんやったら、退院してええけど、そうじゃなかったら入院やって言ってたんやで!!」
「その方がえぇ……家に帰る!!」
ごねる私に、後ろから、
「ほら!!姉貴の大事な」
「ゆえちゃんだ!!」
大事な大事な、大きなチーキーである。
40センチの大きさに、ウサギの帽子をかぶっている。
そのままでは汚れたり傷ついたら嫌なので、赤ちゃん用のロンパースを着せている。
今日はとらさんである。
「だっこしといていいから、おとなしくしてうちで寝たらえぇ。な?いいか?」
弟に言い含められ、半分うつらうつらとしていると、コンビニ等でお弁当を購入して実家に帰った。

モソモソ…ボーッとする自分に、隣の弟が、
「ほい、口に入れて…もぐもぐする」
「うん」
「はい、もう一口。ちゃんと食べないかんよ?そして、お休みや」
口の中の物をもぐもぐ食べつつ頷く。
「でも、姉ちゃん……好き嫌いないよなぁ…」
お弁当の中身を、ご飯一粒すら残さず食べた私を感心する弟に、
「もったいないもん……お薬……」
「飲みすぎるなよ!!」
父がじっと見る。
「夜用の喘息の薬だよ。ほら……」
仕分けしてある薬の袋を示し、『晩用』と記載している袋から中身を開けて、母が、
「そんなに飲むの!?」
「うん、これはビオフェルミンに、胃腸の薬に、アレルギー喘息の薬に、心療内科の薬に、向こうの外科の病院の漢方薬。これと、喘息用に吸引器があるからね……」
ボケーっとしつつ薬を飲み、そして、モソモソといつも寝ている妹の部屋のところにいこうとしたら、
「こっちでお休みや。ぬくいで?」
妹に隣室に連れていかれる。
弟と一緒か~まぁいいかと思うと、弟は父の部屋に行くと言い、母と枕を並べて寝ることになった。
半分夢うつつのままだったため、ゆえちゃんをだっこしたままそのまますぅうっと眠ってしまう。
頭を撫でられた気がした……夢だろうか。

夢でもいいや……そのままずっと眠っていればいい……そう願ったのに、目が覚めると、朝だった。

苦しい時が来るのだろうか……?
再び来るのだろうか……?
もう、要らない。
苦しいことも、悲しいことも、全て消し去ってしまいたい。
赤ん坊に戻って、ゆりかごで眠りたい……。


永遠に、永久に……。  

「エッセイ」の人気作品

コメント

コメントを書く