他文明から見た文明

海沼偲

魔学文明

イン「では最後になりました。魔学について語ってもらおうと思います」
科学「精霊ラブ」
錬成「満点」
神物「以下同文」
イン「適当過ぎません?」
科学「魔学を代表するなら世界最高レベルの文明宗教以外にないだろ」
錬成「むしろ、魔学出身者で精霊を信仰していない奴っているのか?」
神物「悪魔信仰があるだろ」
科学「あれは重犯罪じゃん。俺たちが血眼になって殺しに行くのにあんなもの信仰するなんてアホだろアホ」
神物「だが、たまにいるだろ。しかも、そういうやつに限って自分の力を試したがる。あいつ等ほど厄介なものはないな」
錬成「しかも、『RYWHST』なんかに守られていると、絶望感がやばいよな。いまだに発見しておいて対処できないと判断された事例が、えーっと……何件だったかな?」
科学「百二件だ。俺が一番新入りなのになんでお前らが知らないんだよ」
神物「そんなにいるのか……」
錬成「実際はその半分以下だろ。おんなじ人間が暴れている件数だって数知れないしな」
イン「ここで仕事の話はやめてもらえると助かるのですが……」
錬成「ああ、すまない。魔学の犯罪も結構どぎついからな」
神物「これも個性だ個性」
科学「別に魔学は犯罪大国と言っているわけじゃないから安心しろ」
錬成「このレッテルが貼られるのもわかるけどな」
科学「また作者ネタか?」
神物「やっぱり、俺のところでもやっていたか」
科学「神物は作者ネタに尽きないからな」
錬成「今度は何をしてくれるのかニュースを毎日欠かさず見ています」
神物「親を選ぶことはできないんだな」
科学「さて、達観した人も出始めたし、真面目に魔学について話すか」
錬成「だけど、そうは言っても魔学なんて精霊に処女捧げている頭のおかしい奴等ばっかだぞ」
科学「宗教家はみんなそうだろ」
錬成「特に魔学はヤバいって。世界がこうまで一つの宗教で覆われているとこんなに幸せなんだなあって思ったりはするが、全員が全員熱心な信者じゃねえかよ」
科学「まあ、そのせいでこっちにも被害が来たりしているが……」
錬成「それは自業自得なんであたしは知りません」
科学「かなしいなあ」
神物「まあ、科学は魔学の逆鱗に触れる様に動いているとしか思えないからな。彼らにとってみれば魔法は精霊からの授かりものだ。だからこそ敬っているというのにそれを技術体系化したものを魔法ですと言い張ればそうなるのは必然だ。適当なおっさんの落書きに『こいつがお前らの神』と書かれていたら激昂するのと同じだ」
科学「なんで俺が怒られているんですかねえ。俺は純粋な科学文明なんですけど、怒るなら他の人にしてくれませんか? いますよね、他にも」
神物「今一番近い科学文明出身者に言っただけだろうが!」
科学「おー、おっかな。同期なのにそんなに怒らないでほしいものだ」
錬成「ま、科学は無神論者が多い文明だからな。こういう気持ちがわからないというのも理解できるが、それと同じように向こうの気持ちもわかる。それだけ宗教は偉大なんだよ」
科学「今回は俺をそれとなしに虐める回か?」
神物「虐めてやろうか?」
科学「結構です」
イン「えっと……これは?」
錬成「なんていうんだろうな……魔学はありとあらゆる宗教家のどの信仰心よりも深い信仰の心を持っている。それを馬鹿にするようなことはするなということだ。特に科学の無神論者はな」
科学「俺、別に魔学を馬鹿にした覚えはないんだけどな……」
錬成「お前じゃなくて、文明が馬鹿にしているように捉えられるのさ。はあ……めんどくさ、どっちも仲良くしろよな」
イン「皆様ありがとうございました。これにてインタビューを終えたいと思います」

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