月ふる夜と光とぶ朝のあいだで
1.迷子のラビー
「お母さん、お母さーん!」
赤茶毛うさぎのラビーは迷子になっていました。
お昼ごはんににんじんをたくさん食べた後、ラビーはお母さんと山のてっぺんにあるお家を出ました。
りすのリリおばさんが教えてくれた、おいしい野草を集めに行くためです。
お父さんは朝早くから、やぎのゴタじいのところへ背中をかくお仕事のために出かけてしまいました。
それで、2羽だけで行くことにしました。
「ぜったいお母さんのそばにいるんだよ。」
そう言われていたのに、ラビーはきれいなちょうちょを追いかけて、森の方へとかけて行ってしまいました。
気が付くと、ラビーは知らない道を歩いていました。それはどうやら森の中のようです。
『山の中は安全だけど、森はこわいぞ。』
お父さんの言っていたことを思い出しました。
山にはラビーたちの他にもたくさんの動物たちが住んでいます。でもみんなおともだちです。
でも山を下りて一本道を進んで行くと森があります。この森にはたくさんのこわい動物たちが住んでいます。
ライオン、ハイエナ、オオカミ、キツネなどです。
こわい動物たちは山には入ってきませんが、森に入ってきた弱い動物たちを食べてしまいます。
そのことを思い出したラビーはこわくてたまりません。だれかに見つかってしまえば食べられてしまいます。
でも山への帰り方が分かりません。ちょうちょを見上げて走っていたからです。
いつのまにか空は暗くなってしまいました。真っ黒な木の向こうから黒い何かがギャーと鳴きながらとんで行きました。
ゆっくりと前に進むラビーは、クシャッという音にびっくりして頭をかくしました。
何も起こらないのがふしぎで、手のあいだからそっと見てみるとだれもいません。
ふと見下ろしてみれば、自分の足が大きなかれ葉をふんだ音だと分かって、ほっとしました。
ほっとすると、おなかがすいてきました。グゥとおなかがなりました。
ラビーは食べ物を探すためにまた歩くことにしました。
足音をさせないようにそっと。おなかがならないように手でおさえながら。
少し歩くと、たくさん生えていた木が少なくなってきました。どこかへつながっているのかもしれません。
ラビーはうれしくなって走っていくと、そこはもうどこにもつながっていませんでした。
道はそこで切れていて、森がとっても高いところにあるのが分かりました。ずっと下にもぐらさんのお家が見えるからです。ラビーのお家からもぐらさんのお家までは3日かかるのです。
空の高いところに大きな月が半分だけ見えました。
「お月さまが半分しかない!」
ラビーはおどろいてしまいました。真ん丸の月しか見たことがなかったからです。
「ここで何をしている。」
聞いたこともないような低く大きな声が聞こえて、ラビーは声が出なくなりました。
おなかがすいていたこともわすれています。
ラビーは声が出ない代わりに、心の中でさけびます。
こわい!食べられちゃう!お父さん、お母さん、助けて!!
赤茶毛うさぎのラビーは迷子になっていました。
お昼ごはんににんじんをたくさん食べた後、ラビーはお母さんと山のてっぺんにあるお家を出ました。
りすのリリおばさんが教えてくれた、おいしい野草を集めに行くためです。
お父さんは朝早くから、やぎのゴタじいのところへ背中をかくお仕事のために出かけてしまいました。
それで、2羽だけで行くことにしました。
「ぜったいお母さんのそばにいるんだよ。」
そう言われていたのに、ラビーはきれいなちょうちょを追いかけて、森の方へとかけて行ってしまいました。
気が付くと、ラビーは知らない道を歩いていました。それはどうやら森の中のようです。
『山の中は安全だけど、森はこわいぞ。』
お父さんの言っていたことを思い出しました。
山にはラビーたちの他にもたくさんの動物たちが住んでいます。でもみんなおともだちです。
でも山を下りて一本道を進んで行くと森があります。この森にはたくさんのこわい動物たちが住んでいます。
ライオン、ハイエナ、オオカミ、キツネなどです。
こわい動物たちは山には入ってきませんが、森に入ってきた弱い動物たちを食べてしまいます。
そのことを思い出したラビーはこわくてたまりません。だれかに見つかってしまえば食べられてしまいます。
でも山への帰り方が分かりません。ちょうちょを見上げて走っていたからです。
いつのまにか空は暗くなってしまいました。真っ黒な木の向こうから黒い何かがギャーと鳴きながらとんで行きました。
ゆっくりと前に進むラビーは、クシャッという音にびっくりして頭をかくしました。
何も起こらないのがふしぎで、手のあいだからそっと見てみるとだれもいません。
ふと見下ろしてみれば、自分の足が大きなかれ葉をふんだ音だと分かって、ほっとしました。
ほっとすると、おなかがすいてきました。グゥとおなかがなりました。
ラビーは食べ物を探すためにまた歩くことにしました。
足音をさせないようにそっと。おなかがならないように手でおさえながら。
少し歩くと、たくさん生えていた木が少なくなってきました。どこかへつながっているのかもしれません。
ラビーはうれしくなって走っていくと、そこはもうどこにもつながっていませんでした。
道はそこで切れていて、森がとっても高いところにあるのが分かりました。ずっと下にもぐらさんのお家が見えるからです。ラビーのお家からもぐらさんのお家までは3日かかるのです。
空の高いところに大きな月が半分だけ見えました。
「お月さまが半分しかない!」
ラビーはおどろいてしまいました。真ん丸の月しか見たことがなかったからです。
「ここで何をしている。」
聞いたこともないような低く大きな声が聞こえて、ラビーは声が出なくなりました。
おなかがすいていたこともわすれています。
ラビーは声が出ない代わりに、心の中でさけびます。
こわい!食べられちゃう!お父さん、お母さん、助けて!!
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