天女×天姫×天使…天華統一

ハタケシロ

第22話 帰還

俺が異世界に来てから1週間が経った。

フェライトジークス以外に俺たちの国を襲ってくる奴もこの1週間はいない。パールいわく、まだ、パールが第3位だとほかの連中は思っていて、その抑止力でほかの連中は襲撃してこないらしい。

だが徐々に、噂程度はあるが、パールが、第3位が負けて、違うやつが浮遊城フォルテに鎮座しているというのが、噂程度で流れているらしい。

その噂もあってか、誰も攻めてこない。

まぁ、正体不明のやつがいる国に攻めには行きたくないしな。まずは情報を集めるって感じだろ。噂程度が、真実だと知ったらほかの連中も動き出すかもしれない。俺なら、正体不明であれ攻めるかもしれないが。

この、1週間を使って俺は、パールに城の設備や最重要なこの国の戦力についていろいろと教えてもらった。まず、感心したというか、普通に凄かったのがパールが一人でこの国を育て上げたということだ。

本来ならというか、ゲームでなら大名一人に数名の武将、そして、何千人という一般兵で国を作るものだが、パールは大名一人に何千人という一般兵だけで国を作っていた。これはすごい。第3位は伊達じゃないということだ。

アマが何故か対抗心を燃やして、「私はパールさんより凄いたったの大名一人で国を作ったんですよ!」とほざいたが、アマの場合、国を作ったじゃなくて守ったの間違いだろ。6畳しか領地を持ってなかったやつがパールと張り合うな。

イラッとしたからデコピンを食らわしといてやった。異世界に来てからデコピンの精度がどんどん増してる気がするな。デコピンならアマは悦ぶ前に痛がるから効果はあるし、痛がるアマを見ると俺の中の何かがゾクゾクするからデコピンは必須だ。

しかし、パールは凄いと思うが、実際のところ、俺の国の戦力は厳しいと思う。一般兵がたくさんいるのはいいとはいえ、敵大名、いや、敵武将にすら一般兵は一対一では敵わない。実際の戦力として考えたら、俺とパール、それにア…二人しかいない。強い奴らが何人も来たら厳しい戦になるだろう。

「どうしたんですか大和さま?先程から難しいお顔をしていますが?」

「いや、これからについていろいろとな」

「遊ぶ予定についてですね!」

「……えい!」

「あうっ!」

「どんだけ楽しみにしてるんだよお前は」

「だって、楽しみじゃないですか!大和さまは楽しみじゃないんですか!?」

「姉ちゃんがいる家に帰る俺より楽しみにしてるってどんだけだよ」

「ポケ〇ンのメダルが出てくる機械がやりたくてしょうがないんですよ!メダルが出てくるまでのあの焦れったさ、レアメダルなのか、ノーマルなのか分からないワクワク感、最高ですっ!」

「小さい子どもに混じって並んでるアマを見たときは恥ずかしさを通り越して唖然としたな」

どの子どもよりも、目をキラキラさせて順番待ちに勤しんでいたアマは、あの中で一番純粋にポ〇モンのメダルゲームを楽しんでいたと思う。

「ほう。そのような心躍るゲームが大和の故郷のにんぽんにはあるのだな」

「日本な。日本。にんぽんは違うぞ」

「に、にぽん?むぅ。難しいな」

そんなに難しいか?日本って言葉。
俺がパールの名前を言えないのと同じことなのか?

「しかし、我が一緒について行ってもほんとによいのか?家族水入らずに邪魔するわけにも」

「いいって言ったろ?アマだって行くし、パールだけ置いてくってわけにもいかないしな。ほかの国の奴らが攻めてこない今くらいしか、帰れないと思うし、パールには逆に俺から日本について教えてやりたい」

俺が異世界に来てから1週間経ち、アマがゲートを開けます!と言ったのが昨日だった。なので、今日俺たちは俺の元いた国、日本に姉ちゃんがいる家へと一時帰還する。

タイミング的にもちょうどいいだろう。敵も来ないし、姉ちゃんが心配してるかもしれない。ここで1回顔を見せるだけでもだいぶ違うと思う。ただ、たった1週間しか離れてないから姉ちゃんにホームシックにかかるの早い、もしくはシスコンと思われるかもしれない。しかし、断じて違う、俺はシスコンではない。心配してるであろう姉ちゃんに顔を見せたいだけだ。

「では、行きましょう!大和さま!準備はよろしいですか?」

「あぁ。いいぞ。パールはいいか?」

「うむ。若干の緊張はしておるが、心配ない」

「緊張?」

「大和の姉君に会うのだろう?粗相のないようにせねばと思ってな」

「普通の普通な姉ちゃんだから緊張する必要はないぞ」

「いや、主君の、大和の姉君に会うのだ。緊張しないわけがない。手土産はこれでいいだろうか?」

「いいと思うぞ。姉ちゃん甘いの大好きだから。ちなみに俺も好きだぞ」

「わ、我も好きだぞ!」

顔を赤くしながら好きっていうなんて、よっぽと甘い物が好きなんだなパールは。

「ゲートを開くので少し下がっていて下さい!」

アマに言われ、少し離れる。

アマが両手を前に出し、口で呪文か今晩のオカズの希望を言ったあと、アマの両手が光り輝き出し、ゲートが出現した。アマに促され、俺を先頭にして俺たちはゲートの中に入っていった。



「やっぱり、風呂場にでるんだな」

ゲートから抜けた俺の目の前に映ったのは、見慣れた俺の家の風呂場だった。見慣れている筈なのに、どこか懐かしく感じる。

「ゲートの波長がこのお風呂場の波長ときっと同じなんですよ。このお風呂場は特別なのかもしれないですね!」

「特別……か。いたって普通の風呂場だと思うが」

思い出すのは、姉ちゃんと一緒に入った幼少の頃の記憶。あの時は毎日のように姉ちゃんと風呂に入ってたっけ。

「ここが、大和が汗を流していた湯どころか……うむ」

パール、そのうむはなんだ?

ガララ

脱衣所から扉の開ける音がして、振り向く。
そこには風呂に入ろうとしていた姉ちゃんがいた。

「あれ?大和……?おかえりなさ……!!」

一瞬姉ちゃんは、顔をパァと明るくしたが、いきなり俺を見たことに驚いたのか、それとも裸を見られたことに驚いたのか、姉ちゃんは驚いた。

姉ちゃんの視線を見ると、驚いたのは俺を見たからじゃなく、アマとパールを見たからみたいだった。

「ふ、ふふっ。や、大和がアマちゃんとアマちゃん以外に新しいに女の子を連れて……ふふ」

目は焦点が合っておらず、聞こえるか聞こえないかくらいの声量で何かを言っている姉ちゃん。それよりも隠してくれ。

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